第2話 襲撃
仮面時間が始まったことでゲームをする気がなくなったトシキは、外に出て散歩をすることにした。
仮面時間が終わったら何をしようか考えながら歩くトシキは背後から近づく何かに気づいた。
足音の方を振り向くと、刃物を持った人が襲いかかってきた。
「死ねぇ!」
トシキは紙一重で避けることができた。相手はとても興奮しているようで、何を言っているのか到底理解できたものではない。
一瞬でこそパニックになったトシキだったが、段々落ち着くことができ咄嗟に走った。見知らぬ仮面は追いかけてくる。
トシキが仮面をよく見てみると、それはこの世のものとは思えない、見続けていると今にも殺されそうな感じになった。
仮面を付けているため、この町の住人であることはわかる。しかし話して和解しようにも興奮している相手に話が通じるわけもなく。ただただ逃げるしかなかった。
この辺りはよく散歩で通る。そのため抜け道や交番もよく知っている。友達や知り合いも多い。地理ではこちらが圧倒的に有利。
トシキはとにかく交番を目指した。
交番が見えてくると見知らぬ仮面は、追うことをやめた。そして
「あの時の憎しみ1秒たりとも忘れてないからな。」と捨て台詞を吐いて走ってどこかに行ってしまった。
交番に着いたところで仮面時間が終わり、警官に事情を説明しようとしたが、顔を見るどころか声も本物を聴いていないためうまく説明ができなかった。
家に帰る途中、仮面の言葉が気になった。
「あの時の憎しみっていつの事だ?」トシキに身に覚えは全くなかったのだ。
家に着いたトシキは再びゲームで今日のことは忘れることにした。
見たこともない仮面に追われ、身に覚えのないことを言われ、仮面の奥は誰かもわからない。
心を巨大なスプーンでかき混ぜられるような気持ちになりながら静かにゲームを進めるのであった。
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