淑やか美人


 ギラギラと照り付ける灼熱しゃくねつこう

 私はたおやかに生まれる


 グングンと背を伸ばし、鮮やかな美しい私達がそこかしこを綺麗に彩る

 そうだわ、この背の高さを活かして、あなた達を助けているのよ? 知っていたかしら?

 濡羽色ぬればいろの髪をまとめ上げた、白地しろじの浴衣美人がそばにいると、私たちはもっとえる

 それに朝露あさつゆを着込んだり、お水を浴びるともっとつやを放って、色香いろかを増すのよ……?

 私たちは仄暗ほのぐらときにそっと目を覚まし、体中からだじゅうに透明な冷気を行き渡らせる

 この時間が一番、落ち着くの

 だってもう少しすると、私たちがちょっと苦手な、いまざかりの子とご挨拶しちゃう

 少し、体には堪えるの……

 だからごめんね、すぐ顔を隠しちゃうわ

 あの子によって顔を出せる時間が決まっちゃうから、少し億劫おっくうよね


 私たちのさまざまな表情かおを見られるのはほんの一瞬

 だからね、逃さないようにちゃんと、いま会いに来てよ……ずっと待ってるから……


 


 

 

 



 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る