第9話 夏陽が同類
「大事な話があるんだ」
……………………………………。
「はあああああああああああああああああああああああああああ?!」
「うるせえ!大事な話っつってんだろ!」
…………これは……告白、というやつですかね。
いや、でも『大事な話』ってどういうことなんだろ……
それにしても、夏陽って黙ってればかっこいいんだね!
調理場から「いってえ!」という姉さんの声が聞こえるので、心配だし早く帰りたいけど……
話を聞かないと行けないっぽいです……
「分かったよ……。でも姉さんが調理場にいるから早くしてね」
「………………のあ」
ドキーッ!
ぎゃあああああああああああああああ!今ドキッてしちゃったよ!
…………顔が赤いかもしれない。
「のあ、俺は――――――未来から来た」
「………………未来から……………………へー。そうなんだ…………」
「ああ。言いたかったのはそれだけだ。戻るぞ」
………………………………。
「はああああああああああああああああああああああああああ?!」
「遅えな!あと、うるさい」
「いやいやいや。未来から来たとか言われたら誰でもびっくりするよ!」
「………………ていうか…………お前もだろ」
「へ?!き、気づいてたの?!」
「やっぱりな。お前、分かりやすい」
「いやいや。私もなんとなく気づいてたよ!夏陽の言葉、シュウゾウさんみたいに難しくないもん!」
「お前が気づくぐらいにしてたからな。それより、お前何年から来た」
「えーと……西暦2021年だよ。」
「へー。俺は2009年」
へえー!結構前なんだね!
私は21-9……と数えて言った。
「12年前だね!だから私の時代では、夏陽は23歳か24歳!わーおっさん!」
「は?21だよ。人を勝手に年とらせんな」
あんま変わんないじゃん………………ってええっ?!
「夏陽、10歳なの?!ってことは、4年生か5年生?!」
「4年だよ。のあは?」
「………………12。6年生」
「ぶはははははははははははははははははははは!やっぱお前ちびだな!」
うう……初めて合ったときちびって言ったことを今になって後悔しています……ずっと同い年かと思ってたよ……。
「…………と、すっかり信じ切った話してるけどな。一応確認だ。そうだな…………初代総理大臣は?」
「えーと…………伊藤博文!」
「正解」
これはこの前習ったからね。髭のインパクトが強かったです…………
「次。第二次世界大戦の終戦はいつ?」
「1945年?」
これはあんまり自信がない。
「正解。じゃあ、4分の1+2分の1」
「6分の2!」
「ぶはははははははははははははははははははは!ちげーよ!何で自信たっぷりなんだよ。お前ほんとに6年か?」
えっ嘘!私、算数苦手なんだよね……
「まあ1問目と2問目で確信したよ。のあも信じきれてなかったらどうぞ」
「いや、私はいいよ。それにしてもびっくりした!夏陽が同類だったなんて」
ガッシャーーーン!
げ。
「姉さん………………」
「またアイツか…………もう戻ろうぜ」
「…………遅かったか…………」
私と夏陽が調理場に戻ったときには、手遅れだった。
水びたしの床。
割れたお皿。
何やらドクロのオーラを出しているお味噌汁。
「…………姉さん…………」
「のあか。遅かったな。これなかなか美味いぞ」
「お前はジャイ◯ンか」
「じゃい◯ん?」
適切なツッコミをいれる夏陽。
そしてちゃっかり昔の人にジャイ◯ンと言ってしまっている。
「よーし!作り直すぞ!」
「おー!」
真顔で意気込む夏陽に、私は元気に声を返した。
「なんでだよ!指切ってまでねぎ切ったんだぞ!」
「…………………………………………」
「うまいな!上出来だ」
「お前料理オンチな上に味オンチだったのか」
あの後、無事夕食を作り終えたのだが……
なんと、姉さんは味付け担当を押し切ってしまったのだった。
どうやら姉さんは筋金入りの味オンチなようだ。
これは最悪クビになるかもしれない……
「…………のあ」
「姉さん」
夕食後、姉さんが急に話しかけてきた。
「何?姉さん」
「臭い」
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