第2話 測る1

エルネクが公園に到着すると、すでにカルラがベンチに座ってみんなを待っている。エレナももう少しで到着するところだ。

この公園は街に二つある公園のうち小さいほうで、森の手前にある。4人の家から近いのでいつもここに集合している。ここに集まって、何して遊ぶのかを決めるのだ。


「おはよう。早いね」

エルネクはカルラにあいさつする。公園に到着したエレナも二人にあいさつする。

「おはよう」

カルラはタブレットをかばんにしまいながら立ち上がりあいさつを返す。

「今日はちょっと早く起きたから、5分ほど早くきたんだ」


3人は一人足りないことに気づく


「ラグレンは?」

3人はラグレンの家のほうを見上げると、ちょうどラグレンが家から出てくるところだ。3人に向かってに手を振っている。


「遅いー」

カルラが大声で呼びかける。


「いま行くよー」

ラグレンは返事しながら公園に向かって駆け出す。くねくねと曲がる小道の通りに走ってくる。


「お待たせ」

息を切らすラグレン。

「まっすぐ走ってくればいいのに」

カルラが問い詰めるような口調でいう。芝を突っ切ればまっすぐ走れるのだ。


「道のとおりに走るのが楽しいんだよ」

ラグレンが手をくねくねと動かして曲がりくねった道路を表す。

「その気持ちわかる」

エルネクが同意する。


「今日は何して遊ぶ?」

4人そろったことを確認すると、エレナがみんなを見回しながらたずねる。


「ボール持ってきたよ」

ラグレンはポケットから手のひらサイズのボールを取り出すと、カルラの方にかるく投げる。


カルラはボールをキャッチしようとするが、ボールは横にそれて手が届かない。

「取れなーい」

ボールをキャッチできなかったカルラがラグレンに向かっていう。

「ちゃんと投げてよ」


「あれ? カルラの方に投げたのに」

ラグレンが不満そうにいう。

「ボールが曲がって飛んでいったんだよ」


エルネクが地面に転がったボールを拾いに向かいながらいう。

「こっちからだとまっすぐに投げられる」

ボールを拾ったエルネクが場所を移動してボールを投げる。今度はまっすぐ飛び、カルラもちゃんとキャッチする。

「ほらね」


「あれ、カルラの身長伸びた?」

ラグレンがカルラの隣に立ち、頭の上に手をおいて平行に前に動かし、カルラの頭の高さと比べる。


「ほんとだ。ラグレンより高くなってるよ」

エレナも二人を見比べる。

「そうかなー」とカルラ。

「並んでみて」

カルラとラグレンが並ぶ。

「同じくらいじゃないかな」

エルネクは人差し指を横にして目の前にもってくる。二人の頭が指のところにくるようにして身長を見比べる。

「カルラの方がちょっと高いかな」


「あの木に印付けて比べよう」

ラグレンはそういうと近くにある木を指さす。4人も順番に木を背にして立ち、みんなの背の高さのところに拾った石で印をつける。

「カルラが一番高いね。次がラグレン、エルネク、エレナの順だ」

「でもちょっとの差だよね」

ラグレンが人差し指と親指で5ミリほどの幅をつくる。


「この木の高さはどのくらいかな」

エレナが木を見上げながらいう。

「身長の10倍くらいありそう」

カルラも木を見る。

「15倍はあるよ」

ラグレンはもっと高いと思っているようだ。

「測る方法ないかな」

エルネクが目の前に手をもってきて、人差し指と親指で木の根元からてっぺんまでをはさむ。


「家にメジャーがあるから持ってくる」

そういうとラグレンは家に向かって走りだす。


「メジャーで測れるかな」

走るラグレンを見ながらエルネクがいう。

「木の上まで登れないから無理だと思う」

エレナがそういうとカルラもうなずく。


「持ってきたよ」

ラグレンが息を切らしながら手に持ったメジャーをみんなに見せている。エレナがメジャーを引き延ばす。

「5メートルだ」

ちょっと残念そうだ。


「5メートルじゃ足りないし、木の上まで登れないよ」

カルラがいう。ラグレンがちょっと残念そうだ。


「他に高さを調べる方法はないのかな」

エレナがみんなに尋ねる。


「測るものがないと無理じゃないかな」

木を見上げながらカルラがいう。エレナ、ラグレン、エルネクも木を見上げる。

「なんか方法はありそうな気がするけどな」

エルネクが腕を組んで木を見上げる。


「高さ、わかるかも」

そういうと、エレナが座り地面に線を引き始める。


「これなら真上の地面までの高さも測れるよ」

4人は真上を見上げる。円筒形の内側にあるこの街は、真上にも地面がある。

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