第3話 理解

「……え、マジ?」


テレビを指差しながら兄にそう問う。


「マジのマジ、ってか本人目の前にいるだろ。戯け」


えぇ、義姉が元人気女優ってマジ?

ふと、彼女を見るがいつもと違う雰囲気な服装をしていた。わからなかったのはこのせいか、いつも元気いっぱーいって感じだったから…この雰囲気が素なのかな?


「だったらほんとに玲子さん、マジでこの普通鬼畜男で良いんですか?マジで?」


「おい、鬼畜ってなんだ鬼畜って。」


「何いってんの。ジャ○ーズのイケメンアイドル共を普通の顔カテゴリに入れるような世界から来た方だよ?もはや異世界転移した勇者と同様言っても良いくらいのチートだよ?

そんな世界から来た人からしてみたら普通&普通の兄さんはゴミ以下だよ、」


「…ご、ごみ…以下…」


なんか知らないけど兄が撃沈した。知らんけど。


「ほんとに良いんですか?玲子さん、」


「うーん、まぁわたしにはこの人しか知らないしね。例えどんなに顔がよくても、性格がよくても、この人しか選ばないし、選べない。私の隣にはこの人以外は要らないや。」


笑いながら兄さんの腕をつねる様に触れている玲子さん、何かギュッと掴まれた気になった。

ほんと好かれてんな兄よ。


「…分かりました。めっちゃ!応援しますね!」


「うん、めっちゃ応援してね!まぁ、まずこの人を落とすのが先だけどね。」


あ〜、多分即落ち二コマだと思います。


「ゴミ以下かぁ…ゴミ以下…」


「もう、お兄ちゃん。しゃんとして、これから玲子さんと結婚するんでしょ?」



「え、何それ知らない。」



婚約もまだだったか、



☆ーー☆ーー☆ーー☆ーー


実はこの婚約者計画、ウチと玲子んチの両親が共同で起こした計画だったりする。今現在彼女こと玲子は此処をしばらくのホームステイの場としているのもウチの両親が裏で操ってたりするのだが


「は?明日からウチの学校に転校する?」


だからこう言った事も起こるもんで、

何それいよいよ僕死ぬじゃんって思ってたりする。


「うん、明日から和泉くんと同じ荒木高校に行く事になったんだ。」


「ほへぇ…」


「だから!楽しみだね!」


うん…まじで言ってる?

皿を洗いながらそう言う玲子に僕は心の奥底でそう言った。

胃が死にそうだ。明日は胃薬持ってこう。


その瞬間だった。ピロリンとケータイから音がする。


メールだ。


バナーに一瞬何かのメッセージが出たあとスタンプのバナーが現れたせいで読めなかったが

いやぁ〜な予感だけはひしひしと感じる

差出人は隼一の様だが、異常な程にメールを開きたくない。

数分でるか出ないか考える。




『プルルルルル……』





…ついに電話かけてきた。うわぁ、出たくない…


「…電話なってるよ?」


「あ、ああ、分かってる!」


はぁ、とため息つきつつ電話に出る。出る以外の選択肢がない事に泣くしかなかった。


「…もしもし?どうしたんだ?」


『聞いて驚け!明日転校生が来るってさ!!』


わぁ〜、さっき聞いた話題だ〜、とりあえず「お前女の子と歩いてたらしいな!」みたいな連絡じゃなくてよかった。


「へ、へぇ〜そ、そうなんだ〜」

 

『ああ!しかも女子らしい。ウチの新聞部の話だからソースに十分な信用は得られる。』

 

新聞部にどんだけ信用を寄せてんだよ。まぁ合ってんだけど…何者だ?新聞部。


「でもウチのクラスなのか?」


『いや、隣のクラスらしいぜ。』


「隣のクラスかぁ、」


それは良い事を聞いた。

マジで胃が死ぬ。


『だけど、ウチの学校でとなりのクラスって言ったって合同授業多いからな、ほとんど同じクラスみたいなもんじゃないか』


「た、たしかになぁ、」


『ん?なんだ?嬉しくないのか?』


「う、嬉しくないわけないじゃないですか〜、」


『…うん、なんで敬語?しかもあざとい」


思わず使ってしまった敬語にツッコまれる。

横で玲子が薄ら笑っているのが見えた。あ、可愛い。


『あとさ、すまないが一つ頼まれてくれないか?』


「なんだよ?」


『明日なんだが、家の手伝いがあってよ、』


こいつの家はパン屋さんをやっていてここら辺じゃ有名なパン屋さんだ。県外からも買いに来る程で毎日忙しいらしい、時々隼一はこうやって手伝いをやっている。親孝行者ってのはこう言う奴の事を言うんだな、


『実は予約したゲームソフトの発売日で、すまないが代わりに取りに行ってくれないか?』


「ああ、そんな話してたな、わかったよ」


『予約券は明日渡すから頼むよジュース奢るからさ』


そう言うと「じゃあな」と呟き隼一は電話を切った。律儀な奴だ。これくらいの頼み事でジュースを強請れるかっての、

しかし、ふむ、明日の下校はちょっと遠回りで帰るしかないか、


「ねぇ、和泉くん、和泉くん、」


「…ん、どうした?」


「放課後、どこか行くんだよね?」


「ああ、友達が欲しいものがあるらしくてね。」


「じゃあ、私も一緒に行って良い?」


「? 元からそのつもりだったけど、」





「じゃあ!実質デートだね!」




…? 

いや違うが?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る