第24話長崎で、プロポーズ
「あの人と一緒になりなよ。」
心を切り裂くような雪菜の冷めた
言葉によっぽど堪えたのか
魂が飛んだような顔をした大夢が
ポカーンとアホずらになっていた。
ん?なんだ?
なんかヤバいと思った雪菜は目の前
で大夢が壊れかけて行くのが
わかった。
顔つきが変わっていく。
無表情に‥
目の焦点が会わなくなり、
いっちゃってしまったような顔つき。
静かに雪菜を見るが、本当に焦点が
合わない。
「だ、‥大夢?」
「ン、」
口からよだれっぽい物がダラリと落ちた。
「大夢、大夢!! 大丈夫!! 大夢。」
「大夢?大丈夫?」あわてた雪菜は‥
かなりのヤバさに気づく
「Υ、YESしか受付ないん
でしよ。何人産めばいいの?
産むから、産んであげるってば!!
馬鹿じゃない?こんなに
見られてんのに恥ずかしくないの
大夢ー大夢ってバッ‼
しっかりシロ‼?☄️バシン💫」
平手打ちをする。
まだ目がトロリンとした大夢の、
顔を雪菜はペチペチと又頬を叩いた。
「うおりゃーあ‼
おめーの子産んでやるよ‼
📣聞こえたか━━━━━━━」
その言葉を聞いた大夢の顔に
血の気が戻った。
目も黒く生きてきた。
それを確認した雪菜はホッとしな
がら思った。
人が壊れていく瞬間って、本当に
身の毛がよだって来るんだと、
そしてこの人は本当に私の事
好きなんだな、と思った。
大夢が壊れてしまったら、
私は‥私は‥
雪菜も安心して力が抜けた。
かべに寄りかかり、ぐったりとなる。
「必死なら恥ずかしくない!!」
甦った大夢は、又雪菜を説得する。
「で!!俺様を捨てて
何処いくつもりだった?」
雪菜の手をなでながら帰って来た
痛みに、耐えながらひざまずき聞
いてみる。
「フランス!!」
「は?」う"ぐっ「なんていった?」
「だからぁ
フ、📣フ•ラ•ン•ス•だよっ‼」
「あんなに長崎にへばりついてたのに?
簡単にフランスに乗り換えるのか?」
「修行中だから、行くわよ。」
「い、いくのーか!! 」あっあっ
血の気が戻り叉よけい痛みが増し
復活したようだった。
「今度は俺、フランスに負けたのか?」
ウウッ
「だからぁ、比べる意味が分から
ないってば!!」
結局大夢を迎えにきた光寿郎が嫌がる
大夢をひきずり部屋に連れ帰った。
股間を抑えて、オカマ歩きの大夢を
病院に連れて行き
何とか痛み止めの点滴をうち
痛みも引いたようだ。
全てを悟った綾乃は言った。
「雪菜‥さん。大夢を愛してるの。
もう私も28なの、こんなに愛した
人は居ない。御願い必ず幸せに
するから。大夢を私に下さい。
大切にするし、あなたに
慰謝料も払います。‥だか‥ら
御願いします。」
彼女は泣きながら跪ずいた。
そんな彼女を哀れみながらも
雪菜はシッカリと答えた。
「ごめんなさい。私も大夢を愛して
ます。
彼をこのままにしておいたら
壊れてしまう。
壊れてしまった大夢でも愛せ
ますか?見たでしょう。」
「‥ううう。」
彼女は崩れ落ちて泣き出した。
「ごめんなさい。
譲れません。大夢がアナタを望む
のなら話は違いますけど・・・。
彼が決める事です。
心はお金では買えない。買えるの
だとしたら
それは愛では無いです。
愛情って、育てる物だと思います。
分からないけど、私は大夢を売ら
ない。」
デモ、金Xに湿布を貼った姿を
想像したら笑いが止まらない。
ざまぁwwww
イケメンがピシッと決まったスーツ
を脱いだオ、パンツの中身は
しっぷ?
見てないケド・・・。どうやって貼る
んだろう?
結菜も光寿郎も大夢を雪菜に
押し付けて二次会へ行った。
「フランス、いくのか?
俺様を置いて!! 」
大夢は、マンションのベットで
ブスッと背中を向けて聞いてきた。
「いく!" かも!!」
「行くなら、ホントに終わりだ。
俺をコロしてからいけ!!
生きていても意味がない。」
背中を向けたまま、いじけ虫のよう
に背中を丸めた大夢は、細い声で
呟いた。
「俺がしんでもいいのか?頭おかしく
なってもいいのか?」
「ケツ、、今度はおどかしかぁ~
‥でも、大夢の子供産んでから行く
だから、フランスで一緒に暮らせ
るように仕事頑張って!!
お金稼いで!!。♡」
大夢は、ふっと振り返り安心した
顔をして金Xをいたわるように
横になった。
しばらく横になっていたが思い出
したようにゴソゴソと紙を出してきた。
「あれ?金ちゃん痛まないの? 」
「うん、ちょっと違和感はある。」
大夢の広げた紙には
父親どうしの名前が書き込んであり
大夢の名前も書いてあった。
(チッ用意万端じゃん。)チラ見して
舌打ちする。
「あいつ等より先に出そう。
善は急げだ。」
(今まで、しおれた花のように
グッタリしていたのにィー、
何だよ!)
そうは思ったが
婚約指輪も、結婚式もしてない事に
気付き・・・
「女の子だもん白無垢も
ウエディングドレス も着たい。
高くなくていい。指輪も欲しい。」
すると式場も案内状も日にちも
予約してあった。
なんという用意万端‼
来年、9月25日大安吉日
案内状は名前と住所を書いて投函
するだけ。たまたまその日は、
結菜が仕事でヒマな光寿郎が
ついてこいと言うので式場を探して
一緒に回る時気に入った所を
見つけたので勝手に予約した。
大夢は来年必ず雪菜と結婚すると
親達に宣言し、子供の時からの約束を
守ってほしいと、弁護士連れて
出向いたらしい。
大夢の本気を昔から知ってる母の
口添えで承知させた様だ、
後で知ったがこの弁護士こそ
空港で土下座三昧ぶちかました
結菜の妹、陽菜の夫となる
田渕内蔵助なる
人物だった。
まだまだ時間はあるから充分間に合う。
せっつく大夢にペンを持たされ
「サインほら、サイン.」
「えっ!! だけど急だし。考える
ヒマないの?」
「時間の無駄、暇はない!雪菜が生
まれた日おばさんに言った。
雪菜を嫁に下さいって、あの日
から俺は雪菜の旦那なんだ。」
「小3の時、一回別れたじゃん。
大夢、私に、付いてくんな
って言った。」
「だからアレハ思春期!付いてくんな
とはいっても、お前の事 しっかり
環視してたしな!!」
「えっ、ストーカー?」
「旦那が嫁が浮気しないように
見張って何処が悪い!! 」
「私じゃなかったら逮捕されてるよ。
まだ子供じゃんか!」
「雪菜だからだ、他の女に興味
ない。」
「一回も浮気してないの?」
「・・・ 浮気?えっ‥と!!😵💦
ゴメン。」
「いつ?何歳頃‥(怒)!!💢」
「ヤリ盛りの項
な!!‥だれにもアルだろ!!
誘われたり‥とか
遊ばれたり‥とか。」
「いつから辞めたの?」
「雪菜を手に入れてから、止めた。」
「綾乃って人とは随分仲良すぎじゃ
なかったっけ?」
「してない!してない、 したら
即、婿養子の口だ。恐ろしい。
雪菜と結婚出来ないと思ったから 手、出してない。」
「じゃあ手出して大丈夫な人には?
足だしたの?真ん中の‼」
「してない!」キリッ
怪しいが信じるしかない。
婚姻届書いて、二人で市役所に出した。
次の日長崎のシェフに大夢とお詫
びに行った。
シェフは深深と頭を下げる大夢に
「雪菜は見所のある娘です。
残念ですが、仕方ありませんね。」
そう言って
「おめでとう。
ウエディングケーキは私が作り
ましょう。
雪菜は頑張って働いてくれたので!」
大夢も
「是非お願い致します。」
と頭を下げた。
長崎のあの日、泣きながら見た
夜景を前に、
「一緒になってくれて有り難う。
俺は雪菜の為に生きる。雪菜が
離れてしまったら‥俺はあの星になる。
だからそばにいてください。
それから心無い言葉で、
泣かせた事ごめん。」
そう言って小さな箱を出して
来た。
雪菜の左手薬指にシンプルだけど
ダイヤモンドが3っ並んでいた。
産まれた時。婚姻届を出した時
そして死ぬ間際まで一緒にいるとゆう
大夢の想いのこもった‥エンゲージリング。
「知ってるか?左手薬指には心臓と
綱がってる脈があるって、
俺はお前に心臓を
捧げるつもりでこの指輪を贈るよ。」
「うん。どうしても大夢に戻るんだ
もん。
諦めた!大夢のそばで離れず生きて
行くから、もう意地悪しないで‥。」
指輪をはめながら「フッ!! 」と笑った
大夢が気になる。
こうやって3回目の、プロポーズ
を大夢は雪菜の、大好きな長崎
の、夜景の見える街で
雪菜への愛を誓った。
雪菜はエンゲージリングだけで
結婚指輪は要らないと言ったが
雪菜の大好きな長崎で、
雪菜が気に入った指輪を買おうと
提案した。
2人で宝石店を回り雪菜の気に入った
指輪を買った。
9月までは指輪は、銀行の
貸金庫の中で眠って貰う事にした。
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