第2話 きみの物語をとりたい

 間違いなく君だったよ

 サンダルでダッシュ!

 間違いなくダッシュ!

 サンダルで君だったよ



「ないな、ないない。絶対やだ。え、ねねちゃん私のこと書く気?」


「嫌なら書けないよ」


「うん、嫌だな」



 思っていたよりも冷たい口調で返事をしてしまって慌てて訂正する。


「普通に恥ずかしいから、だーめ」


「かわいく言うな、わかったよ」



 それから私綿貫春香はねねちゃんを避けてしまう。ねねちゃんの長い髪、間違わずにわかるから。見たらダッシュ、ピンポンダッシュならぬルックしたらダッシュ!まあねねちゃんほど速く走れないけど。私は運動好き、スポーツも好き。ただ走るのが苦手で。女子応援部というのに入部した。いや先輩かっこよかったんだもの。男子応援団と一緒に運動部の応援に行く。試合も見れるし楽しい。チアほど露出はないよ、残念ながら。


 この3年お花や猫、ねねちゃんを撮った。走り抜ける君の姿を、眩しく感じた。街中でカップルに写真をお願いされた。仲のいい二人も眩しかった。カメラの趣味はなんとなく隠してるから写真部には入れなかった。


 撮った写真をまとめて、可愛く飾る。ねねちゃんの驚いた顔も激写できた。走って逃げたところも綺麗に。コマ撮りみたいに。


 君が物語を書いていることを知っていた。演劇部の脚本なんかも。



「すいません」


「はーい、どちらさま…」



「あ、ポンさん!…来ちゃった」


 インターホンに写る恥ずかしそうなねねちゃん。サンダルを急いでつっかけた。

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