《2》女子の集い
【でも今回のハーレム要素も中途半端なんですよ?】
この家に住みだして少したった頃。学校が始まるまでまだ日のある中でその違和感は大きくなっていた。
いや違和感ではなく既視感とでも言うべきか。
新しい家から出入りをする度に強くなるフラッシュバック。
そう自分は確かにこの家に来たことがある。いや正確には家ではない。この土地だ。
見覚えがあったのはこの家そのものではなく。その周囲の景観だった。
自分はこの場所を知っている。いや場所だけではない。正面や両隣、庭の背後の民家もなぜか室内に入った記憶がある。
周辺近所への挨拶は実母と義父の二人で済ませたようだった。だから今まで気づきもしなかったのだ。
寒さも和らいできた昼下がりに母の手伝いで庭先に出ていたときのことだ。
「こんにちは」
向かいの敷地の庭から声をかけられた。
「ひさしぶり」
もうひとつの声も自分に向けられる。
「えと、」
「なんだよ。もう忘れたのか?」
答えに詰まっていると続々と他の高い声が集まってくる。
どこかで見たような、だがどこにも見に覚えがないような感覚に襲われた。
集まってきたのは総勢四人。そしてその特徴には懐かしい見覚えがあった。
「まさか……」
「そ、ここは空き地だったの。私たちが引っ越してくる前まで」
腰に手を当ててリビングの窓から声をかけてきたのは双子の姉だった。
「みんな仲良しなのよ。あなたのことでは特に」
その言葉は艶やかに満ちていた。
―次回―
新しい学校生活にも慣れだした頃、父方に引き取られていた妹が訪ねてくる。
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