第4話 雑用係はつらいよ
「ショウゾウさん!準備万端でございます!!」
私・
諸々あって、お殿様のお城で働くことになっちゃた!(しかも雑用係)
私はイカツ護衛さん・ムザウさんに借りた瑠璃色の着物を着て、お城の門にたどり着いた。
シュウゾウさんというのはこのお城に仕えるイケメン。
「のあ。雑用係の仕事は私が教える。来い」
はうっ。一挙一動が尊い!
――ってあれ?私ってこんなイケメンキラーだった?ジャ○ーズ見てるときのお母さんみたいな自分が怖い!!
「のあ、置いていくぞ」
「はいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
うるさい、と言われながら、私とイケ――シュウゾウさんはお城に入って行ったのだった。
「――これからのあにやってもらうのは、主に炊事、掃除だ」
ひええっ!料理なんてやったことないよー!かろうじてカップラーメン、とか……
私の部屋は(お母さんが)片付けてから一日で汚部屋と化すので、掃除とは遠い縁だし……
「まさか、炊事をしたことがないことはなかろう」
ぎくーーーっ。
「まあ、それで雑用係になる奴はおらんな」
ぎくぎくーーーっ。
「はいっ。スイジも掃除も私におまかせください!!」
「心強いな。よろしく頼むぞ」
――それからシュウゾウさんに仕事を詳しく教えてもらったんだけど、食事は一日二食なんだそう。腹の虫が踊りまくらないか心配だよ……
「のあ、覚え書きする紙は持ってきていないのか……」
「覚え書き?」
メモ、のことかな?
「念の為、私が言ったことを紙に控えておくんだ。特にそなたは忘れるだろうからな」
うっ。会って二日なのにしっかりと私のことを理解している……
「筆と、これしかないからすまないが、和紙だ。貸してやる」
貸してやる――
貸すよ――
あ…………………………
シュウゾウさんの顔が、あの人の顔と重なる――――
「のあ?」
「あ、すみません!ありがとうございます!!」
ハッと我に返った私は、シュウゾウ……さんから筆と和紙を受け取る。
うん!さっきのは気のせい気のせい!
私は台所の場所、掃除道具の使い方などをメモして、部屋に帰った。
なんと、お城の庭にある井戸から水をくんで使うんだって!大変!
仕事は明日から!しっかり寝なきゃねっ!
私はねぎ入りのお味噌汁をすすり、ふっと声をもらした。
「おいしい……」
こんなおいしい料理、作れる自信ないよーー!
誰が作ったんだろう。そういえば、雑用係って私だけなのかな?
一人だけだったら、さすがに無理です……
「ん?」
雑用係……昨日来る予定だった……みなご……
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
そういえば、私誰かの代わりに雑用係になったんだった!すっかり忘れてたよ!
むぅ。その人に謝らなければ!
みなごってことは、女の子ってことだよね。女の子がお城の雑用係になるなんて、よっぽど生活が厳しいんじゃ……
さーーっ(顔が青ざめる音)
うん!今度会ったら謝って私がもらった報酬を渡そう!
よし!明日は仕事だからもう寝よう!おやすみ!
――一方その頃、お城の外では。
「誰だあいつ……手続き間違えたか……」
のあ……に似た少女が不機嫌そうな顔で団子を食べていた。
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