とんかち

とんかち

僕はとんかち

僕の仕事は、顔を打ち付けられること

とても痛い、（めちゃくちゃ痛い）

その気になれば、音でその痛みを伝えることもできる。

（だけど、伝えることはしない。）

僕はとんかち

僕は日々、痛みに耐えている。

だけど、文句は言わない。言えない　（言えるわけがない）

一度でも根を上げてしまったら、

僕は使われなくなる。

僕の存在は、持ち主によって決められている

道具とは、そういうものだ。

僕はとんかち

（だけど、）とんかちであることをやめたいと思う

（同時に、）とんかちでありたいと思う

選ぶのは、僕の責任だ。

自由には、責任がともなう

だけど、自由になりたくなるのは、僕のせいだろうか

痛みに耐えられない、ただそれだけだ

もし、とんかちであることをやめれば

僕は何者なのだろうか　（鉄と木の棒だよ）

もはや、考えることすらやめたい　（やめれない）

考えるだけでは、何も変えられない　（変える気もない）

もう、何もかもがうるさい　（止められない）

頭の中では、雑音が多すぎる

僕は、とんかち

僕は、持ち主によってとんかちになる。道具になる

とんかちは、持ち主を変えれば

新しいとんかちになる。

誰か、僕をここから拾い上げてくれないだろうか　（洗濯から、逃げるな）