第7話

「ウィル様申し訳御座いません」

深々と頭を下げて居たのは、俺が最初に目が覚めた時に抱き付いていた女性で、部屋のノックをするのを忘れたと言う事で俺に謝っていた。

「えっ、あっ、気にしないで下さい…」

今俺は医師と言う人に手の脈を測って貰っている。

「ほっ、ほっ、ほっ、しかし先ほどのウィル様の驚かれました声はウィル様が御生まれに成りました日からお仕えしておりましたが、今日初めて御聞き致しました。顔色も宜しいようで数時間前の出来事が嘘のようで御座います」

「数時間前の出来事は何ですか?」

俺は首を傾げ白髪で短いあご髭の医師じいさんの顔をじっと見て居ると……

「記憶に無いのも無理も御座いません、ウィル様は先ほど迄危篤状態で居ました」

「えっ」

俺は驚いて目を大きく見開き白い空間でウィルが言っていた事を思い出した……

「ウィル様のお身体は御生まれに成りました時からお身体が弱く、良く熱を出されました事が何度も御座いまして、一週間前からウィル様は体調を崩され起き上がる事も出来ない程でした。

そしてこの数時間前に、ウィル様は危篤状態に成りまして意識が御戻りに成りませんウィル様に、私はウィル様の残された時間は無いと思い、御父上であります王様にウィル様の御兄様方そして御側におりましたシェル様に御知らせをと思い部屋を出たのです。

私が部屋を出ました数分後にウィル様付きのそちらにおりますメイドのマリア様が私を呼びに来まして、ウィル様がお目覚めに成りましたと聞きました私は驚きました。

先ほどまで危篤状態のウィル様がお目覚めに成りましたと聞き、私はマリア様と一緒にウィル様の部屋へと向かったのです。

そしてマリア様が慌てましたように部屋の扉をノックもせずに勢いよく扉を開け私は驚きました。

ウィル様がまさかシェル様を押し出されますとは思いもしておりませんでしたので…。

御二人御兄弟に何が在りましたのかは存じませんが、私はウィル様の危篤状態とは思えない、大きな声とシェル様を押されましたお姿に驚きました……おや、脈が速くなっておりますが?ほっ、ほっ、ほっ、」

「へ?!」

「くっ……」

と笑うような声が聞こえた俺はその声がした方へ目を向けるとシェル王子が手を口元へ声を殺したように笑う姿を見掛けそして俺の顔を見たと思うとフッと目を細めその顔にゾワッ…と鳥肌が立っような感じを受け(……怖っ…)と心の中で呟いた。



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