Eniguma object:The Distorted humanity
@Hidari_Kan
視界編1:流行り病
最近不思議な病気が流行っている。
なんでも見える物がおかしい。炎が、水が、森が、人がおかしく見える病気らしい。
この病気の原因はわかっていない。
しかし感染する事はわかっている。
この病気は高性能カメラの発表会で見つかった。
カメラで撮った写真がおかしい、何度やってもおかしい。
予備で試してもダメ、不気味な物が写る。その会場にあったどのカメラでもダメ。
客が持ってたカメラもダメになっていた。
その場にいた人は皆揃って
「写真なのに写したものと違う物が映っていた」
と言っている。
その通報を受けて我々が、『真縅』が調査に向かった。
調査結果は最悪だった。さらに調査員が感染して精神病棟送りになってしまった。
この病気は名古屋付近で見られており、早急な解決が必要とされている。
我々は最初のカメラに原因があると考え第二調査員として発表会があった名古屋に向かっている。
感染した時の為、記憶消去剤を持っているが感染したくない。嫌だよ、普通。
この病気に感染した後に、感染した記憶を消すと感染前にもどる事が報告されている為
我々は精神や意識を蝕む何かだと睨んでいる。
「車で結構走ってるけど人見かけませんね」
誰もいない。名古屋にはもう殆ど人がいない。
「そりゃあ民間には名古屋は原発事故で放射線漏れがあるって事にされてるんやから、人来ないでしょ。こんな所にいたら人じゃなくて物好きな猿。」
「なら私達はお猿の神風ですね」
女神風が後ろでクスクス笑ってる。
この女……もとい姫川はこの異変を楽しんでるみたいに見える。
「姫川お前怖ないん?」
心からの疑問をぶつけてみる
「怖いって言った方が女の子らしいですよね?超怖い!」
「女の子って年ちゃうやろ……」
私はまだ22だー!女の子だぞー!と聞こえてくるが無視だ無視。
「しかし歩く土器、喋るケチャップの対処が終わって次はこんな病気の対処ですか…左遷リーチ?それとも期待されてるんですか?」
「どっちにしろコレは対処しなあかんやろ、見えるもん変わってしもたら終わりやし。」
質問の答えにはなってないが本心を話す。
「私今回無理な気がします。見えない触れれない分からないの三拍子揃ったモンスター相手ですもん。」
有り得ないも含めて四拍子や!と笑っていると
カメラの発表会会場、写映館についた。
写映館は写真、カメラの博物館だ。
中には講堂のような場所があり、そこで発表をしていたらしい。
「お邪魔しまぁーす!」
姫川が入館料をトレイに置いて奥に進む。
「わ!これ日本で初めてのカメラらしいです!これは望遠レンズ?の試作品らしいですよ!」
こりゃ精神は女の子で間違いないわ、後で謝ろ。
「ここが講堂か……入るから一応マスク付けや」
姫川の奴言い終わる前に着けてやがった……自己防衛だけは一人前だと認めるよ、世界が。
中に入ると何もなかった。
机も椅子も無く、音もない静かな空間。
「あ」
姫川の視線の先には
"例のカメラ"があった。
「こちら第二調査員、これよりカメラ……もとい不可思議第55の調査を開始する。」
動画撮影しながら55に触れる。
俺が所属する組織、真縅では人知を超えた物、理解不能な物を不可思議と呼び、それぞれに番号を割り振って管理、区別している。
めちゃくちゃわかりにくかったけど今はもう慣れた。
さてこの55をどうするか……
この新型は従来より軽く、そして綺麗に物が写るのが売りだと言う。
「姫川、ドライバーを」
分解してみるか、撮影したくないし。
まずはレンズでも見てみますかね
「へい、兄ちゃん乗ってくかい?」
ドライバーの真似しながらドライバーを渡して来た
めちゃめちゃつまらない。
「あれ?なんか……」
ネジが回らない、力が足りないのか?
その後姫川にもやらせたがまるで1つの塊のようで分解できなかった。ネジが嫌がってるみたいにも見えた。
姫川にどうするべきか相談しても…営業スマイル
他にできる事も浮かばず本部に相談する。
「こんにちはクーパーさん、実は55の事で……」
相談する相手はいつも上司のクーパーさん。
美人、賢い、頼れる最強の上司、好き。
軽い雑談をしながら今までの出来事と映像データを送る。
「分解できない壊せない、レンズに何も写らないで……どうしたら…」
「あらお手上げなの?他に試せる事あるじゃない。」
「写真、取ってみなさい。」
まあ、言われるのわかってた。薬も渡されてたし
「写真取って無事だったらデートしてくれますか?」
「費用は全額君持ちならいいわよ。」
笑いながら返されたがこっちはマジだ。
「私が指示する手順で撮影をして欲しいの。」
手順について簡単に説明を受けた。
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