第9話:師匠と弟子

「おめでとう早乙女くん」



「ありがとう夜咲さん、次は君の番だよ」



蓮二も無事勝ったし僕も何とかかてた、だからここは何としてでも勝って欲しい。



「言われるまでもないわよ」



流石学年最強の能力値を叩き出した人だ、言葉に重みがある....



「誰が相手でも叩き潰す」



「そ、そっか...大丈夫そうだねっ」



怖っ....



「Dブロック次の対戦カードを発表します!次に戦うのは〜!!夜咲月選手!そして岩黒選手です!両選手はスタジアム中央へ!」



「私の番が来たみたいね」



相手は三年生か




「相手は三年生だけど頑張って!!」



「夜咲さーん俺も応援してるぜ〜!」



一年最強と三年生どっちが強いのか....




「楽勝よ。」



あれは口だけの自信じゃない、相手が自分よりも弱いと確信してる。



「ではDブロック第5試合スタートです!!」



氷の魔槍ブリザードランス!」




えっ....




「しょ、勝者夜咲月選手〜!!あまりの早い決着実況、観覧生徒一同騒然ですっ!!強い!能力値最強は伊達じゃなーい!!!」



驚いた、前よりも速く、強くなってる。




「ふうっ、楽勝すぎてつまらなかったわ」



「お、お疲れ様....」



流石の一言しかでない....




「小娘〜、お前の試合華がないなー」



「派手好きなおばさんには分からないでしょうね?」



何故、この2人はいつもギスギスしてるのだろうか。




「とにかく、3人とも勝ててよかったよ!」



「そ、そうだな!よっしゃー!!」



あの勝ち方心配するのがバカらしかったな....



「パーティとかやるか?!全員勝ったし!」



「蓮二、まだ早いよ、全員トーナメントを勝ち抜けたらにしよう....」




理事長に話しておきたいこともあるし...



「そうか?じゃあとりあえずまた二日後!今日みたいに3人で勝ち上がれるといいな〜?」



「そうだね!頑張ろう!」



2人と別れた僕は理事長室へと向かった。




「し、失礼します」



「あぁ、早乙女か、選抜戦初日お疲れ様。」



言うんだ、あのことをっ!!




「理事長、なんでまだ師匠が僕の部屋に入り浸ってるんですか!!」



「ん?いいじゃないかお前たち親子みたいなものだろ?寂しくなくていいじゃないか」



そーゆーことじゃない!!




「僕はもうウィザードとして正式に認められたんですよね?!ならなんで師匠の部屋がないんですか!!」



「私もあいつには言ったのだがな?」



どう言うことだ?理事長は師匠に部屋を貸すって言ったってことか?




「これを見ろ」



「動画....?」



写ってるのは師匠と理事長....?




「やーだ!さゆりちゃ〜ん!つかさと離れるなんてできない〜!お願い同じ部屋にいさせて」



し、師匠....?!




「と、言うわけだ」



「師匠が僕と住むことを望んでるって事ですか?」



あ、あの師匠があんな風に....




「お前が入学してきた日の朝もこんな感じだったぞ?この学園は全寮制だからな」



見たくなかった....あんな師匠....




「お前が嫌なら無理やりでも部屋を分けるが」




「いや、いいです....」




元々僕はそこまで一緒に住むことに反対じゃないし、ただ夜咲さんに怒られるから...まあいいか。




「失礼しました。」




どうしよう...あんなの見た後じゃ部屋に戻るのが少し気まずい....




「た、ただいま〜」



「おー!おかえりつかさ」




師匠の顔見るだけであの動画が脳内再生されてしまう....




「おい、さゆりちゃんから変な事聞いてないよな?ていうかなんでお前....」




「へ、変な事?!聞いてないですよ?!僕はただフェスタのことで理事長に話があって!」




見たってバレたら....




「そうか、ならいいけど」




ふぅ、今日はあまり師匠と居てはいけない気がする....そうだ!ランニングに行こう!




「ぼ、僕、トレーニングに行ってきます!」



「今日試合だったのに疲れてないのかー?」




正直、疲れよりこの気まずい空気の方が嫌だ!!




「だ、大丈夫ですよ、行ってきます」



「そうか、いってこーい」




はぁ、危なかった。




「えっと、学園外周のランニングコースは...」




「あーれー?早乙女くんじゃん」



背後を取られた?...全く気配を感じなかった。




「そ、その声は我妻さんかな?」



「ピンポーンっ正解、無能力者の早乙女くんは少しでも強くなるためにトレーニングかな?」




ただ話してるだけなのに一歩も動けない....動いたらやられる。




「でも今日の試合を見た限りじゃ早乙女くんって本当に強いみたいだねー?壊し甲斐があるな〜?誰かに負けちゃダメだよー?」



「わ、我妻さん耳がっ....近い....」



鳥肌が....




「今ここで壊そっか....」




「寧々、そこで何をしてるの」




この声は夜咲さん?!




「チッ...楽しく会話してるだけだよ〜?邪魔すんなよ絶壁ブスがっ」



「私を罵るのは良いけれど学園での無差別な戦いは校則違反よ?分かってるの?」




た、助かった....




「じゃあね〜早乙女くんっまた今度。」



けど、動けなかった。




「ありがとう夜咲さん」



「もうバカっ、抵抗くらいしなさい」




抵抗できなかった、いや、させてもらえなかったが正解なのか?




「何もされてないわね?」



「うん!ありがとう」



あれはもしかしたら我妻さんの異能のせいなのか?




「僕、用事思い出したから帰るよ!」



「そう、また明日」



急いで師匠に報告しないと....




「し、師匠!!話したいことが!」




ん?怒ってる....?




「つかさ〜?お前何してんだ〜?」



「えっ、いや、ランニングしようとしたら...」




こ、この殺気は師匠が激怒した時の....




「あー?女とちちくり合うのがお前のランニングなのかー?」




み、見られてた?!




「あ、あれは無理やり....」




「無理やり...?」




誰か助けて!!!



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