情緒的価値 Merry Xmas

12月になると

街はXmasでさわがしくなる


サンタクロースの砂糖菓子がつくだけで

ホールケーキが飛ぶように売れる

普段よりも高い値段で


サンタの真似やイラストは見たことはあるが

本物のサンタを見たり触ったりした人はいるのだろうか


Yes, Virginia!

サンタクロースはいます!

Sunはそういうのだろう

みんなの心のなかに いるよというのだろう


見たり触ったりできなくても

確かにいると


だって実在する私を知らなくても

サンタはみんな知っている


だってサンタがもしいなかったら

こんなにケーキが売れるわけがないだろう


私がいくら頑張ったって

Xmasにこんなにたくさんのお金は動かせない

ケーキは売れない


人々にとって重要なのがどっちかは

聞くまでもないだろう?


見れるってことは寸法があるってことだ

触れるってことは重さがあるってことだ

測れるってことは数字にできるってことだ


小さかったり軽かったり燃費が良かったり

そういうのを 機能的価値 というらしい


数字にできるってことはデジタルだから

機能的価値はAIにでも任せておけば

そのうち勝手に良くしてくれるだろう


だから見たり触ったり数字にできない

情緒的価値 ってのを

人間はもっと頑張らないと良くなんないだろう

点数ばっか気にしてないでさ


石器時代から遠い果ての未来まで

ずっと変わらないものがあるならば

たぶんそれは 真実だ


いつか変わるかもしれないものならば

それはただの 現実だ


恋人はサンタクロースって有名な歌詞があるけれど

恋人同士にサンタはいないよ?


だってプレゼントを渡すとき

直接相手に渡すでしょ?

それは心のどこかで相手に見返りを求めているから


見返りがなければすぐに変わってしまうなら

それはたぶん 現実の愛なんだ


Xmasの朝になると

子供たちの枕元にはプレゼントが贈られている

それはサンタのしわざだと親達は口々にいう


それはその愛が見返りを求めていないから

きっとそれは ずっと変わらない真実の愛だから


12月になると

街はXmasでさわがしくなる


サンタクロースの姿をみると

確かにそれはあるのだと

信じさせてくれる


見たり触ったりはできないけれど

ずっと変わらずあったのだと

思い出させてくれる


――Merry Xmas

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