第46話 焙煎の見学は?

「ここもちょっと物騒になってきました。お客様としては来て頂きたいのですが、あまり危ない目に会うのも申し訳ないので、今日の所は……」

 そう奥の店員さんが言うものですから、その場は仕方なく会社に戻る事にしました。


 あんな感じでは、お客も来ずらくなると思います。それであんな風に閑散としてしまっているんだとも思います。


 ……となると、夜の焙煎作業の見学も、「ちょっと……」と言われて帰されてしまいそうです。折角の機会なのに。奥の店員さんとお話ができる機会を奪われるのは、ちょっと我慢がなりません。

 そんな心境を抱えつつ、午後の仕事は仕事としていつも通りにこなし、帰宅の時間になりました。


「今夜のコーヒー焙煎の見学、どうするの?」

 こういう所でカンが冴える遠藤さん。的確に疑問を刺してきます。

「とりあえず行ってみます。追い返されたら、その時に考えてみます」

 私は真剣に考えて言葉にします。本当にどうなるかわからないので、ともかく行ってみるのが正解だと思いましたから。

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