第18話 お別れ
「ふーん」
「へぇ」
顔を真っ赤にした夏陽の目の前には、にやにや顔のけんちゃんと星野君。
「「男前だね〜〜〜〜〜〜〜」」
「うるっっっっっっせえ!」
夏陽の今までの成り行きを話した後だったのでした。
「夏陽君は桜厘山知らないんだ」
「ああ。桜は触れただけだな」
「「女の子を助けてね〜〜〜」」
「うるっっっっっっせえ!」
……二人ともいじるの好きだなあ…………
私もさっきいじったけど、ここまでくるとかわいそうだよ。
「のあは……桜厘山登ってないか。学校帰りだし」
「うん。工事中のマンホールから落ちて……………………」
「「ぶっ!」」
「わっ、笑わないでようーー!」
言ったら絶対笑われると思って、言わないようにしてたのに……
案の定、夏陽と星野君に笑われてしまった。
「アホか。マンホールに落ちてタイムスリップしたんだな?」
「うん…………」
けんちゃんは少し考えてから言った。
「のあは少し例外だから後で考えるとして――――秋山……さんが触ったのは、桜厘山の桜とみて間違いないな」
おぉー!パチパチパチパチ。けんちゃん名推理だね!
「そして、のあ!」
「はいいぃぃ?!」
急に名前を呼ばれ、反射的に返事をしてしまう。
「落ちたとき……何か見えなかったか?」
「見え…………うーん……空?」
「桜、とか見えなかったか?」
「うーん…………見えたかと言われれば見たような……」
私はぐりぐりと頭をおして思い出そうとする。
今までで一番頭使ってる気がするよ………。
「落ちたときじゃないけど、落ちてしばらくしてから辺りが一面桜に……」
「あ、ソレ俺も」
夏陽がちょこんと手を上げる。
「俺もだ。のあの夢を見……て……」
「えっ?!けんちゃん、私の夢見たの?え?え?」
「おアツいね〜〜」
けんちゃんが真っ赤な顔を両手で隠し、それを3人で茶化す。
「夏陽は秋山さんの夢見たりしてないの?」
「……はあ?!みっ、見るわけねえだろ!」
「「「怪しい」」」
「うるっっっっっっせえ!」
さっきからずっと怒っている夏陽に、けんちゃんが言った。
「ま、まあ、タケルや二人の話を聞く限り、桜厘山の桜がタイムスリップのカギとみて間違いなさそうだ」
「そっかあ……じゃあ、さっそく帰る?」
「そうだな。タケルがのあと夏陽君のことはなんとかしてくれるそうだ。二人とも、荷物をまとめろ」
そっか。雑用係…………
「あ、私姉さんにお別れ言ってくるね」
「「姉さん?」」
「えーっと……その、お世話になった人で………………」
「――分かった。行って来い。桜厘山で集合な」
うん!と言ったところでさっきのことを思い出す。
「そうだ、シュウゾウさんって…………」
「ああ。そのことなんだが、タケルに聞いたんだ。シュウゾウって男のこと」
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