第2章 神の願い
零、創造
ここは、此岸と彼岸の狭間。
これは、自由気ままに日々を過ごしている、とある神様たちの日常の物語。
本来神様というものは自然に宿っていたり、人間の立てた
ところで、この世界で『神』というのは、命に明確な限りはないものの人間からの『信仰』がなくなると酷く弱体化し、最悪消滅する可能性がある。この『信仰』というのは崇め奉ることに限らず、嫌悪にせよ興味にせよ認識がなくならなければよいものである。そのため、かの有名な白い太陽神や黒い冥府の女神、はては死神も認識が強いため確固たる力をもつ。しかし一度認識が薄れると、その神は自分の存在を保つことが難しくなる。そのため神々は、人間の認識から己の存在が薄れることを恐れた。だが、認識が薄れても存在が保てる方法がたった一つだけある。それは、己に向けられた『生贄』だった。
この『生贄』という習慣はどうしてか神々が手ずから教えることもなく、勝手に人間たちが始めた文化であった。しかし、このように人間を捧げてもらうことによって認識が薄れても存在を揺ぎ無いものに出来ることを知った神々は、わざと天災を起こして生贄を取るようになった。
これを見て、私欲に濡れていることこの上ないと
そこから時は流れ、この領域に住む神は増えて世代は交代した。変わることなく美しいこの領域は、徐々に活気に溢れることとなる。それは浮世でのこの領域にも言えることで、あの初めの二人はそっと顔を合わせて笑いあった。この幸せがいつまでも続くようにと願って、この世界を見守っている。
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