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 いかがでしたか。出だしとしてはとても上々だったのではないでしょうか。


——いやぁ、腕を上げたねぇ、水島くん。


 ありがとうございます。


——しかし、所々で脚色していたのは否めないな。怪談というのは聞いた話をそのまま語らなければ面白くないのだよ。


 ああ、やはり分かってしまいましたか。そうした方が面白いかな、と思ったのですが、愚策でしたか。


——俺はあれでも全然面白かったけどな。むしろ、先の展開が気になって食いついてしまったっス。


 本当ですか。ありがとうございます。


——とてもお上手でした。自分でやろうと言っておいてなんですが、すごく怖かったです。


 そういうものですよ、宮坂さん。怪談というものは怖い話を語り合う場所ですから、怖いと思わない方がおかしいのですよ。


——となると、わたしはそのおかしい部類に入るのかな。


 えっと……、あなたは、東さんでしたっけ?


——はい、今の話ですが、十七年前に起きた大学生が北アルプスで遭難した事件ですよね。あの事件は普通の遭難事件とは少し違うっていうんで地元紙にちょっとした特集が組まれたことがあるんですよ。読んだことはありますか?


 い、いえ、ありません。


——そうですか、もし良かったら探してみてください。今の話を違う見方で捉えることができますよ。


 な、なんですか。彼の話が嘘だっていうんですか?


——いえ、そうとは言っていません。彼は実際に女性を見たんだろうし、首が落ちるのも見たんでしょう。しかし、その記事には彼とは違う見方でその騒動を追っているのでぜひ読んで欲しいだけです。無理にとは言いませんよ。




——おや、どうやら、次はわたしが話す流れになってしまいましたね。では、話させていただきましょう。なぁに、そこまで怖い話ではありません。

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