第10話 運命

「……今日こそは……デート出来るかな?」




―――― でも ――――



待ち合わせ時間を過ぎても


恒河は現れない……




1時間……



2時間……






ポツポツ……


空からは突然の雨……





私は帰る事にした。





「綾霞っ!」





―――― すれ違い ――――





こんなことなら



付き合う前が



良かったのかもしれない……






「チクショー……何でだよ……!」




崩れ落ちる恒河だった。





~ 綾霞 side ~



ねえ恒河


私達の運命は


誰が決めているのかな?


付き合って3ヶ月


ラブラブな毎日が


私達は


ラブラブなんてものじゃなく


ただのすれ違いの日々


私達は


付き合うべきじゃ


なかったのかもしれない……






♪~


『綾霞へ』


『綾霞に逢いたい』

『どれだけ時間が過ぎても待ってて欲しいんだ』


『でも、どうしても待ち切れなくなったら』

『そこから去っても良いから』




恒河から日時と場所を綴ったメール。







―――― 約束 ――――




果たされる?


果たされない?




二人のクリスマスイブの夜


奇跡は


起きますか……?





12月24日 クリスマスイブ




プレゼントを片手に


待ち合わせ場所に行くのだった







♪~



『奇跡が起きますように……』





私は恒河にメールを送信する。



そして空からは雪が舞い落ちる……





「雪……」





待ち時間は


刻一刻と近付くにつれて


不安も心によぎる





―――― PM 7:00 ――――




にぎわう街並み



まだ恒河は



現れない……






1時間……





2時間……





雪が舞い降る中



私はひたすら



恒河を待つ







―――― PM 10:00 ――――




私は帰る事に……した……




♪~



『私の期限は、10時』

『ごめん……帰る……』



『ねえ恒河』

『最後に1つ聞いても良い?』


『私の事……好き……?』


『教えて……』





♪~



『好きだよ』






ドキン…


返信のメールが入ってきた。






「メールは…送れるのに……あなたは…まだ…来ない…」



「…………」



「…恒河ぁ……メールだけじゃ…足りないよぉ…どうして傍にいないの…?……口で言ってよぉ…私の傍で…隣で言ってよぉ……」





♪~



『こうが、今、何処にいるの?』


『イブは、残り2時間だよ』


『約束の時間から、もう3時間なんだよ』


『どうして逢えないの?』


『私と恒河の運命って、こんなもの?』


『だったら付き合わなきゃ良かったね』


『付き合う前が良かったよ』


『ねえ……そう思わない?』





私は自分の想いをぶつけるかのように恒河にメールを送った。





♪~



『逢えない後悔より逢えた後悔が良い』





「えっ?……どういう…意味…?」



私は疑問に思う中、理解出来てなかった。






♪~



『こうが、どういう意味…?』




♪~


『お前とすれ違いばっかで正直悔しくて、悔しくて仕方がなかった』


『だけど、お前と出逢えた事が本当の奇跡なんだよ』


『お前に好きって言えた事が俺の今の幸せで』


『あの頃の想いを含めて伝えられて、すっげー良かったと思う』


『友達に囲まれて男女問わず友達の多かったお前に逢えてマジで良かったんだ』


『その場から離れても良い。でも、お前への想いはマジだし俺がいなくても心だけはお前の傍にある』


『お前にもあって欲しい』






「…恒…河……」






♪~


『あるよ!そんなのずっとあるよ!でもすれ違いばっかりで私……』



♪~


『不安?後悔してる?』


『俺から離れんな!今度離れたら、もう二度と逢えない!』





「………………」




“離れたら二度と逢えない?”



それだけは避けたかった……




痛い程


分かる気がした



今まで沢山の壁が


私達の行く道を阻み塞いだ







♪~


『奇跡が起こるなら逢えるよね?』


『恒河、私の事を探してね』





私はそういうメールを送り携帯の電源を切った。


















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