第3話:異能力者と無能力者
「死ぬほど....?それなら私だって....」
「じゃあ夜咲さんは本当に腕が千切れるくらい腕立て伏せしたことはあるかな?」
脚がもげるくらい走ったりとか....
「そんなことより今は休んで夜咲さん」
思いのほか結構クリーンヒットしたみたいだし
「つかさ〜!!良くやったぞ!!流石私の弟子じゃないか〜!褒めてつかわす!!!」
「一応勝てました!」
なにより胸に触れた罪で殺されなくて良かった....
「おめでとう早乙女、それに涼もだがお前たち2人に少し大事な話があるからついて来い」
えっ....まさかバレた?
「な、なんだよさゆりちゃん改まって....」
「そ、そうですよ、どうしたんですか理事長」
師匠も僕も顔に出過ぎだ....
「先ず早乙女、お前は異能者ではないな?」
「えっ...い、いや!そんなわけないですよ!」
なんで気付かれたんだ?
「お前の戦闘はとても立派だった、だがな肝心の異能や魔力の波長がなかった、だからだ」
「いや、その....」
師匠はもうそっぽ向いて知らん顔してるし?!
「すみません....」
「お前たちがどう言う動機でこの学園に潜り込んだかは知らないが、国から認可を受けたこの学園に無能力者が通うなど言語道断だ。」
そりゃそうですよね....
「退学だ」
「ちょっと待ってくれよさゆりちゃん!?」
いや、理事長の言う通りだ、ここまで死ぬほど努力して夢を追って来たけど、僕がした事は悪い事だし....
「普通だったらな、しかし、お前は観客がいる前でしかも1年の中でも能力値トップのあの夜咲に勝って見せた、これは上も無視できん」
「さゆりちゃん?!それって!」
まだ夢を追ってもいいのか....?!
「あぁ、少し上に掛け合ってみよう、全くこんなことブレイドウィザードが生まれて以来初めての出来事だ、早乙女司、こうなった以上はお前の剣を磨くことに精進していけ」
「良かったなー!つかさっ!」
正直、師匠と理事長に感謝しかない、無能力者の僕がこの学園で堂々と過ごせるなんて。
「ただし、全校生徒にこの事実を教える義務がある、退学にしない条件はそれだ、いいな?」
「はい!もちろんです!」
よし、これでまたブレイドウィザードへの道が開けた!頑張るぞっ....!
「はぁ?無能者がなんでこの学園に?」
「あいつが無能者なのに不正受験したやつ?」
僕が無能者だと言うことを公表後、学園のほぼ全員の生徒たちが僕を馬鹿にした。
「つかさ、あんま気にすんなよ」
「師匠、ありがとうございます」
でも、世界中にバカにされたとしても、無能者の僕をここまで育ててくれたこの人さえいれば充分なのかもしれない。
「って、なんで僕の部屋に居るんですか?」
「あー?仕方ないだろ?お前の師匠ってことで私にも責任があるからな、さゆりちゃんがそうしろって言ったんだから、ていうか山にいた時もこうだっただろ?このバカ弟子が!」
だとしても人のベッドを占領しなくてもいいでしょっ?!
「ガチャッ....」
「失礼するわ、早乙女くんって...何してるの」
夜咲さん?!なんで僕の部屋に?!ていうか師匠いつもの着物姿はだけてるし、こんなところ見られたら....
「説明してくれる....?」
「は、はい....。」
目があの時と同じだ....恐ろしい。
「なんだ?あー、あの時の小娘か、どした」
「こ、小娘?!夜咲月です!!」
夜咲さんと師匠って性格が真逆だし一緒にいたらまずいんじゃ....
「夜咲の家の娘か」
「師匠!いいですから着物ちゃんと着て!」
いっつも僕が直してるんだから....
「まず、何故この人と早乙女くんが一緒の寮で、しかもベッドが一つなのかしら?」
「なんだ小娘、何か悪いのか?」
ほらこうなった....
「失礼ですが親でもない、血の繋がりもないいい歳をした女性が年頃の男の子と一緒に暮らすなんて不潔だと思いますけど?」
「あー?育ちだけはいい子娘が言ってくれんじゃないか、今すぐ叩き斬ってやろうか?....」
女の人って怖い....?!
「2人とも!今はやめてください!!夜咲さん、その話は置いといて何の用かな?」
「貴方が無能力者かどうか聞きにきたのよ」
なんで今更聞きに来たんだろう、全校生徒の前で理事長が話したはずだけど....
「私は、貴方に負けた、でもそれが私より優れた能力者ならまだ分かるわ、けど貴方は無能者という事になった、それが信じられないの」
「本当だよ、僕は無能者だ」
自慢できることじゃないけど....
「どうして?!だって、普通無能者が人知を超えた異能力者に勝てるはずがないでしょ?!」
「でもお前は負けたんだよ」
また師匠怒ってるし...
「私は、ここまで努力してきたのに....」
「簡単だろ、お前より私の弟子の方が努力してきた、ただそれだけだ、確かにこいつは無能力者だけど私がつけた修行に何回も死にかけて
も着いてきた、異能力を持ったものだけが特別だと思うなよ?」
師匠....そこまで言わなくても。
「夜咲さん、僕は無能力者だけど、努力するっていう事は異能力者だけのものじゃない、僕は恵まれた才能も異能も持ってない、だけど努力するってことだけは得意だったからさ」
「それにこいつは異能を持っていないが剣の才能だったら、大体の人間よりは強いぞ」
それは師匠が殺す気で僕を鍛えたからです....
「そう....ごめんなさい!あんな事で決闘を仕掛けるなんて、私は貴方より弱いのに....」
「えっ?!そんな、顔あげてよ夜咲さん!」
分かってくれたならそれだけで良いのに
「今日から私を貴方の弟子にして下さい!」
「えぇー?!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます