再生
羽造 泰
知ること
何にも知らない空間
暗い、生温かい、そして静か
それは大きな布団の中で疼くまっている様
外から何やら音が聞こえる
初めて感じた自分以外の存在
私は考える間も無く、おもむろに蹴り返してしまった
そもそも私とは何かも知らない
考えるということもあまりわからない
新しいことに気づくことは疲れる
気づけば体はふわふわ浮かんでいる
そのまま私は眠ってしまった
何にも知らない空間
目覚めると私は泣いていた
あまり周りは見えない
ただ前よりも明るいことはわかる
やはり私は浮いていた
何者かに支えられているように
うまく言葉では表せないがとにかく温かい
そしてうるさい
たくさんの音が私の耳を掻き乱す
その音の正体が何なのかはわからないまま
私はまた眠ってしまった
考えることはやめにしよう
何にも知らない空間
私は笑っていた
今度ははっきりと私以外の存在を
認識することができた
私が何をするにも目を細めているている
その顔が私にはあまりわからなかったが
どうやら笑顔というらしい
いつからか私は笑顔を見ると気持ちが落ち着く
でも、
たまに同じ目を細めていても落ち着かない時がある
不思議なことに目から光る何かがあった
それは何なのか、知りたい気持ちでいっぱいだったが
また今度にしよう
私は眠ることにした
何にも知らない空間
私は怒っていた
理由はあまり覚えていない
前に感じた落ち着かないこと
私と似た背格好の存在
その存在から光が流れた
それは涙というらしい
涙は寂しい時に現れるらしい
どうしたものか、笑顔の時もいなかったっけ
よくわからないものだ
怒りと哀しみを知った私は
頭の中がスッと抜けるような気がした
今日は静かに眠れそうだ
何にも知らない空間
すっかり景色は変わってしまった
足が重い、頭も重い
でも心は軽い
隣にいるのはあまりわからないが
一緒にいるだけで心は温かかった
これが楽しいということか
最近時が過ぎるのが速く感じる
楽しいことの仕業なのかもしれない
疲れるのであまり声は出さないことにした
やっと眠れる
何にも知らない空間
とても温かい
ただただ温かかった
私は何をしていたかなんて
とうに忘れた
眠れば思い出せるかも
手も足も力が抜けて心地よい
だんだん目の前が暗くなってきた
明日は何が起こるか私にはわかるはずもない
再生 羽造 泰 @uzou-yasu
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