第27話 餅は餅屋だと思いましたね、ハイ。
前回のあらすじ:不思議な植物たちが移り住んできました。
テシテシ、テシテシ、ツンツン。いつもの朝起こしで目覚め、モフモフとおにぎりの刑に処して戯れる私達。いつものように朝食を摂り、片付けが済んでから、これまたいつものように畑で作業しようと外に出た。
「整列デス!」
声をかけていたのはマンドラゴラ。アルラウネとドリアードがマンドラゴラの前に並んで立つ。
「点呼開始デス!」
「いち」
「に。総員3名揃っているデス!」
何をしているのかな? と不思議に思ってその場で突っ立っている私達。それに気づいたマンドラゴラが声をかけてきた。
「あ、ご主人、おはようデス!」
「「おはようデス!!」」
マンドラゴラに続くように挨拶をしてきたアルラウネとドリアード。私よりも先にマーブル達があの3人? に挨拶を返した。
「ミャア!」
「みなさん、おはようです!」
「おはよー!」
うちの猫(こ)達は今日も元気です。っと、そんなことよりも。
「・・・みんな、おはよう。ところで、3人は何をしているのかな?」
「点呼の練習をしてるデス!」
「点呼って、3人しかいないけど?」
「ここは、素晴らしいところデス! すぐに数が増えるデス!」
「いや、数が増えるって、それぞれ君たちしかいないじゃん。」
「いえ! 私達は魔力が貯まると数が増えるようになっているのデス!」
「そうデス!」
「魔力、大事。」
「なるほど。それで、いつ数が増えてもいいように、今のうちから練習をしているんだね?」
「そのとおりデス! さすがはご主人です!!」
「いや、それくらいは分かるからね、、、。」
「つきましては、ご主人にお願いがあるデス!!」
「あるデス!」
「お願いデス!」
「・・・伺いましょうか、、、。」
「お願いとはデスね、私達にここの畑の世話を任せて欲しいデス!!」
「私達は、それぞれ得意分野がありまして、私ドリアードは木、マンドラゴラは地下で実のなる植物、アルラウネは草の植物がそれぞれ得意デス!!」
「お任せデス!!」
・・・マジか!? それはこちらからお願いしたいくらい嬉しい提案だ。マーブル達は果たしてどう思っているのか? ・・・聞くまでも無く嬉しそうにしているな。ということで、賛成多数で可決だね。
「嬉しい申し出だけど、御礼になにかして欲しいことはある?」
「・・・うーん、ここの畑を守って欲しいこと位デスかねぇ、、、。」
「もちろん、守るけどね。大切な商品だしね。」
「それなら契約成立デス!」
「成立デス!」
「いっぱい育てるデス!!」
「本当に条件は畑を守るだけでいいの? 収穫した品の一部が欲しいとか、そういったものは?」
「大丈夫デス! ・・・たまにご主人の作ったものをいただければそれで、、、。」
「私も食べてみたいデス、、、。」
「味見、重要。」
「それは構わないよ。食べたくなったら言ってね。多分、そっちから言ってくれないと気づかない場合って多いから。」
「「「ありがとうデス、頑張るデス!!!」」」
3人? が一斉にそう言って敬礼してきた。見事なくらいに動作や声がピッタリだし、凄いねぇ、、、。で、マーブル達が敬礼を返したので、私もやらないといけないかな。私が敬礼を返したけど、誰も敬礼の姿勢を崩そうとはしなかったので、仕方が無いから、私が敬礼を解くと、解いたことに気づいたマーブル達が敬礼を解いて、その後でようやく植物組の3人が敬礼を解いた。
・・・何か、上官に対しての敬礼っぽくなかったか!? 私が最上位で、マーブル達がその次、で、その下にあの3人といった感じ? 何故ここまで本格的!? 私は緩い感じが好きなんだけど、多分聞き入れられないだろうな、、、。諦めますかね。
「ご主人の許可が取れたところで、各自任務に就きます。では、解散!!」
マンドラゴラがそう言って畑の土に潜り込むと、アルラウネとドリアードがそれに続くように畑へと移動していった。ちなみに移動先はマンドラゴラはトマトなどが植えてある畑へ、アルラウネは収穫が終わったばかりの小麦畑へ、ドリアードはカエデの木へとそれぞれ移動していた。密かにカエデの木の生長を楽しみに待っていたマーブル達は非常に喜んでいたことも付け加えておく。
あの植物の魔物達が世話をしてくれることにはなったけど、自分たちでもやらないといけない仕事ってあるだろうと思って、草取りなど各種の作業を行おうとするとあの3人に止められて仕事できなかったよ、、、。仕方がないから、岩塩採掘に行ったり、オリーブの実を収穫に行ったりしてきた。で、そのオリーブの実を見たドリアードが、これからは自分が世話します! と、持っていたオリーブの実を1つ没収されてしまったが、大勢に影響はないので、そのままオリーブオイルを絞る作業をした。
お昼の時間になったが、今日は珍しくお客さんが来ていなかったので、折角だから外で食べよう、ということで用意できたら外で食べる準備をして、外へと昼食を持っていく。一応、外でも食べられるスペースは作っておいてあるので、外での食事も可能となっている。・・・私達以外は誰も使用したことないけどね、、、。
今日用意したのは、3種類のボルネーゼとニンニクオイルパスタである。全員で食べられるように大皿で用意して、いざ、頂きます! となったときに気配を感じた。そう、マンドラゴラ、アルラウネ、ドリアードの3人である。とても食べたそうにしていたので、あの子らにも分けることにした。
改めて、頂きますのかけ声で昼食を食べ始めると、3人は食べながら驚いていた。
「ふ、ふおーー!! こ、この麺というものは、ここで作った小麦を使っているのデスか!? こ、これは育て甲斐があるデス!!」
「こ、このパスタに入っているニンニクというものもそうデスが、こっちのパスタで使われているタマネギというものも凄いデス! むむぅ、私も負けていられないデスよ!!」
「こ、これに使われている油はさっきの!? 私も頑張るデス!!」
と、こんな感じで自分たちの得意分野の素材の味に感心しながらガツガツ食べていた。・・・もちろん、こんな感じであったのだから最初に用意した分では足りるはずもなく、追加で作るハメになったことをここに付け加えておく。ちなみに、マーブル達は「どうだ、羨ましいだろう?」というような表情であの子らに自慢げな顔だったのが印象的だった。でも、可愛いのは変わらない。
一緒に昼食を食べてから、あの3人の張り切りようといったらなかった。マーブル達の手伝いをもってしても、雑草等どうしても処理しきれないものもあったのだが、あの3人が管理するようになってからは、雑草1本生えていない状態になってしまった。
かなり頑張って良い状態を保っていた我らが畑が、この日以降さらに凄いことになってしまったのは驚いた。マーブル達も驚いていた。・・・この件で、やはり餅は餅屋だな、という思いが強く頭の中を支配していた。まあ、さらに美味しいものが食べられるとあれば、それは嬉しいものである。
・・・1つ伝え忘れていたことだけど、ニンニクオイルパスタを食べたマンドラゴラが、「非常に美味しいけど、辛みが欲しいデス。」と言っていたので、これは未完成品で、唐辛子があればこの料理は完成すると答えた後、畑に唐辛子らしき植物が増えていたのだった、、、。
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