第22話 お前 終わったな‼



「ねぇねぇ聞いた?

課長結婚決まったみたい よ。

今、社長の所に

向こうの親来てるよ。」


「あーね。そんな感じだったよね。」


「ほら噂をすれば来たよ。」


エスカレータを2人で仲良く笑いあい

ながら腕を組み出てきた。


ダブルボタンの品のいいロングコート

にストレートの黒い髪が日本美人そ

のものだ。白いネックのセーターが

チラッとみえて黒いパンツが

ハイヒールの白さを引きつけている。


大夢もスタンドコートの下に黒い

スーツにワインカラーのネクタイが

よく似合ってる。


「すてきねー。」女の子達が

ハァ~っと魂が抜ける溜め息を吐い

ている。


「悔しいけどお似合いだね。」


「そだね。」

雪菜もつい口走る。


振り向いた2人に変な顔されたので

早足で大夢と彼女を追い越して歩いた

大夢は、また彼女の肩を抱いて

仲良しアピールをした。


これで雪菜の気持ちは、

固まった。長崎に帰りつくと

ケーキ店のシェフに




「よろしくお願いします。

 勉強に行きます。」



それからしばらくして結菜から

結婚式の案内状が届いた。


薄いピンクの上品な封筒は

開くと紙のレースが飛び出して


12月25日と日付があつた。

白い花と赤い花が可愛く両家の

挨拶文を囲んでいた。

結菜らしいなとほっこりした。


25日かぁ、

雪菜は深い溜め息をはいた。


そして‥


25日かぁ大夢も、

深い溜め息をはいた。

ハア~ッ!

「なんだんだ、案内状見て溜め

息吐くなよ。へこむぞ。」


光寿郎は持参したビールを

大夢が駄菓子屋で買い込んだ

味付きイカに食いつきながら

ご機嫌で言った。


大夢も光寿郎に言った。

「お前ら張り付いたように

ひつっいてんのな!! 

仲良くてなによりだ!!」


そう嫌味ったらしく言う大夢に

光寿郎も苦虫潰したような顔を

してため息吐きながら呟く。


「お前、せーっかく仲直りしてたのに

何で第2ラウンドの鐘ならしてくんだ

アホか?馬鹿か?


馬鹿につける薬はない!の意味が

良く分かるぞ!!」

と光寿郎は、呆れ顔をみせていた。


「ふんっ、俺は頭擦り付けて

人目も構わず、謝ったんだ。

本気見せたのにどうよ、は?

俺は頼んだんだ、一緒にいてほしいって・・・なのに何だよ。


マジムカつく。今度は、雪菜に

土下座してもらう。クソッ。泣き叫

んで俺を愛してると言わせてやる。」



大夢は、子供みたいに意地を通す

事がある、光寿郎はそんな大夢に

ことごとく忠告してきた。


「大夢、素直になれ!!大人になれ‼ 」

  

  「俺は素直に頼んだんだ。(怒)

   これ以上どうするんだ?」


意地を通す大夢に光寿郎は、半ば

呆れながら言った。

「よしよし!!俺は忠告したからな、

な!! どんな事になっても

恨むなよ。」


    「おうょ、聞いた。!!」

大夢は、プリプリしながら返事

した。



そして2人の結婚当日がやって

きた。



HAPPY WEDDING

12,25

   パーアニーHOTEL


結婚式当日。


招待客が集まり始める頃

雪菜は大夢を見つけると、足早に

近づいた。



「大夢、少し話したいんだけど?

ダメかな?相談もあるんだけど

聞いて欲しいの‼」


雪菜は少し胸のあいた膝までのパー

ティードレスにラメの入ったブラウン

のストッキング、ピンクのシヨールは

緩く巻いた胸下までのレースが

からまってとても可愛らしかった。



「ね、大夢少し話そうよ。

 聞いてほしい事もあるんだ。」


ツ━━━━━ンとすました大夢に

再度聞いてみる。


怒ってるのは承知しているが又

喧嘩したまま別れたくなかった。


一度🇫🇷🗼フランスの、地を踏めば

いつ帰れるか分からない。

10年

長ければ20年。


大夢の、彼女の、事も祝福して

あげたいし、何より大夢には、幸せ

でいて欲しかった。



又雪菜は申し訳無さそうに頼んで

みた。

しかし大夢の冷たい表情で

吐き捨てられた言葉は・・・。


「誰かと間違えてませんか?

貴方なんか知り合いに居ませんよ。」



相変わらずのウルフヘアーの

ツーブロックの大夢は、とても凛々

しく女の子達が振り向くほどいい男

だった。


「じゃあ櫻井雪菜の連絡先消せます?」


最後の賭だ。雪菜は大夢は、


絶対消せないと思っていた。




「フンッ!!’」

鼻息悪く、大夢は、ニヤリと笑うと

櫻井雪菜と名前を見せつけ、

パパパと操作して消去の文字を雪菜に

確認させるように雪菜の目の前に

もっていくと、


「ピッ」と親指で押して

消える様を雪菜に見せた。 


フンッΣ(-᷅_-᷄๑)


後ろから、「大夢♡」と呼ぶ声に

雪菜と大夢が振り向くと・・・


大夢はコロッと顔色を変え


ニッコニコ!

「綾乃、おせーぞ!!」

と雪菜にみせつけるように綾乃の

華奢な肩を引き寄せた。

グイ


「だれ?」綾乃は、ただならぬ

雰囲気に大夢の目を覗き込むように

聞いた。



 「結菜の知り合いらしいよ。

  花嫁さんの仲良しさん。

だってぇーサ。

俺こんなオンナ知らないし」


「あら、ナンパされちゃった?

 大夢今日すごーくカッコイイもん

ね。」


クスッと笑いながら彼女は、

綺麗な笑顔を見せた。

雪菜を笑うでも無く

バカにした様子も無い。



彼女のスッとした首元のネックレス

をいじりながら

 「そうか?綾乃だって

  ダントツで綺麗だよ。

  誰かさんより凄く綺麗だし!!

  花嫁さんより綺麗じゃ駄目じゃ

ん。」ペコ

大夢は彼女の頬っぺをつついた。


「ヒューヒュー次はお前たちか?」


男友達に冷やかせられながら

テンション高めに賑やかな

輪の中に彼女と大夢は二人で消えた。


片寄せベッタリな二人は成程

雪菜の、入る隙はない程密着


ションボリした雪菜を

確認した大夢は、胸の透くような

思いと半分何とも言えない

複雑な思いが残った。


辺りの証明が消えると

白無垢姿の結菜と紋付き袴の

光寿郎が入って来た。


結菜は、角隠しをとると博多人形

のような美しさがあった。


大夢は、隣に綾乃を置きながらも

雪菜をジッと見ていた。


雪菜は知った友達が居る訳でもなく

ポツリと咲いた艶やかな

花のように静かに座っていた。


話す人も居なく1人寂しかったが


結菜の門出だ、寂しい顔や悲しい顔は

絶対ダメだと自分に言い聞かせて

出来るだけ明るく振る舞った。


「あの子かわいくね。」

何人かの男が近寄り、雪菜に

チョッカイだしていた。


雪菜は大夢に助けを求めるような

顔をしていたが大夢は、知らん顔を

して綾乃と話していた。


大夢は小さな声で

「ふんっ!! しるか(怒)」と呟いた。


困り果てていると、結菜の家族が

「もしかして雪菜ちゃん。」


結菜の妹らしき女の人が現れ

「遠い所ありがとう。」と御礼を

言われ親族席に移動させてくれた。




結菜の妹、陽菜も先日プロポーズ

されたらしく結婚が決まったと

話してくれた。



陽菜は結菜より行動力がありあんまり

悩まないタイプらしいが

顔は流石に姉妹よく似てる。


彼氏から、

空港でのど真ん中で土下座され、

死ぬとまで叫ばれ、参ったと笑い

飛ばし、でも、

流石に恥ずかしかったらしい。


「わかる~私も道で・・・

あっ、でも駄目になった

けどね。」


陽菜と雪菜が仲良くしてるのを

みた結菜もホッとしていた。

光寿郎も、

「あれが大夢の、復讐らしいぞ!」

と結菜に耳打ちした。


「自分の彼女、ほっぽるなんて酷い。」


 結菜を落ち着かせるのに

 必死な光寿郎は、結菜がお色直しに

 引っ込んだ時に大夢を呼びつけた。


「お前、終わったな!! もう雪菜は

お前を離れたぞ!! もう別れる

覚悟をしろ。


彼女を不安のどん底に、

突き落とした時点でおわったな!!

結菜も激怒、だぞ‼

なぁにやってくれてんの‼」


    「えっ‼。」

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