第7話

広葉ひろばさん」


 翌日の昼休み、俺はクラスメイトの広葉めろんさんに声を掛けた。腰くらいまでの長いツインテールとぼんやりとした目が特徴的な女の子だ。


「なぁにぃ?」


 シャボン玉みたいにふわふわした声で返事が返ってきた。やっぱりだ。笹窯ボコによく似た声だった。


 俺は一呼吸置いた後、口を開いた。

 

「仙台の妖精って聞いたことある?」

「妖精~?」


 広葉さんは首をかしげた。んーと言いながら考えているみたいだった。ちょっと可愛い。


「いたらいいねぇ~。いたらきっと楽しいだろうねぇ~」

「いるって言ったら?」

「会いたいな~」


 それから広葉さんは魔法とか使えるのかなぁ~などと続けた。別に何かを隠してる訳でもなさそうだった。本当に妖精についての想像を膨らませているみたいに見えた。でも君自身が妖精じゃないのか?


「えっと、広葉さんが妖精だってことは」

「わたしは人間だよぉ~。変なの~」

「ご、ごめんね」

「いいよ~。ありがとねぇ、妖精って言ってくれてぇ~。きれぇってことだよねぇ~」

「う、うん」


 結局、広葉さんが笹窯ボコなのかはわからなかった。


 笹窯ボコは今夜も配信をしたが、俺についての話は無かった。


 

 

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