第26話 新たな住人? が来ました、ハイ。
前回のあらすじ:ニンニクが手に入ったので、アーリオ・オーリオを作った。
ニンニクが手に入ったので、ニンニクを使った新たな料理を作ったり、今までメニューにニンニクを加えたりしてさらに充実した食生活を送りながら、平常通りの日常に戻ったと思える。
朝はマーブル達のテシツンで起こしてもらい、朝食を食べる。その後は腹ごなしにモフモフタイムを堪能してから、畑の作業を行い、昼近くになってから食堂を開いてわざわざ来てくれたお客さんをもてなし、暗くなる前に閉店して、夕食を済ませてから次の日の仕込みをして、風呂と洗濯を済ませたら、寝るまでマーブル達と遊んだりモフモフを堪能してまた次の日を迎える、そんな日が続いた。
ここに店があるせいか、クルンの街の冒険者達がこの危険な森で依頼をこなす者が増えてきており、その分依頼料もガッツリ手に入るようになり生活もかなり豊かになってきているようだ。この店に来るお客さんは依頼のついでに寄る場合が多い、というよりも、ここに来るためにわざわざ森の依頼を受けているらしい。ありがたいことである。
お客さんが来てくれる分、こちらの貨幣による収入も増えてきており、ハンバークの村では遠慮することなく沢山仕入れることができる。ただ、クルンの街ではそこまで買えるほどのお金はない。そういえば、ハンバークの村でも最近人が多く来るようになったとか。先日村に行ったときにトメさんがそんなことを言ってたっけ。
安全に漁に出られるようになったばかりか、基本大漁の状態で戻ってくるので、それを求めてクルンの街はもとより、各町から商人やら冒険者やらが集まってくるようになったとか。食堂や酒場もメニューが充実してきていたな、そういえば。しかもかなり安かった。あれじゃあ、人気もでるわな。
そんなこんなで待ち望んでいたマッタリのんびりした日常を送れるようになり、マーブル達と畑に繰り出したそのとき、新たに開拓したばかりの何も植えていない範囲の部分に、見たこともない葉っぱが生えていた。
おかしいな、そこには何も植えてないし、種も蒔いていない。何が起こった!? 気になって鑑定をかけてみると、鑑定結果では「マンドラゴラ」と出ていた。しかもおざなり!? ということは、食べられないのか、、、。一応、これ魔物だよね? でも、マーブル達は特に警戒していない、ということは、敵意はないということか。
私達はマンドラゴラと鑑定された葉っぱの所に行き、少し観察してみることにした。質感は、、、大根みたいな感じだな。でも、アマさんがおざなりな対応だったからこの部分は食べられない、と。大根みたいなんだけどねぇ、、、。
色ツヤについて確認してみると、栄養状態はかなりいいみたいだ。直に触れてみると余計に大根葉にしか感じられない。違いといえば、植わっている根元の部分は白いと言えば白いけど、通常の大根よりもかなり太い感じだ。えーと、桜島大根? そんな印象である。
とはいえ、今日は小麦を収穫をしなければいけなかったので、いつもより時間的に余裕がなかったので観察はここまで。ではさっさと収穫してしまいましょうかね。
収穫が終わり、種籾用と、食事用に分けて袋に詰めて空間収納へとしまって一息ついていると、お客さんが来たので食堂を開いて営業開始。最近よく来るようになった男女1人ずつという2人組のチームだ。
「アイスさん、今日もうまかったぜ、ご馳走さん!」
「お粗末様でした。またのお越しを。」
「マーブルちゃん、ジェミニちゃん、ライムちゃん、また来るからね-!」
「ミャア!」「キュウ!」「ピー!」
彼ら2人は去り際にいつもこう言って店を出て行く。
この後、合計で4組のお客さんが来て食事をしていった。我が食堂ではボロネーゼが看板商品ではあるが、一番の人気メニューといえば、ストレイトウルフのステーキ丼だったりする。定番メニューにしてもいいんだけど、米の供給が追いつかないのだ。まあ、米じゃなくてウチは押し麦だけどね。しかも最近はニンニクが手に入ったおかげで人気がうなぎ登りとなっていた。一応、ステーキ単体でも提供はしているけど、これ単体で頼むお客さんはほとんどおらず、必ず押し麦のある状態でしか注文してこない。まあ、ボロネーゼもその次に人気な商品だ。逆に日替わりについては、ストレイトウルフのステーキ丼以外はあまり頼んでこないなぁ、、、。まあ、いいけどね。
次の日、小麦の種を植えようと、畑に出ると、昨日いた場所にマンドラゴラの姿はなく、。丁度よかったので、先日開拓した場所に小麦の種を植えて一息つく。これが終わったら、収穫した小麦畑は土魔法で攪拌してからしばらく土地を休ませる作業をしようと思って、小麦畑後を見てみると、昨日いたマンドラゴラがいた。
「あれ? いなくなったと思ったら、あんなところに、、、。って、何か増えてるぞ、おい!!」
そう、昨日のマンドラゴラと覚しき大根のようなものの他に、さらに1種類別の植物が植わっていたのだ。鑑定してみると、「アルラウネ」と出ていた、、、。鑑定結果から見ると、この植物、いや魔物かな、この存在も食べられないようだ。掘り起こそうかとも考えたけれども、この先どうなるかが気になってしまったのもあり、そのまま放っておくことにした。
さらに次の日、気になって小麦畑後を確認すると、今日は移動せずに2体ともいた。やはり何か増えていた。今度は小さいけれども木であった。
「また増えてるよ、、、。」
ここまで来たら、どこまで増えるのか気になるので、観察を続けることにした。ただ、そろそろ大麦の収穫が近いので、そちらの準備もしないとね。場所どうしようかね。更に広げても良いけど、これ以上は管理が面倒なんだけど、、、。とはいえ、同じ場所には植えたくないので、1つ新たに拡張することになった。
・・・結果から言うと、3体以上は増えることがなかった。ホッとしたような残念なような複雑な心境ではあったけど、増えないものは仕方がないね、、、。
そんなこんなで更に数日が過ぎて、朝食の準備をしていると、呼び出し音が鳴った。何事かと食堂の入り口を開いてみると、3体の魔物がそこには立っていたのだ。1体はセクシーな大根みたいな魔物。もう1体は、菖蒲だかアヤメだか、カキツバタだか全く区別がつかない感じの魔物。もう1体はできたての木みたいな姿をした魔物であった。そう、小麦畑に植わっていた3体である。
「いきなりですみません。あなたが、この辺の畑のご主人デスか?」
「そうだけど、どうしたの?」
「ハイ、わたしは、この森に住んでいるマンドラゴラという者デス。」
「わたしはアルラウネ-。」
「わたしドリアード。」
「うん、3人の名前はわかったけど、一体どうしたの?」
「あなたにお願いがあって来たデス-。」
「おねがいー。」
「デス-。」
「お願いとは?」
「わたし達をこの畑にいさせて欲しいデス。」
「おねがいー。」
「デス-。」
「それは構わないけど、どうして?」
「この畑、とても居心地がいいデス-。ここの魔物おっかないデス、わたし達の仲間がみんな食べられたデス。けど、ここは安全みたいデス。どうか、ここにいさせて欲しいデス。」
「なるほど。それは大変だったね。2人とも同じなの?」
アルラウネとドリアードも同じだったらしくコクコクと頷いた。
「見ての通り、ここは食べ物やだから、売り物となる植物たちの邪魔にならなければいいよ。」
「ありがとデス-。わたし達は植物の魔物。だから、ここの植物たちと仲良くできるデス-。」
「ミャア!」
「よろしくおねがいするです!!」
「いらっしゃいー!」
ふむ。マーブル達も歓迎しているのか。じゃあ、断る必要はないかな。
こんな感じで、新たに住人? が増えることになった。
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