35話 戦術/上方からの贈り物

 その些細な戦場の変化に、最初に気付いたのは東乃守殊洛だった。


(…………退いている?)


 自身へと迫って来た牙を剥きだす怪物トカゲを顔色一つ変えず首なしのオブジェに変えた直後、金色の羽織の美丈夫は、見回した周囲の変化に眉を顰める。


 殊洛が立っているのは、戦場のど真ん中だ。北――見上げる横側には、共和国軍北部拠点の城壁が見え、正面――西側には金色の鎧、竜を残骸に変える“亜修羅”の軍勢。


 対面する竜達は、“亜修羅”に追い立てられるように徐々に、少しずつその戦線を下げている。


 背後、東側には銃火器を手にし今も支援射撃で轟音を轟かせ続けるヒトの鎧――“夜汰鴉”、“夜汰々神”。


 当初から一貫して、その軍勢の陣形は矢先型アローヘッドの突撃陣形。

 だが、これまで、いや今も確かに保たれているその陣形は、


(間延びし始めた。……狙っているのか?)


 疑念を脳裏に、鮮血で濡れた太刀を手にしたまま、殊洛は“亜修羅”――部下の背を見た。


 その姿は当初に比べて随分遠くなっている。戦っている本人達は気づいていないだろうが、陣形として維持すべき、相互支援が可能なだけの距離より遠く、“亜修羅”達は突出している。


 対面の竜の群れが退いているからだ。怯えたように下がっていく竜の群れを追いかけている内に、“亜修羅”達最前線は突出し、あと少しで孤立しかねない状況になっている。

 いや、それは、“亜修羅”達だけではない。


 殊洛は自身の近辺を眺める。“亜修羅”の後方の部隊、生身のオニやヒトの群れ――殊洛自身も知らぬ間に合流していたその場所もまた、知らず突出していたのか……。


 振り返る背後。重武装のヒトの鎧たちの姿もまた、理想的な配置より遠くなっている。


(分断されかねないか……)


 そう勘付いた直後、だ。殊洛の元に、彼の護衛として残った一機の“亜修羅”が寄ってきた。


「殊洛様。このままでは陣形が……」

「わかっている。最前線の部隊へ伝令を出せ」


 殊洛はそう、言った。

 これまでの戦場では、今も殊洛の耳にある通信機を使い、そう最前線に指示を出せば良いだけだったが――この戦場。先ほど竜の特異個体が光を放った直後から、通信機は利用できなくなっている。


 通信機が壊れた、と言うよりも、電波妨害でも発生しているようだ。あのぶよぶよの特異個体は、更にされていたのか……。


 だが、その可能性も念頭に置いた上で、殊洛はわざわざ前線近くの、部隊の中心に立っている。


「一時的に進行ペースを緩め、後続と合流。同時に後尾の支援部隊に進軍を早めろと――」


 ――そう指示を出し切る前に、その戦場はまた別に、より破滅的に塗り替えられた。

 視界の端を、一条の――いや、数条の青白い閃光が奔り抜けていく。


(……砲撃種、)


 それは対竜戦において、いや、竜から見た対人間戦に置いてまさに革命的な忌々しいだ。


 戦場の西の端――眺めるそこに青白い、背に大きな突起のついた竜が見える。その口から放たれた破滅の光が戦場を灼き、前線の“亜修羅”を、あるいはその周囲にいる同胞をも撃ち抜き、溶かし飲み込んでいる――。


 見える範囲にいる砲撃種は、正面の一匹のみ。だが、破滅の光は、前線の“亜修羅”達の側面からも数条放たれてもいる。


 睨む視線の先で、部下が光に呑まれて行く――全滅、ではない。喰らったのは最初の数体だけで、その初撃を生き残った“亜修羅”達は、砲撃から身を躱し、先ほどまで攻勢に出ていたのが嘘のように打って変わってなだれ込んできた竜の群れに抗っている。


(配置を動かしたのか?分断を図ると同時に?)


 砲撃種は北部拠点を挟んだ向かい側に配置されていたはずだ。

 殊洛が南を抜こうと判断したのはその為だ。ある程度進行しても北部拠点自体が遮蔽になり、殊洛達への射線を通せないだろうと。


 が、今対面にいる知性体は、射線の概念と支援砲撃の概念を理解しているらしい。


 視界の端で青白い閃光が奔っていく。乱戦の最中そこに身を晒した“亜修羅”達は、器用に躱し、あるいは躱しきれず、檄を上げ正面の砲撃種を睨み、突撃を敢行しようと前に出始めている――。


 砲撃種を殺そうと言うのだろう。

 この戦場にいる部隊の中で、機動力、突破力共に最高の部隊は“亜修羅”達だ。確かに砲撃種を潰すのであれば、彼らの奮起に期待する他ない。


 仮に砲撃種を潰さなければ、その砲撃の標的は次に殊洛のいるこの生身の兵士達の部隊、あるいは最後方、重武装で機動力を捨てたヒトの鎧の部隊に向かうだろう。


 が…………。

(突破に被害が出過ぎる。仮に砲撃種を潰したとして、まだ他の竜がいる)


 砲撃種は革命だ。だが、竜の脅威の根底は、何も変わっていない――長く戦場に立って勝利してきた殊洛だからこそ、それは重々理解できる。

 竜における最大の脅威。それは、数だ。兵力の浪費は避けるべき。


「“亜修羅”達を退かせろ。こんなところで蛮勇を見せる為に鎧を与えた訳じゃない。英雄になろうとする必要は――」


 言いかけた殊洛の耳に、悲鳴が聞こえた。断末魔、あるいは恐怖の悲鳴。

 視線を向ける――南側。この、生身の人間の部隊の側面に、夥しい数の竜の群れが集まっていた。

 

 予備部隊でも動かして、迂回して側面から攻勢に出たのか?……わざわざ陣形を間延びさせようとしていた以上、その側面を叩こうとするのは確かにセオリーだ。


「クソ…………。退け!こちらに来い!北部拠点を背にし、火線を敷け!」


 そう声を上げながら殊洛自身はけれど自身の言葉とは真逆に、抜き身の太刀を手に南――現れた竜の群れへと駆けていく。


 自身の手で、部下を救おうと言うのだ。それもまた英雄的ではあるが、殊洛はそれをして生き残って来たから名が売れた。何より、ここで兵力を大きく削がれては戦線自体が崩壊しかねない……。


 殊洛の背後で、護衛として残っていた“亜修羅”が、前線――今も砲撃に晒されている“亜修羅”の元へと駆けていく。伝令として出て行こうと言うのだろう。


 最前線、“阿修羅”の群れは砲撃に晒されながら孤立を始めている。その戦力もまた失うのは痛い。退けるなら一旦退いて体勢を立て直すべき――。


 ――そう考えた殊洛の頭上を、影が、過ぎ去っていった。


 視線を空に向ける――そこにも、竜の群れが見える。そう数が多い訳ではなく、だが何匹かで一体ずつ、青白い――ぶよぶよした、鎧を殺す竜を運び、殊洛達の頭上を行き過ぎていく。


 その向かう先は――。

(火力支援――FPAか、)


 歯噛みし、そちらに視線を向けた殊洛は――絶句した。


 いつの間にやら――いや、おそらく竜の軍略は全て同時に発動していたのだろう――最後尾、そちらもまた孤立気味になった重武装の“夜汰鴉”、“夜汰々神”達が、側面からなだれ込む竜の群れに飲み込まれていた。


 この生身の部隊を襲った群れとは違う。北から、竜の群れが後尾を食らっているのだ。


 後方部隊にも護衛として生身のオニはつけている。が、それでもそう数が多い訳ではなく、もしそこに鎧を殺す竜――あの光が放たれれば、


(……後尾が壊滅する?馬鹿な……多面作戦?分断して各個撃破だと……?)


 全軍を上げた突撃陣形――今回編成されたそれに明確な弱点があるとすれば、それは進軍速度の違いだ。


 重武装のFPAは遅く、生身の兵士を挟んで、進軍速度の速い突撃仕様の“亜修羅”。

 ただ、練度の高い部隊を選んだ。その弱点を補い得ると判断したからこその作戦の選択だったが――。


(――崩された、)


 撤退し、突破力のある部隊を先行、孤立させた上で砲撃で動きを止める。

 その支援に動くはずの主攻、生身の部隊は側面からの攻撃に対処させられ。


 そして、そうやって柔軟な動きを削いだ上で、殲滅力のある重武装部隊を確実に潰しに来る……。


「クソッ、」


 歯噛みした殊洛の視界の端で、重武装の鎧の群れに、それを殺す青白い怪物が――。


 *


「…………」


 外の戦歌とは打って変わって、北部拠点の内部にあったのは、静寂だった。


(新手が来ない……外でもう勝ったとか?……そんなうまい話ある訳ないわよね、)


 胸中そう自嘲し、アイリスは腕を組み、背後に浮いている大槍へともたれ掛かった。

 アイリスの周囲では、この北部拠点内部にいる兵士達が、一様に銃を手に、目の前の惨状を睨み付けている。


 一面、血と怪物の破片の海だ。北部拠点の中に入り込んできた竜は、200や300では足りないだろう。青白い閃光――砲撃によって出来た城壁の隙間から、竜の群れがうじゃうじゃと入り込んできたのだ。


 それに、アイリス達は対処し――そして目の前には、惨状。

 砲撃種によって出来た城壁の大穴は、竜の死骸で半分ほど塞がっている。


 ついさっきまでは、その死骸の山を踏み越えて竜が入り込んできていたが……今は静寂。竜は侵入してこない。


(また性格悪い事考えてるのかしら?それとも……)


 そんな思案を横に、アイリスは周囲に声を投げる。


「警戒は続けなさい。まだ生きてる竜を見つけたらきっちり殺しときなさい。事故で死ぬことはないわ、」


 周囲にそう声を投げ、アイリスは城壁の上へと進み出した。

 一歩、一歩、進み出る足の先に銃や城壁の破片やらが浮かび止まり、階段状に、アイリスは城壁の上、空いた穴のすぐ傍から、外を眺める。


 途端、その青い瞳は、不審げに細められた。


(……消えてる?)


 見下ろす先に竜の姿がなかったのだ。遂数時間前まで、この北部拠点は竜に完全に包囲されていたし、今見下ろしている先――北部には砲撃種とトカゲの群れが蓋をしていたはずである。


 が、今、見下ろす先に竜の姿はない。


 殊洛達が全部殺した?いや、それにしては速過ぎるし、何より、銃声は今も響いてきている。


(……竜が配置を変えた?拠点に入り込んできたのは、ダミー?)


 そう思い至ると同時に、アイリスは城壁の上を掛け、視線を南――殊洛達の戦場へと向ける。

 そして……。


(そう、拠点は無視して殊洛に集中、ね)


 ……地獄を、目にした。

 向こうで、動きを止めたFPAの群れが、竜の大群に食い散らかされている。生身で抗っているヒトやオニの姿もあるにはあるが……多勢に無勢だ。


 北部拠点のすぐ傍では、生身の兵士の群れが竜の大群に絡まれ、陣形を敷いてどうにか応戦している。その中には、殊洛の姿がある。檄を飛ばし、指示を出し、あるいは自身も太刀を手に竜を切り――。


 そこがすぐさま全滅することはないだろう。だが、後方――壊滅的な被害が出続けているFPAの群れへと救援に行くことも、出来ない。


 そして後方のFPAが竜に全て食われれば、その戦力はそのまま生身の部隊を狙い――そうなれば今目の前にある拮抗はすぐさま瓦解するだろう。


 救援、が出来るであろう“亜修羅”――金色の鎧に至っては、完全に孤立して包囲されている。砲撃種の閃光から逃れ、竜の群れに絡まれながらも生き延びてはいるが……そもそも生き残っていること自体が不思議な状況だ。救援に行く、どころか救援が必要な状態だろう。


 そして、そちらに竜が集中している分、アイリス達――北部拠点の兵士達は自由に動ける状況だ。助けに出ようとすれば、出られるが……。


(……それが狙いで浮かされてるとは、言わないわよね)


 ここでアイリスに選択肢がある事すら、罠の可能性がある。


 単純な話だ。

 高い城壁の中に籠っている部隊と、味方を助ける為に城壁の外にのこのこやって来た部隊、どちらが御しやすいか、と言う話。


 攻城戦をほぼせずに、その拠点の傍の人間を窮地に陥れて、城にこもったアイリス達を引き摺りだろうとしている……。


「最悪ね……」


 罠の可能性承知で打って出るか。救いに行くなら、後方の動けないFPA達。いや、彼らは助けた所で、FPAが死んでいる今、戦力にはならない。


 なら、砲撃種を殺しに行くか?それを排除できれば、“亜修羅”は多少の自由を得て戦況が好転する契機にはなるだろう。が、砲撃種がいるのは竜の群れの奥深く。


 そこまで到達できる突破力と機動力は、アイリスにも今部下になっているこの北部拠点の兵士にも、ない。ここもまた、FPAが死んでいるのだ。

 

 なら、無視して拠点に籠り続けるか?いや、それこそ、寿命が数日伸びるだけだ。


 籠城に置いて士気と言うのは重要だ。目前まで助けに来た友軍を見捨て、自分達だけ籠った――そんな罪悪感が士気に影響する。なんならアイリスへの反感にもなるだろう。


 閉鎖空間で無能を晒した指揮官、判断ミスで希望を消した奴、と認識されれば、命令を聞かせるどころの話ではなくなる。挙句アイリスは女、美人。そういう目を向けられて、相応の目に遭った末最終的に竜の胃袋の中……。


 見殺しにしたら、アウト。かといってのこのこ出て行くのは罠の可能性がある。

 かといって、長期的な視野では、打って出るしか選択肢がない。


 他に援軍が期待できない以上、今、この場で勝つ以外に生存の目がないのだ。


「……いる?」

「はい」


 アイリスの呼びかけに――それまでどこにいたのか。白装束のオニ――伝令として殊洛が寄越してきた男が、アイリスの背後に現れた。


 そちらへと視線を向けず、眼下の戦場を睨み、アイリスは言う。


「……動ける奴を集めて。動きの止まったFPAを支援しに行くわ。可能な限り助けて、可能な限り城壁の内部に……」


 不意に、アイリスの言葉が止まった。まるで誰かに言葉を遮られたかのように、あるいは誰かの話を聞いているかのように、アイリスは暫し言葉を閉ざし……。


 やがて、アイリスは呟く。


「……本当に?そう……。いっそ抱かれても良いって気がするわ。フフ、冗談よ、兄さん」


 そう――この状況では、もはや気が狂ったと思われてもおかしくないような、そんな笑みを零した上で、アイリスは白装束のオニへと青い視線を向ける。


「命令を変えるわ。籠城継続。城壁の上から殊洛のいる本隊へ火力支援よ」

「……両端は?見捨てると?」


 そもそもが、殊洛――今目の前で死んでいる部隊の人間だ。白装束の男はそう眉を顰め、けれどそれを前に、アイリスは首を横に振り、空の一角を指さした。


 その先には――小さな黒い鳥。いや、遠目だからそう見えるだけの、翼が生え、爆炎を吹き空を駆ける金属製の箱がある。


 空爆……いや、飛んできているそれは一機だけだ。

 だが、たった一機だけでも、それで十分だと言わんばかりに、アイリスは言う。


「甲斐性無しと反抗期が飛んでくるんですって。世話係も来てるらしいわ。……耐えたら勝たせて貰えるわよ。だから英雄な訳だし、」


 呟き、その青い瞳は、飛来する輸送機へと向けられた……。


 *


『リチャードから伝言だ。妹が心配でたまらないから、さっさとしろってさ』


 通信機越しに、扇奈の声が聞こえてくる……。


 輸送機の薄暗い内部。HUDに移る正面には、黒い――顔面の半分が鬼のような意匠の“夜汰鴉”。腰に太刀、左手に玩具バンカーランチャー、右手に20ミリ――昔から変わらない英雄の装備。


 扇奈達オニの姿はない。別の輸送機で運ばれて、あちらはもう別の場所に着陸しているのだ。

 指揮官の声は、通信機から聞こえてくる。


『あんたらは先行、突撃。竜の群れの中で血みどろのピクニックだ。雑魚は基本無視しても良い。最優先で排除するべきは砲撃ゲロ吐く青白デブ。次点で、知性体。こっちは捕捉して殺せそうならやりな。砲撃種の排除が終わり次第、包囲されてる金ぴかの鎧と合流、殊洛と合流。良いね?……あたしらは最後尾の棺桶の群れを助けに行く』


 作戦らしい作戦はなく、これを殺してこいとだけ言われる。

 言えば出来ると、そう指揮官に信頼されていると言う事だ。


 事実、英雄は出来るだろう。そして、それに同行している青年も――


『本当は部隊を裂く、ってのは嫌だけど、誰かが英雄的に行動しなきゃいけないらしいしね。じゃあ誰がやるかって話。あんたらを信頼するよ。今更死なないだろ?ケツはこっちで持ったげる。好きに暴れて来な。で、勝ったら祝杯。いつも通りだ』

「ああ、」


 ――そう、気負いなく、普段通りに呟いた。


 そこで、ふと、薄暗がりの輸送機内部に光が差し込む。

 着陸前だが、ハッチが開き、開いたそこから銃声と悲鳴、竜の蠢く音、雪が降り積もる前に溶けていく地獄の景色が眼下に広がる……。


 水蓮はそれを眺めた。青く塗った――誇ることにしたその鎧を纏って。


 青い、“夜汰々神”。武装が前と変わっている。背中に大斧、はいつも通りだが、その他にいくつも幾つも、予備弾倉が背中にくくり付けられていて、腰には20ミリが2門。


 異能を扱うことを前提に選んだ装備だ。これで生き延びれるかは、それこそ中身次第……。


 水蓮は――青い鎧は拳を握り、開く。


 恐怖はある。だが、それに駆られて喚くほどではない。冷静だ。冷静だと、確かめた上で、水連は軽口を投げた。


「……お姫様が気になって注意力散漫、ってのはなしだぞ、おっさん」


 その水蓮の声に、黒い鎧――鋼也は応えた。


「今回は、ビビって固まったら見捨てるぞ、クソガキ」

「なんだよ、助けてくれたって良いだろ?英雄だろ?」

「呼ばれてるだけだ。名乗ったことはない」

「おお、カッコ良い。そのカッコ良さをお姫様の前で見せたら良いんじゃねえか?」

「ほっとけ。……さっさと行くぞ」


 そう、地獄のような戦場に赴くとは思えない調子で、水連と鋼也は声を投げ合い ――黒い鎧は開いたハッチへと歩んで行く。


 それを前に、どこか嫌な予感を胸に、水連は言った。


「待てよ。そんな気はしてたけど……このまま飛び降りるのか?パラシュートなしで?」


 そんな水蓮へと、黒い鎧は振り返り――


「出来るだろ?……先に行くぞ、」


 言うが早いか、そのまま後ろ向きに、飛行中の輸送機から竜の群れの中へと、飛び降りて行った。

 それを前に、水連は片手に20ミリを、片手に大斧を握り、


「マジかよ……人類全員あんたみたいな化け物じゃねえんだよ、クソが!」


 うんざりと吠えると同時に、光の最中へと飛び降りて行った――。

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