第5話 測る4

「この道路の線で測れるんじゃないかな」

エレナが道路の真ん中引かれている線を指さす。


「そっか。線の長さを測って数を数えればいいんだ」

エルネクもエレナの考えに気づく。

「車も見えないし、道路に入って測るか」

そういうとエルネクはエレナからメジャーを受け取ると道路に入る。

「大丈夫?」

カルラは心配そうだ。

「車が来ないか見てて」

そういうとエレナも道路に入りメジャーの端を白線の端で押さえる。

自動車がこないか周りを見回すカルラ。自動車は右上あたりと真上にそれぞれ1台走っているのが見えるだけだ。

メジャーを伸ばすエルネク。

「線の長さはちょうど5メートルだ」

「今度は線と線の間」

エレナが抑えていた手を放すと、エルネクはメジャーを引きずりながら隣の線の端っこまで歩く。

「こっちも5メートルだ」

「へー、同じなんだ」

歩道から見ているラグレンが感心している。

「今度は、さっき印をつけたところから線の端までの長さを測る」

「印の真横はこのあたりかな」

そういうと、白線の端までの距離を測る。

「3メートル83センチ」

「長さ測ったら早く歩道に戻って」

カルラが心配そうに二人に声をかける。


歩道に戻るエレナとエルネク。

「じゃあ、線を数えるよ」

ラグレンはそういうと丸壁に向かって走り出す。

「いーち」

「にーい」

3人も追いかけてて走り出す。

「さーん」

「よーん」

「ごーお」

「ろーく」

「なーな」

「はーち」

「きゅう」

「9本だ」

「線が9本だから5かける9で45メートル、隙間も9個だから45メートル。足すと90メートル」

エレナが計算し、結果をタブレットに記入する。

「それと、最初に測った3メートル83センチを足すと、ここまで93メートル83センチ」

カルラが付け足す。


「あとは、ここから壁までの長さだね。どうやって測る?」

丸壁の手前に小さな広場があり道路はその周りをまわっている。まっすぐ道路から来た自動車はくるっと回って元のまっすぐ道路を戻れるようになっているのだ。そして壁の手前には建物がある。広場はちょっと道路よりも高く盛り上がっていて花が植えられている。横切るのはちょっと難しい。


「丸壁まではもう少しだし、ここからはメジャーで測れるよ」

そういうとエルネクは歩道から原っぱの方に歩き始める。

「丸壁までまっすぐ歩けるところを探すよ」

3人もエルネクについていく。


「このあたりかな。ここからなら丸壁までまっすぐ歩けるよ」

エルネクが丸壁を指さす。

「ここが白線の端っこの真横かどうか確かめないと」

エレナがまっすぐ道路を指さす。

「まっすぐ道路に対して直角かどうかだね」

「分度器使う?」

ラグレンが尋ねる。

「うん。今度は上じゃなくて横向きに測るから、分度器の直線のところを道路の白線に合わせて、ここが90度の位置か確認する」

エルネクが説明すると分度器を横にして目の前に持つラグレン。

「分度器のこの90度の線に沿って見るんだよね」

「うん。分度器の直線のところを白線に合わせないといけないけどね」

「やってみるよ」

そういうとラグレンは道路に向かって走り出す。


まっすぐ道路に到着したラグレンは、そのまま道路を横断して向かい側に移動する。

「こっちに来ないと白線が見えないから」

ラグレンが3人に向かって大声を出す。

「今から見るよー」


そういうと両手で分度器を鼻の前あたりに持つ。

「ぼくが立ってるところを見て」

エルネクがラグレンに呼びかける。

首を下に向け、上目遣いのように分度器の90度の線をのぞき込むラグレン

「ちょっと前にいるから、ちょっと後ろに下がって」


「へー、そうなんだ」

エルネクはそういうと少し後ろに下がる。

「もう少し後ろ。あと半歩くらい」

半歩後ろに移動するエルネク。

「そのあたり」

エルネクは靴で地面に線を引く。

「今度は壁までの距離だ」

ラグレンが走って戻ってくる。


「メジャーの端をこの印のところに押さえてて」

そういうとエルネクはカルラに伸ばしたメジャーの端を渡すと、そのままメジャーを引っ張っていく。カルラをメジャーの端をエルネクがつけた線の上に手で押さえる。

「壁に対して垂直に進んでるか見てて」

「じゃあ、私が見るよ」

エレナがカルラの後ろから、壁に向かって歩くエルネクを見る。

「ちょっと右に行きすぎ」

「こんな感じかな」

左に移動するエルネク。

「今度はちょっと行き過ぎ」

エルネクはちょっと戻る。

「このあたりは?」

「そんな感じ」

「ここで5メートル」

そういうとエルネクは地面に十字に線を引く。

「今度はこの十字の真ん中で押さえてて」

同じようにカルラがメジャーの端を押さえ、エルネクがメジャーを引っ張り、エレナがエルネクの位置を確認する。ラグレンは先に丸壁まで行って壁にもたれている。


「5回目。壁までもうちょっとか」

エルネクが四つ目の印を地面につける。

「あと少しだね」


「これで最後」

エルネクが5つ目の印からラグレンの足元までの距離を測る。

ラグレンがメモリを読む。

「3メートル35センチ」

「5メートルが5回で25メートル。これに3メートル25センチを足すと、28メートル35センチ」

エルネクがメジャーで測った長さを合計する。


「道路で測った93メートル83センチに足すと」

「まず93足す28で、えーと、121メートルかな?」

「うん、合ってる」

エルネクがメートルの部分を計算する。

「で、35センチと83センチを足すと118センチ」

エレナ残りのセンチの部分を計算。

「ということは、122メートル18センチ」

エルネクが合計する。

「直径は122メートルかー」

4人は真上の地面を見上げる。

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