第8話 魔王との戯れ
「審判は妾がしよう。久々に面白くなりそうじゃ」
「拓けた場所に転移しよう。そこで戦闘開始だ」
「わかった」
魔王サタンが魔法陣を展開して僕ら3名は光に包まれた。
光が消えるとまっさらで荒れた大地の広がっていた。
所々にゴツゴツした大岩が転がっている。
「殺風景だな。暴れても問題ないと言えばないか」
「お主と一戦交えるのは少々骨が折れそうだからな。城の1つや2つ壊されるかもしれんと思ってな」
「褒め言葉をどうもありがとう」
人類を滅ぼさんとする魔王がそういうのだ。僕が得た力はそれほどのものなのかもしれない。
自分ではまだよくわからない。
だが、知らなければアイツらに復讐できない。
「クロムよ、なんならサタンを殺しても良いぞ?お前さんなら出来るかもしれん」
ヴィナトのお墨付きか。それとも適わないとわかっていて焚き付けただけか?
ここは魔王の胸を借りるつもりで殺そう。
「では、始めよ」
僕はまず全力でダッシュした。
真正面からまずは突っ込む。
リミッター解除はほいほい使いたくない。
使わずに勝てればこれ程楽な事はない。
「ぐっ!」
勢いをつけた膝蹴りをサタンは両腕をクロスして防いだ。
太く丸太のようなたくましい腕は折れることがなかった。
なんなら鋼鉄の物体を蹴ってる様ですらある。
僕の膝の方が痛い。
流石はミノタウロスだ。
そのまま僕は回し蹴りをサタンの顔に放つ。
だがサタンは首を強引に傾けて自慢の角で迎撃され、僕の足は貫かれた。
「クソがッ」
再生するからって痛いものは痛い。
貫かれたまま押し切ってサタンを蹴飛ばし、大岩に激突した。
「いやいや恐れ入った。流石はヴィナトの眷属と言った所だ。速すぎて眼では追えんな」
「ぴんぴんしてる牛に褒められてもね」
「しかしハーフ吸血鬼、やはり脆いな」
サタンはローブを大岩に掛けて背中の翼を広げた。
やはり翼は悪魔といった感じに禍々しい。
サタンの全身から黒い魔力が溢れ出ているのがわかる。垂れ流されていると言ってもいい。
「いくぞ」
そしてサタンは僕の視界から消えた。
考える間もなく振り向きざまに蹴りを合わせてると、背後のサタンの魔力のこもった右の拳を蹴りで反らせる事ができた。
逸れた拳はそこから先の地面を抉り飛ばしていた。
直接地面に当たったわけじゃない。
爆発的な魔力の威力であそこまで大地を破壊しやがるか。化け物だな。
「流石は魔界の魔王サタン様だ。速すぎて眼では追えなかったよ。危うく死ぬ所だった。ヴィナトに骨くらいは拾ってもらいたいんだけどね?」
「頭を吹き飛ばそうと思っていたのがだな」
頭飛ばされたら死んじゃうな。
攻撃喰らったら死ぬって、もはや再生の意味無いし。
やばそうだから殺される前に殺さないと……
「本気で行くよ」
胸を借りるどころか命を刈り取られそうだ。
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