第11話 奇跡
サンタクロースがくれる
プレゼント
天使が
舞い降りるイブの夜
―――― でも ――――
奇跡のプレゼントは
私の目の前には現れない
―――― あなたに 逢いたい ――――
「綾霞っ!綾霞ーーーっ!」
―――― AM 0:00 ――――
「メリークリスマス」
イブの日付けが
クリスマスの日付けに変わった
そして
二人は
出逢えなかった……
私は携帯の電源を入れた。
♪~
『綾霞へ』
『今、何処にいる?』
『日付けは、25日になったけど、それでも今日逢えないか?』
♪~
『恒河へ』
『メリークリスマス』
『12月24日は終わったけど、12月25日は始まったばかりだよ』
『麻淵 綾霞。21歳』
『浅石 恒河が大好きです』
~ 恒河 side ~
「……綾…霞……」
♪♪♪~
俺の携帯に公衆電話の着信文字。
「はい」
「恒河?」
「…綾霞?」
「電話で話すの初めてだね。いつもメールばっかで恒河の声が聴けて傍にいるような気がする」
「それよりお前、今、何処?」
「公衆電話の所だよ」
「馬鹿っ!それは分かってるっつーの!何処の公衆電話か場所言えよ!今から行くからっ!」
「言わない」
「えっ?」
「探してみて」
「何言って…なあ綾霞、マジで答え……」
俺の言葉を遮るように
「携帯…」
プツ…
プー…
プー…
プー…
電話が切れた。
「もしもし? 綾霞?…携帯って…?何を言いたかったんだ?」
「逢えたら奇跡だよね」
そして再び、携帯の電源を切った。
~ 恒河 side ~
俺は綾霞の携帯に連絡をした。
「電源が入っていない…掛かりません…」
そういうアナウンスが流れた。
「アイツ…こんな時に意地悪すんなよ…!」
――――×――――×――――×
「タイミング…悪すぎだよね……でも…誰にも邪魔されたくないから逆に良かったのかな…?」
たった1つの
連絡の術さえも
なくなって
しまった…公衆電話……
そして手元にある携帯は
充電の必要な
電池切れの使えない電話しかないのだから……
これも……
運命のイタズラなのかな…?
~ 恒河 side ~
俺はそんな事など知るよしもなく
とにかく探し回る事しか
出来なかった
「綾霞っ!」
「……恒…河……」
私は涙がこぼれた。
「…初めて…逢えた…気がする…」
恒河は、グイッと抱き寄せ抱きしめられた。
「馬鹿、綾霞っ!探したじゃねーかよ!」
「…ごめん…」
恒河は、更にしっかりと抱きしめた。
抱きしめた体を離すと恒河はキスをし再び抱きしめた体を離す。
「お前に1つだけ確認したい事がある」
「何?」
「高校の時、お前、俺に気があった?」
「えっ?高校の時?」
私は恒河の言っている意味が分からなかった。
「俺が送ったメールの内容理解出来てない感じ?」
「…うん…」
「あの頃の想いを伝えられて良かった。あれ、高校の時の想い。後悔している自分いて思い出だった恋心にピリオドしたくて。それで、もし、お前が、あの時の麻淵 綾霞なら、つじつまが合うはずだけど?」
「………………」
「男女問わず友達の多かったお前に逢えてマジで良かった……」
「………………」
「恒河…。浅石…恒河…。高校の時…?」
確かに記憶はある。
私は彼が大好きだった。
だけど告白する勇気なんてなくて告白しないまま卒業して……
じゃあ……
今…私の目の前にいるのは…
あの時の彼?
浅石 恒河?
「高校の時…確かに好きな人いて…告白しないまま卒業して…でも…」
「綾霞……俺…高校の時、マジでお前が好きだったんだ」
「恒河…そんなの…私だって…恒河が好きだったよ」
「お互い違う形で再会して、お前が兄貴と付き合っている時、似てるなぁ~って…だけど、同姓同名はいるし、似てる人もいるし……聞くことは出来なかった」
「恒河…」
「確信に近付いたのは、俺が酔っ払った時、一緒にいた友達がお前の事を聞いてきて…辿り着いて調べた結果…同一人物だって……」
「…………」
「綾霞……俺…もうすれ違いの日々を送りたくねーし…結婚前提で同棲しないか?」
ドキン
「同棲…?」
「もう懲り懲りなんだよ…俺…。無理なら二人の今後の事、考えよう」
「恒河……うん…」
「取り合えず移動しよう」
「うん…。恒河…」
「何?」
私は恒河にキスをした。
「恒河に…お願いがあるの…」
「何?」
「今日だけは……携帯の電源を入れないで……」
「えっ?」
「今日だけで良いから……。私の携帯は既に電池切れで……。だけど……二人の特別な時間を大切にしたいし過ごしたいから……」
「綾霞……」
「私も友達の事とか色々、気になる事の連絡あるかもしれない……。でも…!今日だけは……私だけの…私達だけの時間にして欲しい…」
恒河は、携帯を取り出した。
そして、私の目の前で電源を切った。
「今日だけは……俺達だけの特別な時間……」
「……ありがとう…。…我が儘言って…ごめ……ん……っ!」
キスで唇を塞がれた。
「俺も同じ気持ちだから……」
「……恒河……」
「綾霞…今日は…俺の傍から…絶対離れんな!」
「うん…。恒河…絶対離さないで……」
私達は再びキスをし、何度も角度を変え、キスを繰り返す。
時折りする深いキスは私達の今までの想いをぶつけ合うように……
私達はしっかりと抱きしめ合う。
今日は
いつも以上に
たくさんの友達やみんなが
幸せになりますように……
だから今日だけは
私達二人の時間を下さい
お願いします……
メリークリスマス☆彡
その後、私達はお互いの部屋の鍵を渡し合う事にした。
だけど、半同棲になりつつある私達は、話し合って新しい生活を始める為、一人暮らししていた部屋を出て新しく借り同棲をする事にした。
二人の想い ハル @haru4649
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