カーテンコール「客席にて」

1

 最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。これにて当舞台は閉幕。あなたは酸鼻と緩衝に満ちた非日常からも解放され、再び元の生活へ戻っていくことでしょう。


 その際に、この舞台のことはほとんど気に留めないかと思います。特に、こういった手のものを多く見ている方にとっては、この舞台はさぞかし退屈でつまらないものだったでしょう。


 ですが、一つだけお忘れないよう忠告させていただきます。この話は全て実話に基づいて作られたお話です。つまり「六芒の儀式」は存在します。となると、小舘が言ったセリフを思い出してみてください。


「私たちも彼らの噺を聴きながら同時に『六芒の儀式』に参加していたのです」


 そうです、そうです、ようやく気づいていただけましたか? 


 この噺を聴いていたのは何も刑事だけではありません。まごう事なき、あなた自身もこの「六芒の儀式」に参加していたのです。


 驚きましたか? 


 予想通りでしたか? 


 それとも何を言ってるかよくわかりませんか? 


 それでも構わないでしょう。なぜなら、「彼」はもうあなたのすぐ後ろにいるのですから。


 では、ゆっくりと振り向いてみましょう。そこには誰がいますか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る