第19話:夢

「お前ら今日までよく私の合宿に耐え抜いた!お前らはこの一週間で私の目にも映るほどの成長を見せてくれた!よく頑張ったな」



僕たちは一週間耐え抜き、無事怪我人もなく、合宿を終えることができた。



「それじゃ各自バスに乗れ、帰るぞ」



みんなクタクタだけど、よく頑張った。



「司〜、もうダメだおれ、ばあちゃんが呼んでるよ、川岸の向こう側でおいで〜って」



「蓮二、気を確かに持って、学園に着いたら沢山休めるから、もう少し頑張ろう」



三途の川みえてるじゃん....




「出発するぞー」



そういえば学園に帰ったら話があるって師匠が言ってたような?なんだろう。



「そう言えばお前、白牙の奴となに話してたんだー?随分真剣な顔してたけど」



「蓮二見てたの?!」



話に夢中で気づかなかった




「うん、俺と夜咲さんと我妻さんで、お前が遅いから見に行こう〜ってなってな?」



「えぇ?!居るなら言ってよ!」



まぁ、あの話は少しナイーブだから見守っててくれる方が良かったけど




「いや、何故かあの澪音って女の子とお前が一緒に居るところを見たら2人が・・・・」



「....榊原くん?....」



怖い怖い、2人とも怖いって!




「つ、司、な、なんでもない....」




気になるけどこれ以上話すと僕と蓮二の命が危うい気がするし、やめておこう....




「僕は少し寝ることにするよ....」



「俺も....」



こうしてた方が安全だし....それに慣れてるからって疲れがないわけでもないから少し休もう




「ん....?どこだ?ここ....」



「おー、大きくなったな」




誰の声だ?そう言えば僕、帰りのバスで寝ていたはずじゃ?




「封印の方はまだ持ちそうだな」




「えぇ、この子自身の魂が強いから、まだ抑えられてるみたい、立派に育ったわ」




誰が話してるんだ?体は重くて起き上がれないし、目はぼやけてはっきりと顔が見えない、でもなんだか、凄く心地がいい....




「このまま育ってくれたら私たちにとって何よりの幸せですね、お父さん」



「あぁ、俺たちの子だ、きっと何があってもやってのけるだろ、安心して見守ろう」



お父さん....?




「またな、司、頑張れよ」



「頑張ってね」




誰なんだこの人たちは、僕に語りかけているこの声は....




「司!」



「うわっ!!」



夢見てたのか?僕




「やっと起きたな、2人が怖いからってねすぎだぜ?もう学園についちまうよ」




「あ、ごめん、そんなに寝てたんだ」



あれは本当に夢なのか?




「もうすぐ到着するからなー、降りる準備しとけよ〜学園に着いたら各自解散ゆっくり休め」



僕はあの夢はなんだったのかと、少しの疑問を残しながらも学園の自分の部屋に戻った。




「で?なんですかこれ」




「何だとはなんだ?」



部屋に帰ってすぐ師匠に抱きしめられそのままベッドに横たわってるこの状況はなんですか...




「荷解きがありますので離してください」




「やだ」



どうしたんだこの人




「あのー、」



「やだやだやだやだ!合宿でずっと別の部屋にいたんだぞ?!少しぐらいいいだろ!!」



さみしかったんだ....




「分かりましたけど、話ってなんですか?」



「あぁ、そう言えばそうだ」




忘れてたのか




「運営がお前を呼べってうるさいんだよ、だからお前、明日私とフェスタ運営にいくぞ」



「え?」



状況が理解できない、何故僕が運営機関によばれる?そして何故そんな大切な事をこの師匠は今言ったんだ?




「正式に認可された無能力者のお前を見たいんだと、安心しろ!何かされよう物なら私の刀の錆にしてやるからな!!」



「いや、錆にしないでください....」



一目見たいと言っても、選抜戦で中継された映像をその人たちは見てるはずだ、なのになんで....




「まぁいいです、行きますよ」



「よし、公の、しかもあの運営共に私の愛弟子を披露する日が来るなんてな!!」



嬉しいけど見せ物みたいだ....




「それじゃあおやすみ」



「もう寝るんですか?!」




まぁ、師匠も疲れてたって事か、それに僕も休もう、バスで少し寝てしまったけど....






「師匠、起きてください、朝ですよ」




「あと5分....」



運営に行かなきゃなのに....




「今日は運営に行く日でしょ起きてください」




「はっ?!そうだった、少し待て」




急ぐのは良いけど、弟子だからって目の前で全裸になって着替えるのはやめてほしい....




「よし、できたぞ!」



「まだ少し時間ありますから、ゆっくり行きましょう、運営がある場所も遠くないみたいですし」



少し早く出て余裕を持った方がいいし





「あ、そう言えば師匠、帰りのバスの中である夢を見たんですよ〜」



「夢?なんだそれ、珍しくもない」




歩きながら話すには、いい話題だと思うけど




「なんか、白い空間?みたいな場所で、男の人と女の人が僕の顔を見て何か話してるんです」




「へぇ〜、はぁ?!詳しく聞かせろ!」




どうしたんだ師匠、こんな話に




「なんか2人は封印が〜とか、立派に育った〜とか、そんな話をしてましたよ?」



「チッ、あいつら〜、まぁいいだろう、お前はその夢のこと、あまり気にしなくていい」




そんなこと言われても僕が見た夢だし....




「そんな事よりついたぞ、ここだ」




「ここがフェスタの....!!」

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