高校に入学した新入生が割り当てられたクラスで自己紹介。予定調和で終わるはずだったその場で、佐伯なる女子はかましてのけた。「ピポピポ、ピポパポ」。以来、宇宙人と呼ばれるようになった彼女を高橋は怖れていた。しかし、あるとき思うのだ。知らないから怖いのだと。かくて帰宅する彼女を追った高橋は、意外な真実と遭遇する。
まず注目したいのは、たった9文字で佐伯さんというキャラをこの上なく立てておられること。それは高橋君じゃなくても気になりますよねぇ。
そして物語は佐伯さんの正体に迫っていくのですが、高橋君がまた華麗に翻弄される様がリアル! 作者の都合でなぜか心が通い合うようなことなく、高橋君は困ります。翻弄されて困ってわからなくて……惹かれる。
さらには彼との交流の中で、ミステリアスなばかりだった佐伯さんが徐々に解(ほど)けて女の子になっていく様、これがものすごくドラマチック!
クライマックスは高橋君と佐伯さんの自転車二人乗り。行き着くラストは——ご一読あれ!
(「駆れよバイシクル!」4選/文=高橋 剛)