第27話 コーヒー脱臭剤の効果
コーヒー豆を挽いた粉を入れた脱臭・芳香剤。自宅に持ち帰って早速使ってみる事にしました。方法のひとつに、『靴の中に入れると、匂いと湿気が取れる』とありましたので、まずは普段使いの黒のパンプスに入れて、様子を見る事にしました。片方にひとつずつ、コーヒー粉が入った袋を差し込み、爪先まで差し込みます。
そのまま次の日になってみて取り出し、出勤前に様子を見てみましたら、ほのかに靴の中からコーヒーの香りがして、これは良い芳香剤だと感じました。オシャレは足元から、なんて言いますが、まさしく足元にさりげないオシャレです。仕事上、香水などの香りのきついものは使えませんので、このくらいなら大丈夫そうです。
通勤の時や事務仕事をしている時には香りはまったく感じませんが、靴を脱いで鼻を近付けると、コーヒーのいい香りがほのかにするのです。周りの人たちにはわかりませんが、私だけがわかる香り。こういう『自分のためだけのオシャレ』は、気分を上げてくれますね。
そんなちょっとだけ気分が上がった状態で仕事をこなす訳ですから、はかどる具合も早い訳でして。指先も軽快に動いて、データ入力も快調です。午前中の仕事の分は、早々に入力完了です。
ダブルチェックを遠藤さんにお願いする時に、「今日もコーヒースタンドに行きませんか?」と、小声でこっそり尋ねると、「もちろんよ」と、こちらもささやくように返事を返してくれます。
そんな訳で今日のお昼も、コンビニのサンドイッチにコーヒースタンドの淹れたてコーヒーです。
お昼休みになってから、まずはコンビニへ立ち寄ってサンドイッチを買います。今日はガッツリ行きたい気分ですので、てりやきチキンにレタスのサンドイッチにしました。
そして飲み物は、コーヒースタンド『ピーベリー』のコーヒーです。
珍しく今日のお店前は、列が作られていませんでしたので、早速コーヒーを注文です。今日の気分は深炒りでしたので、私は深炒りに。遠藤さんは以前に飲んだ『アメリカン』がお気に入りになってしまったようですので、アメリカンを注文です。
「深炒りとアメリカンだって」
注文を受け付けるイケメン店員の石原さんも慣れたもので、私たちの注文を奥にいる店員さんに通してくれます。そして奥の店員さんが、ペンダントライトの下でドリッパーにコーヒー粉を投入して、注ぎ口が細長いケトルでお湯を少しづつ垂らし、コーヒーをドリップしてくれます。
そして淹れ終わったコーヒーを紙コップに注いで、前にいる石原さんに「ん」という声とともに渡してくれます。その紙コップにプラスチックのフタをはめ込んで、「おまちどおさま」と言って私たちに渡します。
私たちは「ありがとうございます」と一言添えて紙コップを受け取り、代金を支払ってお店のカウンターの横にそれ、お店横に置かれているキャンプ用の折りたたみ椅子に座って、お昼ご飯です。
サンドイッチの具のてりやきチキンの甘じょっぱさと、深炒りコーヒーの相性の抜群さと言ったら、もう言い表せないくらい。「ああ、このために仕事を頑張っているんだなぁ」と、思う瞬間ですね。
「やっぱり、ここのコーヒーは美味しいですね」
私が話を切り出すと、遠藤さんも答えて返してくれます。
「ほーんと。またこれで、午後の仕事も頑張れるわ」
遠藤さんもしみじみ言ってくれます。
こういう時に、口に福と書いて「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます