第6話
今夜も俺は笹窯ボコの生配信を眺めていた。昨日は途中から配信を見ることになったが、今日はいつ始まるか事前に確認しておいたので最初から視聴している。笹窯ボコはちょっと天然なのか、しょっちゅう変な事を言ってはなんだか不思議な雰囲気を作っていた。その雰囲気がちょっと癖になりそうだ。さっきは味噌汁をパスタにぶちまけたという話をしていた。どんな組み合わせで食べているんだ。
『じゃ、今日あった面白い事のコーナー。わーぱちぱちー』
『お』
『きたきた』
『昨日話したロリコンの男の子なんだけど、今日は女装してた』
『!?』
『草』
『で、なんか私はあなたであなたは私なんだよとか言って一回いなくなって、戻ってきたら女装やめてて昨日の女の子に抱き着かれてた』
『意味不明で草』
『ヤバすぎw』
俺じゃん。
それはもう完璧に俺じゃん。断じてロリコンではないけど。ていうか俺以外にこんな奴いてたまるか。でも彼女は一体誰なんだろう。クラスメイトの誰かということは間違いなさそうだが、今の段階じゃ誰なのか見当がつかない。とりあえず舞原ではなさそうだけど。
『本当に不思議だよね~』
笹窯ボコは俺を妖精っぽい透き通る声でそう評価した。本当にこの声に聞き覚えはないのか。ボイスチェンジャーを使っている可能性もあるが、他に手掛かりもなさそうなのでここから考えるしかない。配信が始まる前にチャンネルのページでプロフィールを見てみたが、YouTubeに舞い降りた仙台の妖精という事しかわからなかった。
脳を回転させる。このシャボン玉みたいな声を持っているクラスメイト。
『スパチャありがと~』
その言葉を聞いた瞬間、俺は一人のクラスメイトの顔が脳に浮かんだ。
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