第6話 拠点となった場所の紹介です、ハイ。
前回のあらすじ:水場が見つかったので、拠点にした。
「何、これ?」
目の前には、2階建ての家があった。数時間前には池の周りには何も無い状態だったのにだ。
呆気にとられていると、私がこちらに来たことに気付いたマーブル達が、嬉しそうにこちらに飛びついてきたので、我に返って抱きかかえてモフモフした。
「何、これ?」
驚いたので、もう一度言ってしまった。
「何って? もちろん、ワタシ達の新しい家ですよ!!」
「いや、もちろん、それはわかっているのだけど、何でこんなに早く出来上がるの!?」
「さあ、アイスさん、家を確認して下さい!!」
聞いちゃいねぇ、、、。3人が私の上から飛び降りて案内するように先を進み出したので、付いていった。どんな感じになっているのか楽しみも大きかったけど、まだ驚いていて実感が沸いていなかった。
正面入り口は数段登ってから入る感じになっていた。食堂の入り口みたいな感じだ。このまま入るのかと思ったら、最初は周りを案内された。
家の側面を見て、入り口に階段がある理由がわかった。床が地面に接地されていない状態、つまり高床なのである。まあ、高床と言っても、高さ50cmくらいのものなんだけどね。裏側にも入り口があるのだけど、まさに裏口といった感じの広さであり、扉のとなりにはしごみたいなものが掛かっており、それを使って入るのだろう。
側面には窓と覚しき扉が数カ所設置されていた。ここは石英のようなものが手には入ったらガラスの窓にするのもいいかもしれない。また、壁面は何というか、校倉造りの感じであった。というか、何で君達校倉造り知ってるの!?
家の周りを一周したが、かなり広い印象だった。これだけ広い家を短時間でしかもかなり精巧に作られている感じなので、中には何もないんだろうな、と思いつつマーブル達の後ろを付いて歩く。
正面入り口の扉に着くと、マーブル達が扉を開けてくれた。
「ミャア!」「さあ、アイスさん、中に!」「あるじ、はいってー!」
「私が先でいいの?」
3人とも頷いたので、ありがたく先に入らせてもらう。
「おお、凄い!!」
この言葉しか出なかった、、、。驚きと同時に、喜びが全身を駆け巡って、思わず涙が出てしまった。私のために、あの可愛い3人組が一生懸命作ってくれた家。仮にその出来が悪くても私は喜んでいたであろう。けど、目の前にあるものは、どれも素晴らしい出来だったのだ。
入ってすぐの部屋は、大部屋ではあったけど、3:2で仕切られている。2の広さの方にある部屋には、テーブルが2つ、そのテーブルにはそれぞれ椅子が4つ、仕切り側に沿うようにテーブルが着けられており、椅子も4つ置かれていた。
3の広さの方にある部屋に行くと、そこには厨房と覚しき空間と配置がされていた。
「この配置は、どうして?」
「たべものやさんみたいにしたかったー!!」
「へ? 食べ物屋さん?」
「そうです! アイスさん、ここで食堂をやりましょう! ワタシ達も手伝いますよ-!!」
「ミャア!」
「ボクもおてつだいするー!!」
「いや、それは構わないけど、誰も来ないと思うよ?」
「来なくても問題ないですよ。ここにはいろんな魔物もいるようですし、森にも美味しい植物が沢山あるようですから、美味しいもの沢山作れるでしょう。それに、ワタシ達だけで、ここで生活するのもいいですよね!」
なるほど、確かにそうだ。誰も来なくてもこの3人がいれば問題ないしね。水も十分なくらい手に入るし、生活するには全く困らないな。
「じゃあ、ここを家+食堂にしましょうかね。確かに誰も来なければ来ないで特に問題はないしね。では、ここを食堂とする!!」
某髭ディレクターの台詞のように宣言しておく。マーブル達は嬉しそうに走り回っていた。やはりうちの猫(こ)達は最高だ。
しばらく、ホッコリとマーブル達を眺めていたが、そのマーブル達が私に飛び乗ってきたので、家の確認を再開する。
テーブル、いや、客室としますか、客室側と厨房側にそれぞれ扉があったが、客室側の扉はどうやらトイレになっているようだ。しかもトイレは2つ用意されていた。しかも便座が洋式となっていたのには驚いた。汚物処理については気になったけど、その辺はライム曰く、近くにスライムがいそうだから大丈夫だと言っていた。ライムももちろんできるけど、ライムに汚物処理をさせるのはどうにも気が引けたので、助かる。
厨房側の扉を開けると廊下になっていて、正面の方向と左方向にそれぞれ真っ直ぐ進むようになっていた。正面の方向だけど、すぐ右側に扉があり、そこもトイレとなっているようだ。そこのトイレは私専用らしく、座る部分も食堂のトイレより豪華だった。正面の方向を少し進むと左右に扉があり、どちらの扉も部屋につながっていた。左側の部屋には、もう1つ扉があったが、恐らく、左方向の進路に設置された扉なのだろう。右側の部屋だけど、入り口はここしかないけど、この部屋が一番広かった。どうしてこうなっているのか気になったので聞いてみた。
「これらの部屋って、大きさ違うけど、何か理由があるの?」
「もちろんです! 小さい方の部屋は、食料の倉庫で、大きい方の倉庫はお酒用の倉庫です!」
「なるほど、お酒を造れってことね、了解、、、。でも、フロストの町のやつよりも出来は良くならない気がするけど、大丈夫?」
「アイスさんが作るのですから、大丈夫ですよ!!」
ジェミニの発言に、マーブルとライムも賛同している。面倒だし勘弁して欲しいけど、あの3人のおねだりとあっては断れない、、、。仕方ない、やりますか、、、。
どうやら、左側の通路は、その食料の倉庫への扉しかないようだ。ということで正面の通路を進むと奥に階段があった。階段は一段一段の広くなっており、マーブル達も余裕で上り下りできる感じになっている。
ちなみに2階は私達の生活するスペースとなっており、風呂場や洗濯場もここに置かれている。ちゃっかりベランダまで作られていた。ここまでしっかりした家を用意してもらったのだから、こちらも食事の準備に気合を入れないとね。
「みんな、ありがとうね。いいものも手に入ったし、お礼の意味も込めて、夕食は気合を入れて作りますよ!!」
「ミャア!!」「やったです!!」「わーい!!」
マーブル達は嬉しそうにその場を走り回っていた。さて、準備を始めますかね。
夕食は、みんな嬉しそうに食べてくれた。気合を入れて作った甲斐があるというものです。まだ、あり合わせだし、調理器具も揃っていない現状なので、メニューについては割愛。非常に美味しかったとだけ伝えておく。
夕食も終わって、片付けを済ませて、2階へと移動してマーブル達と一緒にお風呂に入ったり、自分の一張羅を洗濯して乾燥させてから再びそれを着て、再びマーブル達とのモフモフタイムを楽しむ。気にすることなく堪能出来るっていいよね。時間を忘れて寝不足にならないかだけが心配。
私もそうだけど、マーブル達も眠くなったようなので寝ることにする。もちろん布団なんてものはないので、先程狩ったストレイトウルフ達の毛皮を敷く。言うまでもなくライムにキレイにしてもらってあるので、良い感じにふわふわモフモフしておりかなり心地よい感触である。もちろん使用する毛皮は上位種のものを。現段階で最高の毛皮に加え、左右にモフモフ、枕が水枕と言わんばかりのプヨプヨである。これだけ贅沢な寝具があるだろうか?
私に最高の幸せを提供してくれたモフプヨ達におやすみの挨拶をして今日という一日は終了。さてと、明日は何をしようかな、、、。そう思いながら次第に意識が消えていくのを感じた。
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