第7話 人手が増える
(※これからはのあのことを『のあ』と呼ぶ人が3人になります。ご注意ください。)
「……眠すぎる……5時起きはつらいです……」
そう言って、私――左門のあは部屋の布団から起き上がった。
私は訳あって戦国時代でお城の雑用係をすることになっちゃったんだ。
雑用係は朝ごはんの準備もあるから、すごく早起きなんだ。
ガラッ。
ぼろぼろの障子を開けると…
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!」
「うるせえ!町人に怒鳴り込まれるぞ!」
目つきの悪い悪ガキ……春風夏陽がいた。
「びっくりしたあ……なんで夏陽が乙女の部屋の前にいるの!」
「ぶはははははははははははははははははは!誰が乙女だ。誰が」
くそ〜〜〜〜〜っ。生意気な口たたきやがって!
「夏陽が乙女だと思わなくても私は乙女なの!変態!」
「あ?誰が変態だ」
「変態変態変態変態変態変態変態変態へんた――」
「のあ!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「「うるせー!」」
急に後ろから声がして本日二度目の雄叫びを上げ、夏陽と――昨日の女の子に怒鳴られるのだった。
「はあ……なんでふたりとも驚かせるんですか……」
「アンタも声デカイわ。静かにしな。それと、ちょっと妹と話していいか?」
「?ああ」
そっか。女の子にかばってくれたお礼しなきゃね!まだふたりで話してなかったもんね。
「えっと……あの……昨日はありがとうございました!」
「ん?ああ、あれね」
「なんでかばってくれたんですか?ましてや自分がなるはずだった仕事をとった私を」
「特に意味はないけどねー。まあ自分そっくりな女の子がピンチになってたら助けたいじゃん。なんで貴女が勝手に私の代わりになったのかは知らないけど」
か………………………………………………………………
「かっこいいです!」
「……………………………………は?」
女の子はぽかんと口を開けて驚いている。
「空気を読める人、尊敬します!かっこいいです!」
「貴女は空気読めなそうだしね」
ぐさっ。
「毒舌なところもかっこいいです!………アネゴって呼んでいいですか?」
「なんでだよ。そもそも私とのあは姉妹になってるからね」
そっか!……………………………………忘れてました!
「私は
「はい!姉さん!」
私には妹しかいないから、義理でもお姉ちゃんができてうれしい!
「よし、のあ。髪を結べ」
………………………………。
「いや、私髪結べません!」
「まとめるだけでいいんだよ。ほれ」
姉さんは私に金色の紐を差し出す。
「わ!きれいですね!買ったんですか?」
「今私が使ってるのは買った。のあのそれは、拾った」
………………………………。
「いやこれ拾ったんですか?!ひどくない?!」
「いいから結べ」
私は髪を2つに分け、後ろでリボン結びにした。結び目に紐を結び、ダブルリボン!
「どうです姉さん!初めてにしてはの完成形じゃないですか?!」
「…………まあいいか。そうだ。就職願が処理された。私も今日から雑用係だ」
「おお!」
――ん?まてよ。雑用係……
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!朝ごはん!全然準備できてない!」
「やべー」
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!なつひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
「「うるせー!!」」
またもふたりに怒鳴られるのだった。
「姉さん……私も昨日知ったんですが、お味噌は最後に入れるんだそうです……」
「何?!」
「…………………お前ら、姉妹そろって料理オンチかよ!」
「「すみません…………」」
まだ大根しか入れてないのに、さっそくお味噌を投入しようとする姉さん。
昨日の私と同じ間違いをしている……
料理オンチが一人だけじゃなくてよかったーー!
「じゃあ味付けは私がする」
げ。
「それはやめとけ。クビになるぞ」
「…………私も賛成しかねます……」
「なんでだよーー!」
それは、貴女が味オンチだからです。
「…………分かったよ。味付けはお前に任せる」
良かった……(私も食べるから)
「「「終わったーーーーー!」」」
「はあ……なかなかギリキリだったね……」
「おい、この大根6連になってんぞ。切ったのどっちだ」
………………………………。
「姉さん!!!!!!」
まさかの私と同じ過ち。(2回目)
「よし、次は掃除だな。井戸から水をくむぞ」
「「げ」」
「げ」ってことは、姉さんもまさかの運動オンチですか?!
「じゃあ男!私と姉さんをしっかりサポートするのよ!」
「なんでだよ。一人でやれ」
「少し聞いていいか?掃除って具体的に何をするんだ?」
「掃除は掃除だ。さっさとやるぞ!」
「「お、おーー!」」
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