八十一日目
八十一日目
村から三日目。地図は読めたけれど、やっぱり目的地は見えてこない。
まあ、地下にあるわけだから目てもわからないだろうけど、それにしたって手がかりも何もない。
地図には川や池なんかも描かれてたんだけど、それらしいものも見当たらない。
そろそろ方向を間違えたんじゃないかと不安になってきたよ。
ただ、あの地図は本物だ。
それに大したことは書いてなかったから内容も覚えたと思う。調査するなら私たちだけでもまた来れると思う。
引き返すには頃合いなんじゃないかな。
周囲を見渡してみると、小さな森があった。
オークさんの集落近くにもあったけれど、荒野の飛び地みたいな森だね。
こういうのもどういう条件で発生するのか興味深くはあるけれど、あの中に逃げ込めば冒険者を振り切ることもできるんじゃないかな。
少なくとも、馬上からの弓は当たらないだろう。
ガクシャが那須与一くらいの腕前なら諦めるしかないけど。
というわけで私は馬を止め、もう引き返したいとダダをこねてみた。
さて、どうなるかな。
ガクシャたちは初めは笑顔でもう少しがんばろうみたいな態度を取っていた。
でも私がもう疲れたという感じで何度か首を横に振って返すと、仕方なさそうに引き下がった。
おや……? 意外だね。普通に帰してくれるのかな。
一応こっちも詫びるように頭を下げると、二人はなんでもなさそうに首を横に振って見送ってくれた。
ふむ。冒険者だからって全員が悪人ってわけじゃないのかな。
めちゃくちゃ疑ってかかったのは悪かったかもしれない。
一応、後ろは警戒しながら走ったけれど、冒険者が追いかけてくるようなこともなかったよ。
次に会ったときはもう少し友好的に振る舞ってもいいかな。
ともあれ、これでオークさんの集落まで引き返せる。
姫ニャンもずっと警戒してくれてたからね。疲れたと思う。道中後ろでうとうとしてた。
冒険者とも存外に穏便に別れられたし、今日は早い目に野営をしてもいいかな。
異世界生活八十一日目。明日には北の村まで引き返せるかな?
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