第5話 雑用係はつらいよ②

「つ……つかれたあ……っ!」

――ここはお城の中庭。私・左門のあは、井戸からくんだ水をお城の中へと運んでいる。

私は今、雑用係として掃除の最中。雑巾がけのための水を運んでるんだけど……


            体力の限界です!!


私が着ている茜色の着物は、汗でべっとりと背中に張り付いている。

うう、お風呂に入りたい……


「のあ。大丈夫か」

「しゅ……しゅ……しゅううううううううう……」

このお城に仕えているシュウゾウさんだ。私は疲れすぎて言葉すらまともではない。

「水を飲め。無理し過ぎだ」

シュウゾウさんは私に瓢箪型の水筒を手渡した。

このお水、もしかしてシュウゾウさんの飲みかけ…?!(ドキドキ)とか思ったけど、のどがモーレツに乾いていたので瞬で飲み干した。


「休め。脱水症状になる」

「いえいえ!私……まだ……」

「強がるな。雑用係はもう一人いる」

「いえいえ!…………え?!」

シュウゾウさん今なんておっしゃいました?

「雑用係が……もう一人?!」

「?ああ。言っていなかったか」


「言ってませんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!」





「もう一人の雑用係ってどういう人なんですか?」

少しむすっとしながらシュウゾウさんに聞く私。

男子おのこだ。生意気なガキでな。口が悪いがのあなら仲良くできるだろう」

「…………」

「最近来ていないな。もう一人来ると言ったら全く来なくなった。あれでは報酬はやれん」

「…………いやめっちゃめんどくさそうなやつじゃないですか!私そいつと働くんですか?!」

「まあまあ。根は良い奴だ。明日には来るだろう」

ひいーっ!嫌な予感しかしない!





――翌日――


「…………ちび!」

「は?」

私の目の前には、目つきの悪い私より少し背の高い男子。

シュウゾウさんが言ったとおり、もう一人の雑用係は来たのだが……

会って第一声が「ちび」ってどうなの?!


「お前体細すぎじゃね?力仕事ほんとにできんの?」

「うううううううううううううううううううううううううううううううるさーい!!」

「お前のがだわ!黙れちびガリ!」

「さ・も・ん・の・あ!私には左門のあという立派な名前があります!」

うぜーと耳を塞ぐ悪ガキ。何この人!めっちゃ口悪い!


「悪ガキ!さっきからちびちびって言ってるけど!あんたもちびじゃん!」

「はあ?ち……のあの方がちびだわ!ちびちび!」

「ちび!でべそ!コケまくりちびガキ!」

「ぶははははははははははははは!最後の完全にお前だろ!昨日力尽きたの誰だわ!」

「みっ、見てたの?!」

「当たり前だろ馬鹿め!ぶはははははははははははははははははは!あー腹痛え」

こいつ……来てたのに仕事しなかったなんて……しかも私を介抱(?)しないで!


「運動神経に見放されたちび!ぶはははははははははははははは!」

ゔ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ


「おい、そろそろ静かにしろ」


「シュウゾウさん!」

悪ガキとの言い争いに夢中すぎて、いらっしゃるのを忘れてました…

「おいおっさん!コイツめっちゃおもしれー!コイツとなら仕事してもいいぜ!」

くぉらあ!シュウゾウさんをおっさんだなんて失礼なやつ!……って私変なやつに気に入られちゃたよ!

「……そうか。それは良かった」

良くなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

そんな感じで私たちが和んでいた(?)とき。



「おい!お前誰だ!」



急に声のした方を向くと――――


「「のあ(ちび)が二人?!」

私にそっくりの女の子がいた。

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