第65話 想い
「クロム様、やっと見つけましたよ。私もリーヤも置いていってしまって私は寂しいですわ」
「クロム殿、これは……」
「ああ、エリィナ、リーヤ。おかえり。丁度良かった」
これからアルトへの復讐をする為に準備してはいたが、せっかくサキュバスのエリィナがいるのだ。さらにいい事を思い付いた。
「エリィナ、このメスに発情するような術を掛けてくれ」
薬物に加えて媚薬で既に理性は無いに等しい状態だが、アルトには徹底的に絶望してもらいたい。
「……クロム様、この戦いが終わったらSMプレイなどいかがでしょう?メスブタらしくクロム様の為に泣いてみせましょう!」
「エリィナ殿!なんと破廉恥な!」
「うるさい。僕は今機嫌が悪いんだ。さっさとやってくれ」
叱られてもなお尻尾を振っているエリィナは魔法陣を展開した。
ハートが幾重にも重なり、フェロモンたっぷりの雰囲気を醸し出している。
「……アルト、アルトアルトアルトアルトアルト……」
男が思わず引くほどのメスのいやらしい目付き。
家族同然に育って冒険をしてきたアルトとルエナ。
「やめろルエナ、お前となんか……」
目足を縛られ口を塞がれているアスミナは目を逸らす事を許されずにアルトとルエナの交わる行為を見せられている。アスミナ可哀想だな。
「やめろ、アスミナ、見るんじゃない!」
愛しの幼馴染に跨り快楽に溺れて泣いているルエナ。
手も足も無く、好きな女に観られながらどうしようもなくそそり立つ己の息子が妹同然の女を犯す。
「アスミナ、しっかりみてやるんだぞ?これが、私情で自分の使命を蔑ろにして世界を護れなかった勇者様の姿なんだから」
アスミナに観られて嫌がっていたアルトも快楽には勝てないのか、僕を睨みつけなくなっていく。
「アルト、好きな女に観られて良かったな。新たな性癖を獲得したんじゃないか?」
だいたいの男なんて、どうせヤれれば誰でもいいだろ。
人を好きとか、そんなの幻想に近い。
人を大切に思う気持ちはあるだろう。
家族はそうだ。男とか女とか、そういう事じゃない。
共に過ごした日々や時間、それらが大切になっていく。
「アルト、結局お前のアスミナへの想いなんて、その程度だったって事だな。幼馴染が腰振ってくれればそれでも喜べるくらいのな」
僕はそうアルトに言いながら、内心イラついた。
その程度の気持ちの為に、僕は追放されたという証にもなってしまうという事になってしまうからだ。
アルトのアスミナへの想いは、実はそんなに綺麗なものじゃなくて、ただの独占欲だったのかもしれない。
勇者という特別に選ばれた存在なら、王女である聖女と共にあるのが相応しい。とか。
「……あきた。リーヤ、この動物たち見張っててくれ。手足の無いオスと縛ってる聖女様はまだ殺すなよ」
「ちょ!クロム殿!」
「お前も交尾くらいした事あるだろ、それ見たくらいで顔を真っ赤にするなよ」
それよりも、今はアルトにボロボロにされたサタンだな。
ニーナの身体も心配だ。
僕はニーナを抱えてサタンの元へ歩いた。
ただ眠っているだけかのように優しい微笑みのまま死んでいるニーナ。
「サタン」
ニーナを起こしてしまわないようにゆっくりと地面に寝かせた。
「クロム、儂はもう無理だ……」
サタンは全身から呪詛に侵蝕されていた。
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