視界編2:写真

撮影手順

1.55を手に持って10分待つ。

2.その後構える。

3.被写体は写映館にあった花瓶と花一輪。

4.一枚目は構えるが覗かずにシャッターを切る

5.二枚目は覗いてシャッターを切る。

6.その二枚を俺と姫川で確認して違いを報告する。


この時、常識から逸脱した答えや、パニックを起こしたらお互いに薬を打ち込む。


撮影は俺が行うことになった。

姫川はサポートと記録用の動画撮影をする。


「55を手に取ります。」

宣言して55を持つ。

五分が経過。

「特に異常は感じない。」


俺の報告を聞いた姫川はウインクしてこっちを見ている。


十分経過。

「異常は感じない、これより撮影に入る。」

姫川が花瓶と花をもってきた。

それらを地面に置いた事を映像に映して


「一枚目撮ります!」

構えてシャッターを切った。

特に異常は感じない。


「二枚目撮ります!」

俺は構えて覗き込み、花と花瓶を撮った。


異常は感じない。


「撮影終了。姫川は異常ないか?」

ありません!と聞こえてくる。

最後のステップ、確認を行う。


55とパソコンを繋ぎ写真データを出す。

その間に姫川は薬を二本用意している。


「これより、確認に入ります。まず一枚目」

姫川の方を向くと頷き返してきた、準備完了。

一枚目のデータが出る。

これは……特に異常ないな


「私は大丈夫です。問題ありません、現物と変わりません。」


「俺もだ、変わらん、大丈夫。」

いつもの花と花瓶だ。


「2枚目、確認します。」

姫川は覚悟できたらしい。

俺は色々考えた、感染したら何が見えるのか。

少し楽しみだけど訳の分からん病気にはかかりたくない。


「先輩!薬もありますから!ゴーですゴー!」


姫川が励ましてくれている。覚悟を決めてクリックする。

データが……開いた。


その後の記憶はない。

『不可思議第55』視界変化の写真。




気がついた時、俺は病院にいた。

隣には姫川もいる。

お互いに話し合った結果、共通するのは……


二枚目の記憶がない、と言うこと。

「姫川……体はどうだ」

「体ですか?ナイスバディーです。」

元気そうで何より。


医者の話ではあと一日は検査の為入院する事になるとの事。

「にしても……55はどうなったんだ?」


「その件について話をします。」

クーパーさんが病室に来ていた。


「クーパーさん!私達負傷しました!休みが必要です!一月ぐらい!!」

姫川が騒ぎ始めた、病院だぞここ。


人払いをしてクーパーさんが話を始めた。

「あなた達二人はどこまで覚えてるの?」

姫川と俺は覚えている話を少しづつ、確認しながら話していった。


「……そう、一枚目を見て二枚目を開く所までは覚えてるのね。」


「俺らが録画した動画はどうなりました?見せて欲しいです」

あれを見れば一発だ。

「ごめんなさい、見せられません。」


クーパーさんはハッキリと、まっすぐに答えた。

何でも機密に指定されたとか。

「重要な所だけ話すわ」

話の内容はこうだ。




二枚目を見た俺はパニックを起こし、姫川を化け物と呼んだ。

姫川は一分間動かず、その後周囲と自分の手、写真データを見比べて悲鳴を出しながら薬を自分の太腿に打ち込んだ。


それを見た俺は

「こんなもの体に入れてたまるか!」と薬を投げ捨てるが、しばらく後に薬を広い、太腿に刺した。らしい



「先輩めちゃくちゃダサいです」

言わないで、クーパーさんも笑いをこらえながら話してたし、やめてくれ……

「そのカメラとパソコンはどうなったんですか?」


笑い終わった姫川が聞く

「東海支部の地下に保管されてるわ。あなた達が手に入れてくれた情報を元に研究をしてるから……本当にありがとうね。」

申し訳なさそうな笑顔を向けているクーパーさん、可愛い。


「先輩、人としてやってはいけない事があります。」

姫川に説教をくらった。

クーパーさんに「デートで今回の事チャラにします!」と言った所、姫川の怒りを買った。

これぐらいご褒美あってもいいだろ…


入院中には簡単な記憶の確認、運動能力確認を行い、無事退院した。


退院後、すぐ呼び出しが入った。

55ー1の無力化、つまり55によって視界を変えられた民間人に対し、記憶消去剤の投与任務を言い渡された。


休みをよこせと騒ぐ姫川を連れ、休みたい気持ちを抑えて


現場である桑名に向かった。


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