♡クール美人と修行開始♡

クエスト開始! 〜魅惑の紐パンを暴け!〜

 ◇ ◆ ◇



 ――その夜。



 ゲームにログインした私が噴水広場で待っていると、後ろからポンポンと肩を叩かれた。


「ご、ごめんなさい。遅くなりました!」


 声のした方を振り返ると、そこには黒い胸当てとスパッツを身につけたお馴染みのアサシンスタイルのユキノちゃんが立っていた。今日も紐パンなのかな? 後でスパッツを剥いてみよう。


「おー、のあ……じゃなくて、ユキノちゃんお疲れ様!」


「まさかほんとにココアさんが……私、ココアさんを初めて見た時にどこかで会ったような気がして、それでびっくりして転んじゃったんですけど……」


 それで私のおっぱいを揉んだわけですね! えっち!


「なるほどねぇ……」


「えへへ、じゃあ行きましょうか!」


「うん! ……ていうかなんで敬語なの?」


「え、えっと、なんかゲームだとこうなっちゃうんです……」


 紐パン――じゃなくてユキノちゃんはえへへと照れくさそうに笑う。可愛い。思わず顔が緩んでしまう。そんな私の服の袖をちょんちょんと引っ張る者がいた。



「あん人、ご主人様とはどげな関係と?」


 親しげな私たちを怪訝な顔で観察するメイド娘――ミルクちゃん。


「ただの友達だよ友達!」


「ふーん? そげなことにしとこうか」


 ミルクちゃんはユキノちゃんに私を取られちゃうと思ってるのかな? 嫉妬しちゃって可愛い。後でハグしてあげよう。


「えっと……ミルクちゃんでしたっけ? この前は殴っちゃってごめんなさいね?」


 ユキノちゃんがミルクちゃんに握手を求めて右手を差し出すと、ミルクちゃんはシャァァァァッ! と威嚇してユキノちゃんの手に噛み付こうとした。あぶなっ! ワンちゃんじゃあるまいし! ユキノちゃんが「ひぃっ!?」と声を上げて手を引き、私は慌ててミルクちゃんを制した。


「ごめん、この子変態には当たりが強いみたいなの」


 キラくんとかね。


「えっ、わ、私は変態じゃないですよっ!」


 へぇ、紐パンがよく言う。スパッツ剥くぞ? あぁ?

 私の視線に気づいたのか、ユキノちゃんはスパッツに包まれた形のいいお尻を押さえながら顔を赤くする。


「あ、あれは! あの方が動きやすいから――」


「じーっ……」


 スポーツ選手の中には、激しい動きをすると下着が擦れたり食いこんだりするのが嫌で、ノーパンで試合に出たりする人がいるらしい(本当にいるのかな?)けど、そんな感じかな?


「ほ、本当ですよ!?」


「じゃあそういうことにしておこうか」


 私が数十秒前のミルクちゃんみたいな反応をしたら、ユキノちゃんは機嫌を損ねたのか、とっとと先に進み始める。あっ、やめて置いてかないで! 素早さの低い私は追いかけるので精一杯になってしまった。



 ユキノちゃんに連れられて私とミルクちゃんの二人は街の外までやってきた。昼間にRINNEでやりとりして、今日は私とユキノちゃんでダンジョンに潜ることになっていたのだ。一人だとPK(プレイヤーキル)が怖い街の外も、初心者最強のユキノちゃんが一緒なら大丈夫! 多分ユキノちゃん、クラウスさんよりも強いしね。


「で、どこのダンジョンに潜ろうか?」


「どこでも大丈夫ですよ?」


 どこでも大丈夫ですよ? 大した自信だね。ってことは、とかでも大丈夫なのかな?


「じゃあ『迷いの森』とかでも行ける……?」


「……どこですかそれ?」


 あー、知らないのか。確かにあんなに遠いところだから行ったことなくても不思議じゃないかもしれない。私だってミルクちゃんにアオイちゃんの【アクセラレーション】をかけるというインチキじみた戦法でなんとか行けたようなものだし。あれ、他の行き方あったりするのかな? 裏道とか……。


「地図(マップ)の端の方。――ちょっと待って、助っ人を呼ぶから」


 といって私が呼び出したのは――



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 差出人︰ココア


 タイトル︰お願い


 本文︰アオイちゃん、クエストを手伝ってほしいの! クラウスさんとかキラくんと一緒にいてもつまらないでしょ? お姉さんと一緒にいいことしない? 街のすぐ外で待ってるよ♡


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 なんか怪しい文面になってしまったけど、アオイちゃんはレーヴくんの装備をあげてから私に懐いてくれるようになったし、彼もキラくんにはあまりいい印象を持っていない(たまにモフられそうになるから)し、暇ならきっと来てくれるはず!

 返事はしばらくして返ってきた。



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 差出人︰アオイ


 タイトル︰りょうかいです


 本文︰なんか、クラウスさんとキラさんは「たんれん?」とか言って、てあわせを始めてしまったので、しょうじきひまです。いっしょに行かせてくださいお姉さん。


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 やっぱりね。男は決闘とか訓練とか、そういうものが大好きな生き物だと相場が決まっている。イベントで初戦負けしてしまった二人にとって、いろいろと不完全燃焼な部分があったんだろう。まあ、二人は放置しておいて、女子勢は和気あいあいとモンスター狩りに行きますかねー(アオイちゃんは男みたいだけど)


 にしてもアオイちゃんの文章、小学生っぽくて可愛いなぁ。


 私がにやにやしながら待っていると、程なくしてタキシード姿の小さい猫耳っ子――アオイちゃんが街の門からトテトテと出てきた。私が手を振るとこちらの方に走ってくる。可愛い。



 早速私はユキノちゃんとアオイちゃんに双方を紹介した。


「アオイちゃん、こっちはクエストを手伝ってくれるユキノお姉さんだよ。めちゃくちゃ強いから頼っていいよ。ユキノちゃん、この子はアオイちゃん。後衛としてかなり優秀だから、守ってあげてね?」


「よろしくお願いしますね、アオイさん」


「こ、こちらこそよろしくお願いします。ユキノお姉さん……」



 二人が握手を交わすと、早速私はミルクちゃんに声をかけた。


「ミルクちゃん【変身】!」


「はぁ……もう、しょうがなかね! 【変身】っ!」



 ――ピカッ!



 ミルクちゃんの身体が光を放ち、たちまち大きな邪龍の姿に変身した。

 おっと、近くを通る数人の通行人が慌ててミルクちゃんを見上げている。中には武器を構えて攻撃しようという人も! こらぁ! 私の嫁を攻撃するなぁ!


「あっ、びっくりさせてごめんなさい! この子普段は大人しいので!」



 ――キシャァァァァァァッ!!



 こらミルクちゃん! 吠えないよ! めっ! 私は慌ててミルクちゃんの背中をポンポンと叩く。

 でも、ミルクちゃんの咆哮のおかげで、通行人達は蜘蛛の子を散らすように逃げてしまった。まあ、結果オーライかな。


 邪龍姿のミルクちゃんを見たことがあるユキノちゃんとアオイちゃんは何食わぬ様子で逃げるプレイヤー達を眺めていた。優雅なものだ。


「さてと、じゃあお願いアオイちゃん!」


「はい、【アクセラレーション】!」



 アオイちゃんがステッキを振って唱えると、ミルクちゃんの身体を青い光が包み込む。1回――2回――3回。よし、ちゃんと【多重強化】がフルに発動したね。


「じゃあみんな乗ってー!」


「えっ!? ほんとにこれに乗るんですか!?」


「乗るの乗るの! ほら早く!」


 驚いた様子のユキノちゃんのお尻を押して、無理やりミルクちゃんの背中に押し上げる。私もしがみつくようにしてよじ登って、アオイちゃんは身軽に飛び乗った。



「いっくよー! しゅっぱーつ!」



 ――シャァァァァッ!!



 私の声にミルクちゃんが応え――凄まじいスピードで草原を疾走し始めた。

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