第四話 わたし、戻るよ
夜中、理恵に会うことになった。
わたしが理恵にSOS信号を出して、理恵は何時もの公園で会おうと言ってくれた。
今、時間は23時だ。わたしは両親を起こさないように外に出た。
そして公園のベンチに座りながらコーラを飲んでいる。
「なっちゃん、待った?」
自転車に乗って理恵はやってきた。
「ううん。待ってない、物思いにふけってた」
「まーたそんなこと言って。まあ、なっちゃんらしいけどね」
「そう?」
「うん」
理恵は隣のベンチに座り「で、どうしたの?助けてなんてオーバーなLINE送ってきて」
「うん……原点回帰っていうのかな。今自分の立ち位置を考えたら、なんでこんな状態にいるんだろうって思ってさ、勝手に追い詰めて勝手に首絞めて勝手に苦しんで」
理恵はうーんと言って「なっちゃんはどうしたいの?」
「……戻りたい。普通の生活に」
わたしが絞り出すように言うと、理恵は笑って。
「帰っておいでよ。みんな待ってるよ。誰も何もそんなことは気にしてないよ」
「でも……変に思わないかな。」
「変?なにが変なの?一週間と少し休んだくらいで状況は変わらないよ。帰っておいで」
「理恵……」
理恵は手を差し伸べて、わたしはゆっくり握った。
ありがとう理恵。
「わたし、戻るよ」
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