第4話 どのように小説を書くか

どのように小説を書くか


□小説の分量


 四百字の原稿用紙5枚

 長い小説もこの「5枚のかたまり」の積み重ねでできている


5枚×4(起承転結)=約30枚(短編小説)

30枚×4=約100枚(中編小説)

100枚×4=約300枚(長編小説・単行本一冊分)

300枚×∞=大長編・大河小説


 5枚のかたまりを書き上げることを大切にする


短編 30枚~100枚

中編 100枚~200枚

長編 300枚以上


□小説の長さと題材、内容との関係


短編(コント)――ヒヤリ、ドキリ

中編(ノベル)――ホロリ

長編(ロマン)――複数の人生


 短編の目指すところは、読む人を一瞬でもヒヤリ・ドキリとさせること

 中編は人をホロリとさせるもの

 長編は、それぞれ過去を持つ複数の登場人物が、ある一定の時間・場所に集まり、別れていく――複数の人間が交錯する出会いと別れのドラマ


□プロット作りの手順


1 アイディアが浮かぶ

2 PC あるいはノートにアウトラインを書く

3 アウトラインをもとにしてノートにハコ書き

4 冒頭、展開部、クライマックス、結末をハコのなかに書き入れる

5 ハコに書き入れたシーンの入れ替え、差し替え

6 ハコ書きをもとに、PC にプロットを書き込む

7 プロットを一応の完成まで持ってゆく


□ハコガキ(箱書き)


 映画のシナリオを書くさいに用いられていた

 メモ用紙の束を用意する はがきよりも一回り小さいサイズ

 この一枚ずつ(これが箱)に、物語を場面ごとに整理し、書く


 場所 : ~

 時間 : ~

 登場人物 : ~

 出来事 : ~

 主なせりふ : ~


 すべての場面の箱を書いたら、それを机のうえに横一列でならべる

 無駄な場面をカットする、前後のつながりが悪いところに、新たな場面を加える、前にある場面を後ろへ、後ろの場面を前へ移動する


□ハコガキの効用


 妄想を構想に変える

 唐突さを避ける

 唐突さを避けるためにあらかじめヒントを小出しにしておく

 これが「伏線を張る」、「前フリ」という

 ハコガキをつくる大きな目的のひとつは、伏線を張ること


ヒントの出し方

 なるべく目立たないように、最後の一行を読んだあとで、また冒頭からページをめくり返さないとそれが見つからないように、隠して埋め込むやり方

 読み手が怪しいと気づくように書いておけば、そこからサスペンスが発生する


 「本当のヒント」と「間違ったヒント」をまぜておく

 クライマックス・謎解きまでに正しいヒントはすべて読み手のまえに出しておく

 これが「フェアプレイ」に通じる


□小説の書き方


 短編は五回下書きをする。五千字程度の原稿でも、二万五千から三万字は書いている


 長編は六万五千字が九万語で書きあがる。二稿で七万程度に削り、さらに五千から一万五千字削るようにする


 最初はストーリーを頭に入れるためにワーッと書いていく

 6割か7割書いて、だいたいストーリーが頭に入ったな、というところでやめる

 最初に戻って書き直し(2回目)。全体を頭に入れて本格的に書き始める

 3回目。細部にこだわりながら、全体を詰める形で書き込んでゆく

 文章を大幅に変えることもあるし、ストーリーもほぼこの段階で決まる

 いちばん時間がかかる

 4回目。全体の調子を整える。最後が文章のチェック

 ぜんぶで5回書き直す


□冒頭に書く内容


場所(絵が見えるように・地名)

時間・季節・天候

人物の外見(身体つき、服装、表情、対比)

人物の性格(台詞、動作)

人物の背景、生い立ち、過去、家族

読み手の興味を先へ引きつける謎

現在の職業、環境、境遇

人物間の関係、立場、位置(台詞含む)

小さな事件、エピソード(後の大きな事件を暗示するものならさらによい)

後に重きを成す人物

強く印象に残るキーワード、小道具

時間、場面を転換するための準備


 以上のリストの項目は、読者のために書いておくべきこと


 あとはあなた自身が「書きたいこと、伝えたいこと、訴えたいこと」


□中断しないコツ

1 アウトラインをしっかり書く。そしてそれをもとにプロットを作っておく

2 あせらないこと。うさぎより亀の行きかたで

3 最後の行までとにかく書き上げる。最後に完と書く

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