第7話 皇子、学園入学前。
クロード皇子はサフィリーンの1歳上な為、一足先にインフェリア皇立学園に入学する。
殆どの時間をサフィリーンと共有してきた皇子は、それ阻む学園入学を嫌がっていた。
「サフィと一緒に居られないのなら、行きたくない。」
ドサッと椅子に腰掛け、その長い足を組むと、気怠さを隠そうともせず肘置きに左肘をついて左手に顎を乗せる。
周囲を魅了し、思わず見蕩れてしまうような麗しい姿だが、その表情は酷く冷たい。
サフィリーンには絶対に見せぬ姿だ。
「サフィとは離れない。通わせたいのなら離れぬ方法を考えよ。」
正直、話し方や声色までサフィリーンに対するものと真逆である。
将来の側近候補達も震え上がる。
「ですが…」
皇子は壁に針で留めつけた虫でも観察するような眼差しで口を開いた側近を見る。
その眼差しの冷たさに息を飲み、先を口にする事が出来ずに黙ると、皇子は興味を無くしたように目を瞑る。
優秀過ぎる皇子がサフィリーンと1日の大半を過ごす時間を捻出する事など、驚異の処理能力で解決して来た為に容易であったが、学園となると優秀であろうがなかろうが時間で拘束される為に、学園に通う限り少しの時間しか一緒に居ることが出来なくなってしまった。
皇太子妃教育は同じ皇城内にいるので、サフィの魔力を感じれる為に我慢出来た。
終わり次第、毎回一緒にお茶を共にしていたが。
だが、学園は一緒の敷地内ではない為、魔力を感じる事は難しい。
最悪でしかないではないか。
サフィリーンの居ない学園など煩わしさしかなく、皇子は苛立つ。
だがこの国に住む貴族の義務である為、まさか皇族が入学しない事など有り得ない話。
どうにも出来ない為に更に苛立った。
サフィには悪いが、サフィに頑張って貰うしかないか。と、皇子はあまり使いたくなかった方法をとる事にした。
どうあっても無理だと周囲に縋りつかれるが、それでも学園への入学をごねにごねた。
しつこい周囲に、ならば入学を1年遅らせるという中々無茶な事を宣言する。
数年先まで大まかなスケジュールが組まれている皇族な為に無理だと諌められれば、
「ならば、サフィリーンを1年早く入学させよ。」
と宣ってきた。
確かに優秀な者が、学園に1年早く入学する事は制度としてあり可能である。
しかし、公爵令嬢であり皇子の婚約者であるサフィリーンは皇太子妃教育がある。
学園入学前の残りの1年を使い、皇妃教育まで導入される予定である為、学園まで通うとなれば、サフィリーンのスケジュールは、休み無しの酷いものになってしまう事は想像にかたくない。
皇子付きの侍従が不安な顔で告げる。
「殿下、オルペリウス公爵令嬢のスケジュールがとんでもない事になってしまいますが…」
侍従は皇子が公爵邸に日参する際も必ず同行しており、皇子の寵愛に息を詰める事無く愛らしいサフィリーンを妹のように心配していた。
「問題ない。僕がいくらでもフォロー出来る。皇太子妃教育も皇妃教育もフォロー出来るから心配するな。」
早くサフィリーンと婚姻したい皇子は皇妃教育の延期も考えていない。
まだまだ現役で皇帝の譲位など先の先ではあるが、皇妃教育を早期に始める事で、サフィリーンとは学園卒業と同時に婚姻出来ることになったのだ。
早くサフィリーンを我がものにしたい皇子にとって、皇妃教育も婚姻延期も有り得ない。
主の胸中を知らない側近達は、強硬な態度に困惑しきりだ。
( いや、この皇子何言ってんの…? )
と、室内に控える全員が思った事である。
サフィリーンの居ない所で、勝手に皇子と一緒に学園入学する事が決定した。
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パソコンが動作せず、慣れないスマホでの更新となった為、18時投稿に間に合いませんでした(´;ω;`)
文字数も半分以下かなぁ…
うう…
慣れるまではこの文字数になるかもしれませんが、更新頑張ります(p`・ω・´q)
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