第16話:月と女湯。

「ほら早く脱いで!」



早くっ....!蓮二たちが戻ってくる前に!



「寧々、あなたやっぱり良い体ね」



「ひゃんっ!!そんな、るなちゃんそこは...」



誰か助けてっ!!



「ただいまー!」



嘘だろっ....



「お、おかえり蓮二、早かったね皆んなも」



「いやー、女湯から声も身体を洗う音も聞こえなくてさ?やっぱり男と違って女の子は飯より先にお風呂なんだとよ〜」



だからこんなに早く...



「司は入らねーのか?汗かいただろ」



「ぼ、僕は朝風呂派なんだ!」



こうなったら早く寝るようにさせなきゃ、じゃないと蓮二たちがこの状況に気付いてきっと悪だくみする、そして僕も変態扱い....



「そっか!じゃあ暇だからトランプでもしよーぜ!まだ時間もあるしよ!」



「いや!今日はもう寝たほうが良いんじゃないかな?!明日も何かあるみたいだし?!」



よし、今日走らされた事を蓮二思い出してもらえればきっと....!



「司、お前さっきから堅いぞ〜?せっかくの夏休みを削られたんだ!楽しまなきゃだろ?!」



「そうかも、だけど今日みたいにずっと走らさ

れたりしたらさ、明日はもたないんじゃ??」



蓮二にとってはトラウマなはず、これできっと....



「いいや!俺はどうせ明日地獄をみるなら今日を楽しむ!でなきゃ俺でなくなる!」




ダメか、どうしよう...



「で〜?るなちゃんは誰が好きなの?」



「今のって....」



まずい....我妻さんたちの声が...




「おい!今のって女子の声だよな?部屋が近いのか?それとも、隣とか....?」



「い、いや〜それはないんじゃないかな?流石に男女隣り合わせなんて事ないかと....」



あるんだよねそれが....



「す、好きな人なんて、い、居ないわよ?!」



「ほら?!今のも聞こえたろ!?」



終わった....



「こりゃやるしかねーな」



「蓮二!待って!もしバレたら!」



まずい、どうしよう、そうだ寝たフリをしよう!僕だけ寝ていればひとまず巻き込まれずには済むはずだ!




「あ、開けるぞ?」



僕は寝てます僕は寝てます僕は寝てます....



「ガチャッ」




ん?この音は僕達の部屋のドアが開く音?




「おいこら小僧ども、何してる」



「さ、七草先生?!」



師匠?!




「女子の部屋を覗くとはいい度胸だな?ん?寝てるのは司か?じゃああいつ以外は仕置きだ」



「い、いや待ってください!まだやってませんって!何もまだ見れてません!!」



蓮二、それ、言い訳にもなってないよ....




「いいからお前ら!良いって言うまで廊下で正座してろ!まったく、馬鹿が」



「はい....」



でもひとまず助かった....



「つかさ、お前はしてないよな....?」



起きてるのバレてた?!



「は、はい....もちろんです師匠....」



「なら良い。」



何もしてないのに死ぬかと思った....




「ふぅっ、ひとまず変態扱いされる事は免れたし、なんだか疲れたから早いけど寝よう」



明日も何かあるみたいだし






「ん....?」



あれ?僕寝たはずじゃ?何か柔らかいものに包まれるような....



「あんっ!」



あん?!



「もう〜、声に気づいて隣に早乙女くんがいるって気付いてきたのに〜!早乙女くんの方からそんな事してくるなんてっ」



これは我妻さんの声?それじゃこの僕の顔を包む柔らかい感触の正体は?



「あんっ....!もう、そんなしたらだめ....」



む、胸?!



「わ、我妻さん、まずいって!」



「何がまずいのかな〜??」



蓮二達にバレてもまずい、師匠がまた来てみられてもまずい、誰にバレてもまずい!!



「ほら、好きなだけして....」



ごめん我妻さんっ!許して!!



「そんな、帯をとるなんてっ早乙女くん....って、早乙女くん?!これじゃ動けないよ?!」



「ごめん我妻さん!!それじゃ!!」



いそげ、もうこんな部屋にいれないぞ....




「おい司!どうしたよ急に!」



「蓮二!正座お疲れ!僕は少し寝苦しいから夜風にあってくるよ!またね!!」



はぁっ、これでもう大丈夫なはず....




「早乙女君?」



「よ、夜咲さん?!」



我妻さんと違って寝てるかと思ってた




「少し、寝苦しくて」



「僕も、少し話さない?」



選抜戦が終わってからゆっくり話せてなかったし、良い機会かな。




「ええ、いいわよ」



「ありがとう、とりあえず蓮二は負けちゃったけど、お互い選抜戦、勝ててよかったね」



夜咲さんは無双状態だったけど....



「えぇ、その、私たちってまだ入学したてだけど、もう結構はなしてるじゃない?」



「え?うん、そうだね?」



なんの話だろう?



「それで....その、お互い名前で....」



「名前で?」



名前がどうかしたのかな




「だから!お互い下の名前で呼び合いましょってことよ!悪いのかしら?!」



「あ、いや、そういうことなら!」



名前で呼び合いたかったんだ、なんか照れるな



「えっと、じゃあ、ルナ....」



「つ、司くん....」



な、なんだこれ、月明かりで夜咲さん、じゃなかったルナがすごい色っぽいし、すごい見つめあっちゃってるし、だんだん吸い込まれる....




「おい....何してるお前ら....」



この声は....



「つかさー?お前今この小娘と何しようとしたんだ?すごく見つめ合っていたよな?」



「えっ、いやその、僕はただ話してて」



こういう時、ルナは助けてくれるはずだ....



「じゃあ小娘、お前に聞くが、お前は今私の弟子と何をしようとしていたんだ?」



「・・・・」



なんで何も答えてくれないのー....?!



「つかさ、お前合宿が終わった後の残りの休みは私と修行だ、いいな?最近色気ずいていろんな小娘とちちくりあおうとしてるからな」



「そんな〜....!!」


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