第6話:史上最強の無能力者
「2人とも呼び出して悪かったな」
師匠と僕は例の件について理事長から呼び出されていた。
「フェスタ運営議会、並びにブレイドウィザード育成連盟から正式に早乙女司、お前の通学を許可が降りたぞ」
「あっ、あ....」
む、無能力者の僕が、国から正式に....
「よっしゃあー!!!今日は祝いだー!さゆりちゃん酒はないのか?!」
「落ち着け、ここは理事長室だ」
夢みたいだ....
「良かったなつかさ!お前を育てて良かった」
「し、師匠....」
なんだろう、嬉しいのに上手く言葉にできない....
「でもよ?さゆりちゃん、つかさの扱いはどういう感じになるんだ?元々フェスタって異能力者のものだろ?」
「フェスタ運営は早乙女が夜咲に完勝したことを含め、異能力者と戦うに相応しい無能力者だと認めたんだ、簡単に言うと人類史上初、異能力者と戦える男、ということだ」
師匠も僕もここへ通うと決めた時はなんとか最後まで誤魔化そうって話してたし....
「師匠、ほ、本当にありがとうございます...」
「なんだー?泣いてるのかー?」
それでも僕をここまで強くしてくれたのはやっぱり師匠だし、それに今もそばで見守ってくれるのも師匠しか居ない。
「理事長もありがとうございます」
「君は無能力者だが才能に満ち溢れた若者だ私がしてやれるのはこれくらいだ、頑張れ。」
史上最強の無能力者、言われたからにはその名に恥じないようにしないと
「さゆりちゃん、一つ引っかかってる事があるだけどさー?これは見せしめでもあるの?」
「恐らくな。」
見せしめ?僕を?一体誰が....
「異能力至上主義、そんな奴らが運営にいたら、もしかして、と思ってね?」
「そこまで知っているならお前から伝えてやってくれ、私はこれから会議があるからな」
異能力至上主義、聞けばどういうものなのか大体わかるけど、具体的にどんなものなんだろう。
「師匠、さっき理事長が言ってたのって?」
「あぁ、異能力者の中にも特別能力が優れた者が生まれる家計があるんだよ例えばあの小娘とかな?」
そういえば夜咲さんの家は名門って聞いたっけ
「この業界にはその優れた者が生まれる家系のさらに優れた家系、それが三つあるんだ、その中の一つ、
「その人たちが異能力至上主義者って事ですか?」
でもそれが一体何故見せしめになるんだろう
「そいつらの家の数人がフェスタ運営の幹部に居てな、お前が夜咲を倒した事で異能力者に対する見る目が変わってしまうのを恐れたんだ」
「でもそれなら僕を消せばいいんじゃ?」
なんでそんな回りくどい事....
「奴らはあくまで実力主義だ、だからお前という脅威を消すのではなく、フェスタで潰そう、そう思ったんだろう、そうする事で世間にやはり異能力者に無能力者は勝てないと思わせたいんだろうな、全くめんどくせーよな〜」
そういう事か、だから見せしめ....ここで僕を排除すれば僕の勝ち逃げになってしまうってことか
「複雑な事情かもしれないですけど、面白そうじゃないですか、正々堂々としてて」
「お?言うようになったな?ていうかお前今日は抽選会じゃなかったか?」
抽選会?
「あぁー!!忘れてた!!」
「まだ間に合うから走れバカ弟子」
今日は代表選抜戦の抽選会だった、急がないと出場放棄とみなされるっ!
「ハァッハァ....間に合った?のか。」
「あーいたいた、司おせえぞー」
蓮二、先に来てたのかそれにあれは夜咲さんも
「選抜戦の説明始まるぞ」
「うん」
トーナメント形式とかなのか?
「それじゃあ代表選抜戦の説明するぞー、代表になるのは全学年を通した合計5名、A〜Eまでのブロックに別れて戦ってもらうそれだけだ」
となると、夜咲さんのリベンジを受けなくてもいい可能性もあるって事なのか....くじ運ここで使うべし。
「そんじゃ1人ずつくじ引いてけ〜」
頼む....僕の右手よ!神の加護を....!!
「Cブロックか」
夜咲さん、それに蓮二はどのブロックなんだ?
「D....」
「司はCか、俺はBだったぜ〜」
夜咲さん見るからに表情が....
「引きなおしをさせてください。」
ド直球?!
「なんだー?夜咲、引き直しは原則禁止なんだ、いくらお前でもそれはできんよ」
「クッ....今度こそ、息の根を止められると...」
僕の息の根止めるつもりだったの?!
「あっ、ははは....しょうがないよ夜咲さん...」
「そうね、戦い方や異能は強化できてもくじ運は強化できないものね....チッ...」
今舌打ちしたよねっ?!
「た、戦えないのは残念だけど、僕は元々このトーナメントを勝ち抜けるか分からないし...」
「勝つのよ、絶対勝ち抜きなさい、私が貴方にリベンジできないのだから私以外に負けることなんて絶対許さない、もし負けたら....」
「わ、分かった!頑張りますっ....」
まぁ、僕自身も出来るだけ、いや、この代表選抜戦をこの無能力者の僕だけど、勝ってみせるつもりだ
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