第13話 殿がお呼びです
私・左門のあの目の前に立つイケメン――シュウゾウさんは、淡々とした口調で告げた。
「殿がお呼びだ」
「………んゔあ?」
「ぶははははははははははははははははははははは!今どっから声出た!」
………だってしょうがないじゃん!急にお殿様だよ?!お殿様に呼ばれるって、私悪いことした?!もしかして、最初手続きしたの私じゃないことがバレたとか?!
私は夏陽をちらりとにらみ、シュウゾウさんに聞いた。
「あのう……私、呼び出されるような悪いことしました?もしかして一昨日のお味噌汁のことですか?」
それなら姉さんだと思うけど……全体責任かしら。
「理由は私も思い当たらないが……颯と行ったほうが良いだろう」
「はあ……………夏陽もついてきて!途中までで良いから!」
「めんどくせ。それにアイツ一人で飯作れる訳ねえだろ」
………確かに。姉さんも一人でお味噌汁が作れるようになったものの、やっぱり心配だよね……。
「そうだ!姉さんについてってもらおう!夏陽は朝ごはん作ってて!」
「はあ?!どっちでも良かったんかい!」
「ふーん。いいよ」
「良かった!姉さん行こう!」
私は、承諾してくれた姉さんと一緒にお殿様のいる大広間(……だったかな)へ向かった。
移動中。私は姉さんに聞いてみた。
「姉さんは、お殿様に会ったことがあるんですか?」
「無い」
即答。
即答過ぎて逆にあやしい……
「――――殿。雑用の左門のあ殿と左門伯殿です」
シュウゾウさんの凛とした声が響き、私と姉さんは大広間に入った。
お殿様は簾の向こうに居て姿は見えないけど、心無しか背中が小さい気が……
「あ……えーっと……ごく……ろ、う?」
…………………………………………………………………。
お殿様?!
頼りな!
例えるなら、ベテランから貰ったマニュアルを読んでみたような感じだ。
正座をしながら姉さんの方をちらりと見ると――――
(姉さん?!)
頬と耳が真っ赤じゃないですか!
その顔は、お殿様がアガっていたのがおかしかったとかいう顔ではなく、間違いなく、恋、の顔。
恋愛への興味0%の私でも分かるよ!
「さ、左門、のあ、どの?」
「…………はい!」
ガタッ!
「のあ!」
簾を押しのけて私に飛びついてきたお殿様は―――――――――――
「…………………………けんちゃん!」
見慣れた顔の、幼なじみだった。
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