トロイメア・オンライン！ 〜ブラコンでロリ巨乳の私は、クソザコステータス『HP極振り』と残念魔法『自爆魔法』で、最強で快眠な女子に成り上がります！〜

みんなには内緒だよ！

　◇ ◆ ◇

　――翌日。

　昨日と今日は休日だ。普段なら家でゴロゴロできるし最高！ って感じなんだけど、『トロイメア・オンライン』を始めてから、学校で希歩(のあ)ちゃんやヒナちゃんとゲームの話ができないので少しうずうずする。二人がイベントでどこまで勝ち上がったのか知りたいのに！

　私は特にやることもなく部屋で本読んだり勉強したり、ぼーっとしたりして過ごしていた。とはいえ一日中家にいてもストレスが溜まるだけだから、午後から本屋にでも出かけようかなー？

　とか思ってたら、私の視界に机の上に置かれた文明の利器が飛び込んできた。

　――あ

　――あれ使えんじゃん

　私、スマートフォンってスマホゲームをしたり、スマホゲームの攻略サイトを覗いたり、ゲームの実況動画とか掲示板を見たりするための『ゲーム機』としか認識してなかったけど、これって本来は電話で、連絡を取るための道具だよね？

　そして、スマートフォンにはもちろんSNS(そーしゃるなんちゃら)の『RINNE(りんね)』という便利アプリがインストールされている。

　文字チャットの他に通話もできるこのアプリは、巷のジョシコーセーの間で大流行していて、みんなこれでマブダチ達とイチャイチャ……じゃなくてワイワイ盛り上がるって話だ。

　私も何となくアプリは入れてあって、既に希歩ちゃんと連絡先を交換していた。でも、私そういうのあまり使わないし、希歩ちゃんは人見知りだから自分からは話しかけてこないし……。登録だけして放置してあったんだった。

　使ってみよーっと。

　私は机の上からスマートフォンを取り上げて、RINNEのアプリを立ち上げる。えーっと、確か個人チャットで希歩ちゃんは……あった。というか、家族と希歩ちゃんしか登録してなかったからすぐに分かった。

　ハンドルネーム『ノア』。うん、本名そのまんま。アイコンはバスケットボール、希歩ちゃんらしい。私はそのアイコンをタップして、開いたチャット画面に文字を打ち込んでいく。

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『心凪』

　ノアちゃんはじめまして(？)

　私、心凪だよ。同じクラスの。

　ちょっと話したくて連絡したんだけど、今時間大丈夫かな？

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　まあすぐには返事は来ないでしょうと、呑気に本を広げた時、ピコンッという音と共に、スマートフォンの画面に通知が出てきた。『ノアさん』からメッセージが届いているらしい。はやっ！――さては希歩ちゃん、全裸待機してたな!? 内心では私とRINNEしたいってうずうずしてたな!? もう、可愛いやつめ！

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『ノア』

　ここなちゃん？ いきなり初期アイコンの人からRINNEが来たからびっくりしちゃった……。お話は大丈夫だよ。通話する？

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　え、なに？ 初期アイコン？ アイコンってどこで弄れるんだっけえーっと……あっ、設定のところだ。

　私、『心凪』のアイコンは、なんか灰色の人型みたいなやつで……へぇ、なにも設定しないとこうなるのかぁ。確かにこれはちょっと怖いかも。直しておこっと。

　とはいえ、私のスマートフォンの画像フォルダには、ゲームのスクリーンショットとか、神絵師さんのアートとか、全くけしからんぞとか怒りながら保存したすっぽんぽんのココアちゃんの画像しかない！ 権利的な問題があったり、不適切画像だったりして採用できないので、仕方なくネットでフリー画像を探してきてアイコンに設定した。

　カップに入って白い湯気を立てているココア(私のことじゃないよ)の画像。うん、美味しそう。

　準備を整えたところで、満を持して私は希歩ちゃんに返信した。

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『心凪』

　アイコン変えたよー！ 通話しよ！

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　メッセージを送って1分経たないうちに、スマートフォンが震えた。早速電話かかってきたよはやっ！ 私はいそいそと通話ボタンを押してスマートフォンを耳に押し当てた。

「もしもし、希歩ちゃん？」

『心凪ちゃん？』

　よかった繋がった。

「ごめんね。いきなり連絡しちゃって」

『いいんだよ？ ちょうど暇してたところだったから』

　あれ、希歩ちゃんってもしかして暇人？ スポーツやってる人って、休日とかもガンガン自主トレをやってるものだと思っていたけど、希歩ちゃんはそういうことやらないのかな？

「『トロイメア・オンライン』のイベントのことだけどね。どうだった？ 私は4回戦敗退だったけど希歩ちゃんならもっと上行ったのかな？」

　おっと、あまりヒント与えすぎると私のキャラクターが特定されかねない……控えないと。うーん、でも話したい……うずうず。

『イベント……？ 私は優しょ――ううんなんでもない。わ、私は3回戦敗退くらい……かな？』

　ん？ この子今なんて言いかけた……？ ゆうしょ？ 優勝？ え!?

「……くらい？」

『う、うーん、だいたい3回戦敗退くらいかなーって！』

「だいたい？」

『く、詳しくは覚えてないけど、それくらいで負けたような気がしないようなするような……』

　はぁ……この子嘘が下手すぎる。隠してるのバレバレだよ。反応が可愛いしもっとからかいたくなってきてしまった。よーし、カマかけてみよっと。

「希歩ちゃんに質問です。1回戦の対戦相手はどんな武器を使ってましたか？」

『え、えーっ？ 覚えてないよそんなこと……た、多分剣？』

「希歩ちゃんに質問です。2回戦の対戦相手の武器は？」

『えっと……や、槍？』

「希歩ちゃんに質問です。3回戦の対戦相手の武器は？」

『お、斧？』

「ほーう、じゃあユ（・）キ（・）ノ（・）ち（・）ゃ（・）ん（・）に（・）質（・）問（・）で（・）す（・）。4回戦の対戦相手の武器は？」

『だ、だから3回戦で負けたって……！』

　私は思わずにやにやしてしまった。罠にかかりやすすぎだよこの子……。

　でも本当に意外。私の親友の希歩ちゃんがあの紐パンのユキノちゃんだったなんて……にわかには信じ難い。まあそういう私も現実の心凪とゲームのココアじゃ結構キャラが違っているような？ おっぱいが大きくなって態度も大きくなっているような気がする。

「4回戦の対戦相手は杖を持った『闇霊使い』。……違う？」

『……』

　ユキノちゃん――じゃなくて希歩ちゃんが黙ってしまった。なんでそれを知ってるの？ と言わんばかりだ。だって希歩ちゃん、あなた私をボコボコにしたじゃない。忘れたとは言わせないよ？

　私の疑いは確信に変わった。

「優勝おめでとう！ 決勝戦見てたけど凄かったね！ 感動したよ」

　賛辞を贈ると、希歩ちゃんは「はぁぁ」と観念したようにため息をついた

『あ、ありがとう……でもこのことは誰にも言わないでね？ ――だって』

「見抜きスレでしょ？ 分かってるよ大丈夫。私も晒されてるから！」

　そう。可哀想な事に、頑張ったユキノちゃんだけど、決勝戦での紐パン姿がえっちだったのか、見抜きスレの仲間入りをしてしまい、私と共にすっかりネットオタクたちのおかずに成り下がってしまっている。まあ、えっちなパンツはいてるユキノちゃんも悪いし、全裸になる私も悪いんだけどね。

『……心凪ちゃんってもしかして……』

　少し震えた希歩ちゃんの声に、私は胸を張りながら答えた。

「ユキノちゃんに4回戦で負けたココアです！ よろしくっ！ あ、みんなには内緒だよ！」

　◇ ◆ ◇

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【イベント優勝】ユキノちゃんの強さの秘訣について

　31.名無しさん

　紐パンだろwww

　32.名無しさん

　>>31

　それなwww

　34.名無しさん

　真面目な話よく分からないんだよなぁwww『エンチャンター』なんてずっと雑魚ジョブだと思われてたやつだしwww

　36.名無しさん

　>>34

　スキル【脱獄(プリズンブレイク)】によって『アサシン』や『格闘家』なんかの装備身につけて近接戦闘に寄せたことで、後方でお荷物になるっていう『エンチャンター』のデメリットを打ち消しつつ、得意のエンチャントを味方ではなく自分にかけることによってエンチャントボーナスを得ているっていう……まあとにかくすごく練り込まれた構築(ビルド)だよな(オタク特有の早口)

　37.名無しさん

　>>36

　それを思いついたユキノちゃんはすごい！

　38.名無しさん

　>>37

　多分思いついたのはユキノちゃんを育て上げたソラだぞwww

　39.名無しさん

　可愛いだけじゃなくて強いってほんとに無敵だと思う

　41.名無しさん

　>>39

　それな