第4話 お肉が手に入ったら、もちろん調理です、ハイ。
前回のあらすじ:3人も一緒だったのでとりあえず一安心。
角持ちウルフ、計18体を仕留め終えたので、最初にやることと言えば、もちろん解体作業だね。そういえば、食用可と鑑定結果には出ていたけど、内臓も該当するのかはわからなかった。少なくとも肉の部分は問題ないと思う。流石に肉の部分ではなくて、内臓だけ食べられるよ、なんてオチは勘弁して欲しいけど、実際の所はどうなんだろうか、、、。と、とりあえずものは試しである。
「では、無事魔物達も倒し終えたところですし、この世界での初解体といきましょうか。各自、役割は大丈夫ですね?」
「ミャッ!」「キュッ!」「ピー!」
いやいや、マーブルはともかく、何でジェミニもライムも一般公開用の言葉になっているんですかね、、、。まあ、いいや。では、解体を始めましょうかね。
最初にすることは、できるだけ魔物の鮮度を落とさないように、倒した魔物を空間収納へとしまうことである。アマさん曰く、能力はそのままでこちらに移してくれているとのことだったので、この量なら余裕で入るはずだけど、果たしてどうなるやらというのが正直な気持ち。実際に入れてみると、かなり余裕だったので一安心。
頭部を見ると、誰が倒したのか丸わかりである。マーブルとジェミニは切り口が鮮やかなのに対し、私やライムは頭部を破壊する感じで倒しているので、かなりグロいことになっているが、それでも目を背けてはいけない。食料となった魔物に敬意を払う意味も込められているから。どうしても使い途がない部分はともかく、利用できる部位については、きっちりと使い切るのが礼儀というものである。
しっかりと残っていた角がどうしても気になったけど、今は解体作業を優先しなければならないと思い直して、しまった18体のうちの1体を収納から出した。
最初にジェミニが土魔法で穴を掘る。ライムが毛皮となる外の部分を綺麗にしている間に、私が水術で血抜きを行っていく。血は穴に流れており、マーブルが風魔法で血のニオイが周辺に行かないように閉じ込める。
私の血抜きが完了する頃には、ライムの毛皮の掃除も終わり、実際に解体作業の始まりである。ジェミニはサクサクと各部位へと切り分けていき、処理の終わった部分からライムが綺麗にしていく。実を言うと、マーブルに関しては、今回については役目は終了となるので、別任務を与えることにした。というのも、何か味付けできるものが欲しいので、それを探す必要があるからだ。
マーブルは、ああ見えても、食べられる木の実や草類を見つけるのが上手い。ただし、甘いもの限定だけどね、、、。早急に欲しいのは、肉に味付けをできるものだけど、それは、解体作業が終わったら、改めて探すことにしているので、別の一品という、どちらかと言えば、後回しになってしまうものを、マーブルに探してきてもらおう、という考えである。
「マーブル隊員には、これより周辺の探索に加えて、食べられそうな植物があったらそれを採ってきて欲しいと思いますが、よろしいですか?」
「ミャア!!」と、マーブルは喜んで引き受けてくれたので、お願いした。
本来なら、手の空いたマーブルには私の近くにいて、私をモフモフなどで癒やすという重要任務もあったのだけど、食事でもう1品以上増やすというのはそれ以上の重要任務であったので、ここは自分だけの欲望を抑えることにしたのである。
全18体分の魔物の解体も終了したので、とりあえず内臓部分は可食部位であるのかを改めて鑑定で確認してみる。アマさん、そこら辺頼むよ。
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『ストレイトウルフの内臓』・・・すまんかったのう、何かと面倒な作業が多くてのう、対応が最低限になってしまったのじゃ。いや、やる気がないのも確かにあるが、ちょっとアッサリし過ぎていたのは自覚しておったよ。っと、内臓部分についてのことじゃな? 残念ながら、こやつらの内臓部分はお主には無理そうじゃな。ちなみに3人にとっては問題なさそうじゃが、お主が無理だとあの子らは食べないじゃろう。
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なるほど、私では無理か。ということは、美味しくないということだな。じゃあ、マーブルが戻ってきたら、燃やしてもらいますかね。ということで、内臓部分については、先程の穴に放り込んでおきましょうか。
マーブルが戻ってきたので、早速火魔法で血ごと内臓も焼却してもらった。キレイさっぱり消えたので、掘った部分を埋めてから、改めて先に進むことにした。水場も見つけないといけないからね。
マーブル達は、それぞれの場所に飛び乗ったので、移動再開だ。
「マーブル、探索お疲れ様。何か美味しそうなものは見つけた?」
「ミャア!!」
「アイスさん! マーブル殿はたくさん見つけたようですよ!」
「おお、それは楽しみだね! もちろん、取り尽くしてはいないよね?」
「ミャア!」
「だいじょうぶー。はんぶんずつのこしたってー。」
「そうなんだね。流石マーブルだね。で、何が採れたのか、後で見せてね。」
「ミャア!!」
言われなくても残しておいてくれている辺り、マーブルは賢い! 流石は私の自慢の猫(こ)である。
「ところで、マーブル。水場は見つかった?」
マーブルによると、水場は見つからなかったとのこと。でも、それっぽい気配を感じたと言うことで、その場所を目指してみることにした。
マーブルに案内してもらいながら、調味料となりそうな植物を探しつつ進んでいると、薬草と思しき植物が群生していたので、鑑定してみると、やはり薬草だった。
薬草も大切な植物であるので、これも半分残して残りを採取していった。同じ薬草でも結構種類があるようで、苦いものからしょっぱいものまで様々あった。とりあえずしょっぱいものに関しては、今回の肉の味付けに使おうと思う。この世界のことはほとんどわからないから、保険を掛けておくのは大事である。
かなり進み、時間も良い感じになってきたので、昼食を摂ることにした。お肉といったらステーキでしょう! まずは食器の確保をしないと、ということで、周辺の木を伐採してもらい、水術で木材の水分をなくしてから加工して完成。手に入れた木からは、それなりの人数分の食器ができた。もちろん、匙やフォーク、ナイフといったカトラリーと呼ばれるものも作った。
食器もできたことだし、次はお肉の調理である。使用するお肉は、スピアー種の肉である。上位種を先に食べてしまうと、下位種が食べられなくなる恐れがあるし、調理法もこれで正しいのか確認する必要があるから。
ということで、解体された肉を取り出し、マーブルがカットする。肉の塊は1つにつき、大体3、4キロあるけど、一食でそんなに食べられないので、今回は3等分して、1つを残してあとは収納。
残した1つを更に4等分し、それぞれを風魔法で浮かせる。それらのお肉は、水術で温度を上げて低温調理のようにして中にじっくりと火を通す。
火が通った感じの色合いになったので、マーブルに合図を出すと、マーブルが火魔法を放って、表面に焼き色を付けていく。
肉に低温調理を施している間に、しょっぱい味のする薬草の水分を水術で抜き取って乾燥させておいてある。
肉に焼き色が付いたら、ジェミニが先程完成させた食器を並べて、その上に肉を置いてから、先程の薬草を振りかけていき、準備完了。名付けて、ランサーステーキの完成である。名前、そのまんまなんだけどね、、、。
「上手くできたようでよかったよ。では、材料となった植物や魔物に感謝を込めて、頂きます!!」
「ミャア!!」「頂きます!!」「いただきます!!」
食事前の挨拶をして、木のフォークで肉を刺してみるが、低温調理で良い感じで火を通したおかげで、何の抵抗もなく刺さり、木のフォークで肉を切ってみたが、こちらも抵抗なくしっかりと綺麗に切れた。肉からは、良い感じに肉汁が出てきている。
肝心のお味であるが、ハッキリ言います。かなり美味いです。肉もそうですが、先程調味料として使った薬草が良い仕事をしました。この2つ、かなり相性いいです。その証拠に、マーブル達も非常に美味しそうに食べております。この光景を見るだけでも、ご飯数杯は食べられるというものです。
とりあえず、ランサー型の味はわかったと思うので、一通り試してみるのもいいかと思った。下位種のランサー型でさえこれなので、残りも期待できるというもの。
お肉も食べ終わって、マーブルが用意してくれた木の実を頂いております。鑑定をすると、「ビナナ」というらしいです。何となく予想はつくと思うけど、これって思いっきり「バナナ」で、甘い種類のやつだ。しかも、ありがたいことに種なしのタイプである。
こうして、昼食を堪能した後、気分もリフレッシュできた私達は、水場を求めてこの場を後にした。
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