第3話

俺はウィルと二人白い何も無い空間で二人だけの会話を楽しんだ。

『なぁ、ウィル何で俺ウィルの身体に入って居るのか分かんないんだ…俺がウィルの身体の中に入ってしまったらウィルが困るだろう……俺だって自分の身体に戻りたいし帰りたい、ウィルとは離れるのは寂しいけど……ウィルだって自分の身体に戻りたいだろう!?』

俺がそんな話しをしているとウィルが悲しそうな顔をしていた。

『……僕はもう、身体に戻る事が出来ないんだ…』

『えっ?』

『僕は死んでいるんだ』

ウィルは悲しい笑顔で俺の方を見て自分の生死を話し俺はそのまま言葉を失った。

多分俺が倒れた時とウィルが亡くなった時刻が一緒で次元を越え俺の魂がウィルの身体の中に入ったのかもしれない……

『僕、生まれた時から身体が弱くていつ死んでも可笑しくないと言われていたんだ…そんな僕でも十三歳まで生きる事が出来たんだよ』

ウィルは笑顔を見せ話してくれて俺は黙ってウィルの話しを聞くことだけだった。

『僕身体が弱くて兄様たちとも余り会う事が出来なくて……でも一番上の兄様と三番目の兄様は僕と仲良くしてくれたよ、一番上の兄様は僕が生まれた時から可愛がってくれていつも僕に会いに来てくれたんだ。

僕の病気が悪くなると看病してくれてメイド達以上に兄様が世話をしてくれたんだ…ふふっ、兄様、王子様なのにね』

『ウィルの事可愛がって居たんだなその兄ちゃん……名前は何て言うんだ?』

『第一王子のシェル兄様だよ』

『……第一王子って将来が決まった人だよな…』

『三番目の第三王子カイザック兄様は元気な兄様でハルトお兄ちゃんにそっくり何だよ』

『えっ?俺そっくりなのか?』

『うん、性格が似ているかなって思った』

『そっか、俺と気が合うかもな第三王子と』

ウィルは良く会いに来てくれた兄王子達の話しを終え後の二人の兄王子達の話しを始めた。

『……二番目の第二王子のジル兄様は…最後まで打ち解ける事が出来なかったんだ……いつも気難しそうな顔を見せていたから笑った顔も見た事が無くて……僕の心残りでもある兄様何だ』

ウィルは目を閉じ両手を重ねまるで祈るようにしてそしてもう一人の王子の話しもした。

『四番目の第四王子フィン兄様は、毎日女の人が違うから心配な兄様かな?』

と、クスッと笑い俺はウィルの笑顔を見て安堵を感じ

これから俺が「ウィル王子」として乗り越えなくてはいけない兄王子達何だと思いウィルに声を掛けた。

『ウィル…俺はどうすれば……』

『僕の身体はもうハルトお兄ちゃんのものだから僕の替わりに生きてくれたら嬉しいけど……病弱の身体をハルトお兄ちゃんに譲るのは女神様も意地悪だよね』

ウィルは困ったような顔を見せ俺に身体を譲る事に沈んだ様子だった。

『俺がウィルの身体を健康にして見せる、だからそんな顔を見せないで欲しいんだ俺と一緒に居るときは笑顔で笑ってくれ』

『ハルトお兄ちゃん……』

ウィルは涙目になり掛けた時にグイッと手で瞼を拭っていた。

『ハルトお兄ちゃん、僕お兄ちゃんに会えて本当に良かった、本当の兄弟のようで…短い時間だったけどハルトお兄ちゃんと一緒に御話しが出来てとても楽しかった。

今度生まれ変わったらハルトお兄ちゃんの兄弟として生まれたいな……』

ウィルはポロポロと涙を流し笑顔で俺に話してくれた

そして俺はウィルの身体をギュッと抱き締めてやった

『……ハルトお兄ちゃんの身体暖かいね、有り難うお兄ちゃん』

『ウィル、ウィル!これが最後みたいな言い方をするなよまだ俺は聞きたい事や聞いて貰いたい事が沢山あるんだ……また、会えるだろう?!俺の夢の中に出て来てくれるだろう!?』

俺は涙と鼻水で顔がグシャグシャだと思いウィルが放れないように抱き締め続けた。

『有り難う、有り難う、ハルトお兄ちゃん…大好きだよ』

満面の笑顔を見せていたウィルの姿が俺の目の前で消えてしまった。

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